Amazon FBA撤退方法を解説!在庫回収から廃棄まで迷わない判断ルール

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株式会社Cyber-records

Amazon FBAからの撤退を考えていませんか。倉庫に残った在庫の回収方法や、返送・廃棄にかかる費用、タイミングなど、わからないことが多くて不安になるのは当然です。FBA撤退は手続きやコストのポイントを押さえて進めることで、余計な出費や手間を減らせます。
この記事では、在庫回収の実務手順と費用をできるだけ抑えるための具体的な考え方を、初心者にもわかりやすくやさしく解説します。一緒に手順を確認していきましょう。

意思決定と情報整理

意思決定と情報整理

まずは全体像を落ち着いて整理しましょう。撤退のゴールを決め、在庫の実態と費用の見通しを掴むことで、あとからの迷いとムダな出費を減らせます。手順や費用はAmazon公式のセラーセントラルの最新情報を必ず確認してください。

■撤退の目的と在庫の優先順位を決める
全商品を撤退するのか、一部SKUだけにするのかでやることが変わります。目的がはっきりすると判断基準が定まり、現場の迷いが少なくなります。

優先順位の付け方(処理検討順)
1.売れない・販売不可と表示されている在庫(放置は費用増加の元)
2.賞味期限・消費期限が近いロット(期限切れリスクが高い)
3.大型・重量物や保管単価が高い在庫(保管料が嵩む)
4.回転が極めて遅い商品(将来的な売れ行きが見込み薄)

価値があるものはまず返送を優先し、価値が低い・期限が近い・破損リスクが高いものは廃棄を優先するというルールを決めておくと判断が早くなります。医薬品や一部食品等は廃棄方法や表示義務を事前に確認しておきましょう。

■SKUごとの在庫把握とロット・期限の確認
実務ではSKU単位で現状を見える化することが最優先です。セラーセントラルから在庫の一覧を出し、以下の項目を必ずSKUごとに確認します。

1. 確認項目:現在庫数
詳細: 販売可/不可で分ける
2. 確認項目:保管拠点
詳細: 国内・海外の倉庫別
3. 確認項目:ロット・期限
詳細: ロット番号、出荷日、賞味期限・消費期限
4. 確認項目:商品情報
詳細: サイズ・重量、梱包形態
5. 確認項目:価値判断
詳細: 仕入単価・想定販売価格(返送後に売れる見込み)

同一SKUでもロットや期限が混在していることが多いので、ロット別に分けて一覧化すると正確な判断ができます。重要SKUについては小数を返送して状態を確認してから本格的に動くとリスクを減らせます。

■費用項目の洗い出しと受入先の準備状況確認
撤退にかかる費用は複数あり、見落としがコスト増の原因になります。主な費用項目として、返送手数料・廃棄手数料・保管料・返送後の送料/梱包費/検品費用・再ラベル/再梱包の人件費・通関費/関税などを合算して見積もりましょう。

返送先の受入れ準備も必須です。混載で届くこと、ラベルが読めない状態で届くこと、SKUが混在することを想定して、受領時の検品ルールや仕分けスペース、余分な梱包材の確保、人員の確保を事前に確認しておきます。受け入れ側に連絡担当者を決め、到着時の連絡方法や不良品対応のフローを合意しておくと、現場での混乱を防げます。

FBA操作と物流手配

FBA操作と物流手配

準備ができたら、実際にAmazonのシステムで操作を行い、物流の準備を整えます。計画と実行のタイミングを意識して進めましょう。

■販売管理と出品停止の判断ポイント
回収対象となる商品は、在庫が完全に出荷されるまで出品を継続するか、即座に停止するかの判断が必要です。出品停止を検討すべきケースとして、賞味期限が近づいている食品・飲料、季節性が高く次シーズンまでに劣化する可能性がある商品、保管料が高額で売上見込みより保管コストが上回る商品、そしてブランドイメージ保持のため在庫処分を避けたい商品が挙げられます。

販売継続と出品停止のバランスを取りながら、Removal Orderを出すタイミングを計画しましょう。Removal Orderの処理は完了まで日数がかかる場合があるため余裕を持った計画が必要です。

■返送/廃棄依頼の作成と返送か廃棄かの決め方
Removal Order(返送/廃棄依頼)はセラーセントラルの「在庫管理」→「在庫回収」から作成できます。判断基準は、返送か廃棄のどちらが総コストとリスク面で合理的かという一点に集約されます。

