来年のピーク期こそ失敗しない|今から始めるEC物流の準備術

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SBSホールディングス

年末商戦、お疲れ様でした。今年のピーク期はいかがでしたか?「何とか乗り切れた」という方も、「正直、バタバタで大変だった…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ピーク期が終わったこの時期だからこそ、冷静に振り返り、次に向けた準備を始める絶好のタイミングです。来年の年末商戦はもちろん、バレンタイン、ホワイトデー、年度末セールなど、これから訪れる販促期に向けて、今のうちから体制を整えておきませんか?

ピーク期の物流で起きるよくある失敗

まずは、今年のピーク期を思い返してみてください。こんなトラブルはありませんでしたか?

出荷遅延でクレームが急増
注文が集中して、普段なら翌日出荷できていた商品が2日、3日と遅れてしまった。お客様への出荷案内メールが遅れ、問い合わせ対応に追われて現場が混乱。結果として「もう二度と買わない」という厳しいレビューがついてしまった…。
特にギフト需要が高まる年末は、配送の遅延が直接的にクレームへと直結します。「クリスマスに間に合わなかった」「年末年始の帰省に持っていけなかった」といった声は、ブランドイメージにも大きな影響を与えてしまいます。

在庫切れで販売機会を失う
売れ筋商品の在庫が想定以上に減り、急遽追加発注をかけるも間に合わず、結局「売り切れ」表示に。広告費をかけて集客したのに、肝心の商品が売れないという機会損失が発生しました。
小ロット多品種を扱うEC事業者の場合、SKU数が多いため在庫管理の難易度が上がります。化粧品ならカラーバリエーション、健康食品なら容量違い、エンタメグッズならキャラクター別など、細かな在庫の偏りが見落とされがちです。「全体の在庫数は足りていたのに、人気のカラーだけが欠品」というケースもよくあります。

人員不足で現場がパンク
ピーク期に合わせてアルバイトを増員したものの、教育が間に合わず、かえって現場が混乱。ベテランスタッフがフォローに回るため全体の生産性が下がり、残業が増えて疲弊してしまった…。
特に梱包作業では、商品ごとに異なる梱包資材や同梱物の入れ間違いが発生しやすくなります。「キャンペーンチラシの入れ忘れ」「ギフトラッピングの指定漏れ」など、細かなミスが顧客満足度を下げる要因になります。

なぜピーク期は失敗しやすいのか?

ピーク期特有の失敗には、明確な理由があります。原因を理解することで、次回に向けた適切な対策が見えてきます。

需要予測の精度不足
「去年の実績をもとに予測したけれど、想定を大きく上回った」「新商品の伸びが読めなかった」など、需要予測のズレがすべての混乱の始まりです。
EC事業では、SNSでのバズやインフルエンサーの紹介、メディア掲載などで、突発的に注文が急増することがあります。特に年末は、普段ECを利用しない層からの注文も増えるため、いつもの感覚では読み切れない部分があります。
また、販促キャンペーンの効果を過小評価してしまうケースも。「ポイント10倍セール」や「送料無料キャンペーン」の告知後、予想以上の反響があり、物流現場が対応しきれなくなることもあります。
システム連携の遅れ

ECサイトと在庫管理システム、出荷管理システムの連携がリアルタイムでない場合、在庫数のズレが発生します。「サイト上では在庫ありと表示されているのに、実際には欠品していた」という事態は、お客様の信頼を大きく損ないます。
複数モールへの出店や、自社ECサイトとの併用をしている場合、在庫の一元管理ができていないと、さらに混乱が増します。「楽天では売り切れなのに、自社サイトでは在庫ありになっている」といった不整合は、機会損失だけでなく、過剰在庫のリスクにもつながります。

外注パートナーとの調整不足
配送会社や物流倉庫を利用している場合、ピーク期の出荷キャパシティについて事前に調整ができていないと、「想定していた出荷数に対応してもらえない」という事態になりかねません。
特に年末は、配送会社も繁忙期です。通常期と同じ感覚で依頼しても、希望の配送日時が確保できなかったり、集荷時間が変更になったりすることがあります。物流パートナーとの連携不足は、結果的にお客様への納期遅延として表れてしまいます。

