保持アカウント数は8億以上。決済大手「アリペイ」とヤフーが提携
銀行振込中心の中国の決済方法に新たな風
ヤフーは、6月から中国のオンライン決済サービス大手の「支付宝(アリペイ)」を使って、インターネット通販サイト「Yahoo!ショッピング」の商品を購入できるようにすると、9日付の日経新聞朝刊が報じた。
アリペイは、中国の大手ECサイト「淘宝網(タオバオ)」を運営するアリババの子会社が提供する決済サービスで、保持しているアカウントは約8億5000万。利用する事業者は46万以上にのぼるという。中国ではクレジットカードの普及率が低く、決済方法は銀行振込が中心である。そのため、PayPalのように金銭の授受を仲介するサービスは非常にニーズが高い。アリババは、ソフトバンクのグループ会社でもあるため、ヤフーとはグループ間で連携したことになる。
中国の顧客を積極的に獲得する方向
中国からYahoo!ショッピングで買い物をするには、購入代行業者「転送コム」(東京・品川)の仲介が必要だが、代行業者のサイトで使える決済手段に新たにアリペイが追加される。今回の連携では、Yahoo!ショッピングやヤフーのオークションサイト「ヤフオク!」の購買代行をしている「Buyee(バイイー)」での導入を予定しており、中国の利用者がアリペイを使って決済ができるようになる。中国では、日本製品や日本の家電製品への需要が根強く、ネット通販でも顧客獲得が期待できるとヤフーは判断したようだ。
なお、ヤフーとアリババの連携は今回が初めてではない。2010年6月には中国人向けECモール「淘日本(タオジャパン)」を共同で立ち上げたが、流通額が伸び悩み、約2年後の2012年5月にサービスを終了している。
訪日旅行者の増加と今後の市場
日本は2014年1月、中国の団体ツアー客7万9000人と個人旅行客3万人に対して、観光ビザを発行した。これは、前年比の10倍にもあたる数字である。これと同時に、3年前の東日本大震災の影響から一時的に減少した香港からの観光客も同様に、日本への旅行意欲が回復したようだ。観光庁のデータによると、2013年に74万人を超えていた香港からの訪日観光客は、2012年には48万人にまで減っていたとのこと。
また、政治問題が旅行者に影響を及ぼしているのではと懸念される日中間だが、日本政府観光局は「大多数の中国人は政治問題を気にしていないように思える。日中間の政治的緊張関係にもすっかり慣れてしまったのでは。争い自体にもいい加減うんざりしており、単に旅行を楽しみたいという気持ちなのだろう」とコメントした。
中国からの旅行者は、回復だけでは留まらず増加傾向にある。今回のヤフーとアリババの連携により、ネット通販での中国顧客はこれから増加が見込まれるだろう。そんな中で、リアル店舗の販売量は一体どうなるのだろうか。今後の動きに注目である。