気温が高い日が続くようになり、いよいよ夏本番といった感じだ。夏は、祭りや海水浴といった楽しいことが多い反面、「ゲリラ雷雨」や「猛暑日」などの天気が心配な季節でもある。天気とEC店舗の売上には無視できない関係性がある。今年の夏の天気はどうなるだろうか。株式会社ウェザーニューズが発表した「7月～9月のゲリラ雷雨傾向」を元に考えていく。

時期別に見る発生予想、9月まで要注意

　ここ数年、夏になると多発する「ゲリラ雷雨」。ゲリラ雷雨とは、急激に発達する積乱雲がもたらす局地的な激しい雷雨のこと。太平洋高気圧が弱まり、湿った空気や上空の寒気が流れ込む時に発生しやすい。今シーズンのゲリラ雷雨発生のピークは、8月初旬と下旬の予想だ。7月～9月のゲリラ雷雨の予想発生回数は昨年と同程度だが、9月だけでみると昨年比30％増となる。

　時期別では、7月下旬はゲリラ雷雨発生回数は比較的に少ない予想。逆に、8月初旬と下旬にはゲリラ雷雨が多く発生すると予想されている。昨年はお盆以降に前線の影響を受け、ゲリラ雷雨の発生は急速に減少したが、今年はラニーニャ現象の影響で太平洋高気圧が9月も勢力を保つ。そのため、9月は残暑が厳しい上に、湿った空気が流れ込む日が昨年より多くなり、9月前半までゲリラ雷雨の発生リスクが高い状態が続きそうだ。

地域別に見る発生予想、栃木・茨城は厳重注意

　今シーズンはエルニーニョ現象が終息してラニーニャ現象への移行期にあたる。エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続くこと、また、ラニーニャ現象は、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続くことだ。

　この影響で、西～東日本の日本海側・関東北部・東北南部は高気圧からの湿った空気が流れ込み、大気の状態が不安定になりやすく、ゲリラ雷雨の発生は昨年より多くなると予想される。全国で最も発生が多いエリアは関東申信で、約1,400回の予想だ。

　また、東日本については、エリアごとの違いに注意が必要だ。東日本全体でのゲリラ雷雨の発生回数は昨年並みになる所が多いと予想されるが、高気圧からの湿った空気が流れ込みやすい関東北部や北陸は昨年以上にゲリラ雷雨が発生しそうだ。特に栃木県や茨城県は200回以上の発生が予想されている。

　また、関東南部や東海では昨年と同じか、やや少ない傾向だ。梅雨開け直後の7月下旬やお盆期間中は大気の状態が比較的安定した状態となりゲリラ雷雨の発生も抑えられるが、高気圧が弱まる8月初旬や下旬は発生回数が増加しそうだ。今年は9月になっても高気圧からの湿った空気が流れ込むため、関東申信エリアでは9月だけで300回近い発生が予想されている。

　一方、西～東日本の太平洋側、東北北部と北海道では、ゲリラ雷雨は昨年より少なくなる予想だ。　北日本のゲリラ雷雨の発生回数は、東北南部で昨年より増える一方、東北北部や北海道で昨年より減るとの予想。北日本全体では、湿った空気が流れ込みやすい8月上旬や下旬に発生回数が増えそうだ。
　

ゲリラ雷雨のタイミングで施策を実行！

　以上の予想は、EC店舗の施策にどのように活かすことができるだろうか。ゲリラ雷雨が予想される日は、外出を控えて、家で過ごそうとする人が多いのではないだろうか。そこに、ECのチャンスがある。

　例えば、洋服を買おうと外出予定を立てていたとする。しかし、ゲリラ雷雨が発生して外出を控えたとすれば、その代わりにアパレルECを閲覧する人がいるかもしれない。そういったタイミングで、セールを行ったり、クーポンを流したりすると、通常よりも人が集まり、購入率が上がるのではないだろうか。あるいは、ゲリラ雷雨の中でもどうしても出掛けなければならない時もある。そんな場合に役立つアイテムを、ゲリラ雷雨が増える時期に強化することも有効だろう。

　店舗によって様々な施策が考えられるが、家にいながらにして目当てのモノを購入できる、リアルタイムに情報を発信できるというEC店舗の利点をぜひ活かしてほしい。実際に、ゲリラ雷雨ではないが、やはり夏特有の天気である「猛暑日」に、特定の商品の売上が急増するという調査結果が、Yahoo!JAPANより発表されている。また、これらのタイミングでEC店舗が適切な提案をすることにより、ユーザーが快適に過ごすことができるかもしれないのだ。この夏はぜひ、天気にも注意してみてほしい。