今年の振り返りから始めよう

来年に向けた準備の第一歩は、今年のピーク期をしっかり振り返ることです。記憶が新しいうちに、データと実感をもとに課題を洗い出しましょう。

在庫状況の振り返り
今年のピーク期、どの商品がどれくらい売れましたか?想定より売れた商品、逆に在庫が余ってしまった商品を整理してください。
特に注目したいのが、「欠品が発生した商品」と「その時期」です。12月のいつ頃に在庫が切れたのか、追加発注のタイミングは適切だったのか。こうした情報は、来年の発注計画を立てる上で貴重なデータになります。
また、梱包資材や緩衝材、ギフトボックスなどの副資材についても確認しましょう。商品在庫は十分でも、「箱が足りなくて出荷できなかった」というケースがあれば、来年は早めの手配が必要です。

出荷実績の分析
1日あたりの最大出荷件数は何件でしたか?通常月と比べて何倍になりましたか?また、その日の現場の状況はどうだったでしょうか。
「ギリギリ回せた」レベルなのか、「かなり余裕があった」のか、それとも「完全にキャパオーバーだった」のか。現場の実感と数字を照らし合わせることで、来年必要な体制が見えてきます。
出荷遅延が発生した日があれば、その原因も分析しましょう。人員不足だったのか、システムのトラブルだったのか、それとも配送会社側の問題だったのか。原因によって、取るべき対策が変わります。

クレーム内容の整理
今年受けたクレームの内容を、種類別に分類してみてください。「出荷遅延」「商品間違い」「梱包不備」「配送トラブル」など、どのタイプが多かったでしょうか。
クレームの傾向が分かれば、来年重点的に対策すべきポイントが明確になります。例えば「商品間違い」が多ければ、ピッキングや検品の体制強化が必要ですし、「出荷遅延」が多ければ、キャパシティの拡充や受注管理の見直しが求められます。

次のピーク期に向けた準備計画

振り返りができたら、いよいよ次のピーク期に向けた準備計画を立てましょう。来年の年末はもちろん、春先のバレンタイン・ホワイトデー商戦にも活かせる内容です。

需要予測の精度を上げる
今年のデータをもとに、より精度の高い需要予測を立てましょう。単純に「去年の1.2倍」といった予測ではなく、商品カテゴリー別、週別に細かく見ていくことが大切です。
また、販促カレンダーも整理しておきましょう。「この時期にこのキャンペーンを打つ予定」という情報があれば、それに合わせた在庫計画が立てられます。メルマガ配信やSNS投稿、インフルエンサー施策なども、物流への影響を考慮したスケジュールにしておくと安心です。
新商品の投入予定がある場合は、初動の反応を見極めるテスト期間を設けることも検討しましょう。いきなり大量在庫を抱えるリスクを避けられます。

システム環境の整備
在庫管理システムと出荷管理システムの連携は万全ですか?リアルタイム連携ができていない場合は、システムの見直しや改修を検討する時期かもしれません。
複数モールに出店している場合は、在庫の一元管理ツールの導入も視野に入れましょう。手動での在庫調整には限界がありますし、ヒューマンエラーのリスクも高まります。
また、ECサイト自体のパフォーマンスも重要です。ピーク期のアクセス増に耐えられるか、サーバーの増強やCDNの活用など、技術面での対策も必要です。サイトが重くなったり、ダウンしてしまっては、せっかくの商機を逃してしまいます。

物流パートナーとの関係強化
物流代行サービスを利用している場合は、今年のピーク期について率直にフィードバックを共有しましょう。「ここは良かった」「ここが課題だった」という情報交換が、来年のサービス品質向上につながります。
また、来年のピーク期予測も早めに共有してください。「この時期にこれくらいの出荷量になりそうです」という情報があれば、パートナー側も人員や設備の計画が立てやすくなります。
バレンタインやホワイトデーなど、年末以外のピーク期についても、事前に相談しておくことが大切です。特にギフト需要が高まる時期は、ラッピング対応や熨斗の手配など、通常とは異なる作業が発生します。

