話題の手数料無料決済サービス「SPIKE」が本格始動

メタップスから2013年に発表された手数料無料の決済サービス「SPIKE」がいよいよ本格始動する。無料と有料のふたつのプランが用意されており、個人事業主や小規模事業者向けの「フリープラン」は、初期費用、月額費用、決済手数料が無料。月間100万円までの決済が利用できる。今後は月間の決済上限額も引き上げていく方針であり、最終的には完全無料での提供を目指すという。

中規模業者向けの「ビジネスプラン」は月額3000円。月間1000万円までの決済については手数料が無料、月間1000万円を超える部分に関しては2.5%の決済手数料と、30円のトランザクションフィー(処理ごとに発生する手数料)を支払うことで利用できる。

ハードルの高かった決済機能導入に新風舞い込む

決済機能をWebサイトやアプリケーションに導入する場合には、システム周りのプログラミングが必須であり、これらは導入へのハードルを確実に高めていると考えられる。SPIKEは、プログラミングが不要な上、決済ページのリンクを設置するだけで決済機能をWeb サイトに追加することができ、小規模事業者が最小限の労力とコストで導入できるオンライン決済サービスだ。

SPIKEには高い与信力があり、大幅な値引き感が享受できる大企業向けの決済サービスではない。手続きの煩わしさ、手数料の高さが原因でこれまで導入に踏み切れなかった世界中の個人事業主や新規開業者、中小企業を対象としたサービスなのである。

今後の展望と実現はいかに

現在はオープンベータ版の公開につき、フリープランのみの提供となっている。決済は現状、日本円とUSドルのみで可能となっているが、今後は対応する通貨も拡大する予定だ。2016年には年間2兆円の決済額を目指しているという。

発表当初から言われていた「完全無料」のサービスは、現在発表されているサービス内容に関して言えばいわゆるフリーミアムモデルとなるが、継続可能なビジネスとしてどのように無料化を実現するのだろうか。

「運営はシンガポール法人」がポイントか?

「一体全体どういうこと?」「マネタイズはなんだ?」と波紋が広まるSPIKE。実はこのサービス、メタップスのシンガポール法人からのリリースとなる。アジア圏では、未だにカード決済が主流となっていない国が少なくない。メタップスでは今後、カード決済以外のモバイル決済の展開も視野に入れているとのこと。メタップスのアプリ広告事業も、もともとはシンガポールからアジア全土に展開していった経歴があることから、そのノウハウを生かしていくためにサービスの拠点にシンガポールを選んだのではないだろうか。

メタップス社長の佐藤航陽氏はTechWaveにて以下のようなコメントをしていた。「メールやクラウドやアプリケーションのように、この領域も『フリーミアム化』していくと考えてビジネスモデルを組んでいます」。まだまだ謎の多い発言ではあるが、もしかすると今後、SPIKEを口切りとして「決済」という領域のみならず、「通貨」の概念すら変わってしまうような未来がやってくるのかもしれない。