返送を選ぶのは、商品の価値が返送手数料や返送後の保管・処理コストを上回る場合、再販可能な状態で戻る見込みが高い場合、あるいはサンプル確認や不良品調査など特別な理由がある場合です。廃棄を選ぶのは、商品の価値が返送手数料に満たない場合、期限が近い/切れている場合、破損リスクが高く返送しても使えない可能性が高い場合、または保管スペースの制約で受入ができない場合です。
医薬品、危険物、化粧品など法令やブランド規約で扱いが制限される商品は、Amazonが廃棄を行えない、または特別な手続きが必要になる場合があります。該当商品は事前にAmazonサポートへ確認し、関連法令やブランド規約を確認してください。

■梱包・ラベリング指示
返送時の梱包指示はセラーセントラルで設定できますが選択肢は限られます。状態維持が重要な場合は元の梱包を指定し、複数SKUがある場合で混載を避けたいなら個別梱包を選択します。小型品はまとめて返送されるケースが多いため、受領時の確認体制が重要です。

コスト最適化と判断フロー

コスト最適化と判断フロー

実際の在庫回収ではコスト管理が非常に重要です。適切な判断フローを構築しましょう。

■返送と廃棄を判断する具体的な計算と優先順位
返送と廃棄の選択は単純な手数料比較だけでなく、総合的なコスト計算が必要です。返送総コストは「返送手数料+返送後保管コスト+検品/再梱包コスト−再販売可能価値」、廃棄総コストは「廃棄手数料+在庫価値損失」とし、両者を比較して低い方を選びます。ブランドイメージや環境配慮など非金銭的要素も併せて判断してください。

■ロットやサイズ別の配送戦略と混載の活用
コスト効率を高めるために、返送のタイミングや方法を工夫します。季節商品や期限商品は、残存期間と再販機会を考慮して計画しましょう。

1.同じサイズの商品をまとめて返送して梱包効率を上げる
2.複数の返送依頼を同時に出して混載率を高める
3.大量在庫は小分け返送で受入側の処理負荷を分散

受領から会計処理まで

受領から会計処理まで

返送品を受け取った後の処理も重要なプロセスです。受領検品・請求確認・会計反映を抜け漏れなく進めましょう。

■受領検品と在庫差異の対応手順
返送された商品は必ず以下の点を確認します。

1.数量:注文した返送数と実際に届いた数の一致確認
2.状態:商品の破損、汚損、期限切れの有無
3.SKU確認:注文したSKUと実際に届いたSKUの一致

差異がある場合は、受領から48時間以内にAmazonサポートに連絡することが推奨されます。証拠として、梱包状態や数量確認の写真を撮影しておくと申立てがスムーズになります。

■Amazon請求明細の精査と申立て方法
返送・廃棄の実行後は、セラーセントラルの「支払い」セクションで請求明細を確認します。返送/廃棄手数料の正当性、数量と単価の一致、重複請求や未処理の有無を点検し、不明点や異議があれば該当取引IDを控えたうえでセラーサポートに問い合わせましょう。

■回収在庫のWMS登録と会計税務への反映
返送された商品は自社の在庫管理システムに正確に登録し、販売可能品の再出品準備、販売不可品の損耗処理と廃棄証明の保管、部分破損品の修復可否判断を行います。廃棄処理した商品は損失計上の根拠となる証憑の保管が重要です。

返送した商品を再出品する場合は、商品の状態(新品/中古)、ラベルの有無、ブランド登録・権利関係、出品規制、法令順守を事前に確認してください。特にブランド品や医薬品は再出品前にAmazonの規約やブランドオーナーの規制を確認しましょう。

まとめ

FBA撤退は準備→実行→確認の順で進めれば負担を減らせます。目的をはっきりさせ、SKU単位で在庫・ロット・期限を把握し、返送か廃棄かはコストと再販の見込みで決めましょう。価値が高いSKUや期限近いロットから優先して少しずつ回収するのが安全策です。まずは優先順位を決め、一歩を踏み出しましょう。

<ご注意>
本記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。Amazonの仕様・ガイドライン・ルール等は予告なく変更される場合があります。最新の情報は、必ず公式サイトやAmazonセラーセントラル等をご確認ください。


著者

株式会社Cyber-records

2008年にGLOBAL EC COMPANY(GEC)として創業し、以来、ECビジネスの啓蒙者として、運営代行、コンサルティング、ブランディングなどに従事。モールおよびマーケットプレイスのEC支援サービスの提供に加え、ふるさと納税事業や越境ECの支援も行う。

https://www.cyber-records.co.jp/
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