春先のピーク期も見据えて

年末商戦が終わっても、EC事業者にとってのピーク期は続きます。年明けの初売りセール、バレンタイン、ホワイトデー、年度末セールと、立て続けに繁忙期がやってきます。

バレンタイン・ホワイトデー対策
チョコレートやスイーツ、ギフト商材を扱っている事業者にとって、2月・3月は重要な時期です。年末とは異なり、「特定の日に確実に届ける」必要があるため、配送管理がより重要になります。
配送希望日の指定が集中するため、早めに配送会社のキャパシティを確認しておきましょう。また、ギフトラッピングやメッセージカードの対応についても、オペレーションを整備しておく必要があります。

年度末セール対策
3月は企業の決算期でもあり、法人向けEC事業者にとっては大きな商機です。BtoB取引では、まとめ買いや大口注文が増えるため、在庫の確保と出荷キャパシティの準備が欠かせません。
請求書発行や納品書の作成など、BtoB特有の事務作業も増えます。受注から納品までのリードタイムを明確にし、余裕を持った対応ができる体制を整えておきましょう。

しっかり準備すれば、こんなメリットが

次のピーク期に向けてしっかり準備することで、得られるメリットは計り知れません。

クレーム削減で顧客満足度UP
スムーズな出荷体制が整っていれば、お客様を待たせることなく商品をお届けできます。「注文した翌日に届いた」「希望日にきちんと届いた」という体験は、お客様の満足度を高め、リピート購入につながります。
逆に、一度でも出荷遅延やミスが発生すると、その後のリカバリーには大きな労力が必要です。問い合わせ対応、謝罪、再発送…こうした事後対応に追われると、本来の業務に支障が出てしまいます。
事前準備によってクレームを防ぐことは、結果的に現場の負担軽減にもつながるのです。

販売機会の最大化
在庫切れを防ぎ、すべての注文に対応できれば、ピーク期の売上を最大化できます。年末商戦、バレンタイン、ホワイトデーなど、これらの時期の売上が年間業績を大きく左右します。
また、安定した出荷体制があれば、積極的にプロモーションを打つこともできます。「在庫が不安だから広告を控えよう」ではなく、「しっかり対応できるから、どんどん集客しよう」という攻めの姿勢で臨めます。

現場のストレス軽減
計画的に準備を進めることで、現場スタッフの精神的・肉体的負担を減らせます。「何とかなるだろう」の精神で乗り切ろうとすると、結局はスタッフに無理をさせることになり、ミスや事故のリスクも高まります。
働きやすい環境を整えることは、スタッフの定着率向上にもつながります。「この会社はピーク期でもしっかり準備してくれる」という信頼感は、貴重な人材を守ることにもなるのです。

無料相談でできること

「準備の重要性は分かったけれど、自社だけでは不安…」「今年の振り返りを専門家に見てもらいたい」という方も多いのではないでしょうか。そんなときは、物流の専門家に相談するのも一つの手です。

現状診断と改善提案
今年のピーク期の状況をヒアリングさせていただき、来年に向けた課題を洗い出します。「どこにボトルネックがあったのか」「何から改善すればいいのか」を、客観的な視点でアドバイスいたします。
EC物流の専門家だからこそ分かる、見落としがちなポイントもお伝えできます。長年の経験から蓄積されたノウハウを活かし、貴社に最適な改善策をご提案します。

ピーク期シミュレーション
今年のデータや来年の販売計画をもとに、次のピーク期の出荷数をシミュレーションします。「この規模なら、どれくらいの人員が必要か」「どんな設備があれば安心か」など、具体的な数字でお示しします。
「何となく不安」を「具体的な対策」に変えることで、自信を持って次のピーク期を迎えられます。

コスト削減の見える化
実は、物流体制を見直すことで、コスト削減につながるケースも少なくありません。無駄な作業工程の削減、梱包資材の最適化、配送料の見直しなど、様々な角度からコスト改善の可能性を探ります。
「品質を上げながらコストも下げる」、そんな理想的な物流体制を一緒に目指しましょう。

来年のピーク期を成功させるなら、今この時期から準備を始めましょう。
年末商戦が終わったばかりの今だからこそ、課題が明確で、改善の方向性も見えやすいはずです。「来年こそは」と思ったら、まずは今年の振り返りから始めてみませんか?
もし「自社だけでは不安」「専門家の意見を聞いてみたい」と感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。貴社の次のピーク期を、全力でサポートいたします。

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