R-Camp潜入!楽天の方向性/ルール明確化への店の反応は?楽天どう動く

石郷“145”マナブ

楽天の始まりを整理

 楽天が、今考えていること、そしてこれから目指しているところはどこなのか?楽天株式会社(以下、楽天)が開催したR-Campという名の懇談会で、複数社の記者にまみれながら、そんなことを思った。

 ECカンパニーディレクター松村 亮氏によれば、「楽天は、1997年の創業以来、今に至るまで、3つのステージで分けられる」という。

最初の段階は、「マーケットを作ってきたステージ」だ。このステージにおいては、楽天はEC市場を独占していて、商品数、店舗数が大事だった。故に、店舗数や商品数の増加ととも、楽天の成長があり、売り上げも上がった。そのため、楽天は店舗を獲得する動きを積極的に行ってきたし、ECCを通じて各店舗の商品数の増加、売り上げのアップのために共に歩んできたのだ。

ポイントを使い、大型キャンペーンで、店を巻き込む

 そして、次のステージ(第2期)に差し掛かる。この第2期ではスーパーポイントを活用するフェーズに入っている。2002年に、スーパーポイントが誕生し、それを使っての大型キャンペーンを行ない、ポイントを通じて店舗を巻き込んでいくという時期にさしかかった。複数店舗が揃い、店を横断し、ポイントを活用できることに、楽天であるメリットがあったわけだ。

 そして、現在のステージ(第3期)となる。このステージに来ると、もはや、商品量ではなくなり、商品の質が問われるようになってくるという。その理由は、かつて独占的だったこの市場も、以前と比べて、Amazonやヤフーといったライバルの存在が台頭してきており、差別化が必要になったからなのだ。ショップにおいても、楽天以外に、Amazonやヤフーに出店しているという例も少なくない。

 そこで、今何をしようということになる。まず、掲げるのは“お買い得”だ。同じものを買うなら、お買い得で、使いやすい、ということ。楽天が強調するのは、それを構造的にできているのか、ということだ。ポイントを活用するのだが、それ自体は、今となっては手段にすぎない。ここで生きてくるのが、楽天経済圏だ。楽天が言う構造的の意味は、グループ全体でLTV(顧客生涯価値)が出るようにしていく。グループ全体でいかにお得感を出していけるかが、これからの大事なポイントになってくるとしている。

楽天グループで、考えることが大事

楽天グループで、考えることが大事

 つまり、彼らが言うのは、楽天市場ではなく、楽天グループ対Amazonだというのだ。実際、サービスとしては、楽天のほうが他のモールに比べても、いろいろ多くて、特にトラベルでは強い。

 もう一つ、掲げているのは“データ”に関してだ。データの活用方法を変化させていくとした。実は、最近、楽天市場では、カテゴリーのページも、リニューアルされており、商品がずらりと並んでいたおなじみのページは、写真の通り、ランキングやレビュー4.0以上のアイテム、ワイシャツの種類と言った具合に、様々なデータを反映したものへと、徐々に変化している。また、これらもまたどういう商品やカテゴリー、あるいは見せ方をすると、一番お客様の転換率が上がっていくのかを反映していくというのだ。

 また、今のフェーズとしては、ブランディングが大事だとしており、今まではプロモーションを強化していたが、もう少し楽天の本質的な部分を前面に打ち出し、イメージを大事にしていく。ある意味、Rファンの動きや、お買い物パンダといった形での親しみやすさは、この楽天のブランディングに大きな影響を及ぼすことになる。

 記者同士の意見交換会ということで、ちょっと私なりに、質問を投げかけてきました。それは・・
楽天のルールの明確化に対して店はどう反応?そして、楽天はどう動いたのか?次のページで

ルールの明確化は店舗にどう響いたのか?

 楽天は、安心安全についての新たな施策に9月から着手する。中でも、気になったのは、ルールを明確化していく施策をしていくのだが、レビューへの傾聴施策だ。レビューが、3点未満のものに関しては、お客様とネットショップの両方との間に、楽天が、程よく介在して、直ちにお客様に楽天が直接、電話によりヒヤリングを行う。この内容によっては、問題が発生した場合の中身を、累積で減点方式になっており、それに対しては、店からの反応が少なからず考えられたからだ。実際、それを楽天は、非常にナイーブな問題なので、時間をかけて、ショップへの説明を行ってきたと話していた。僕が思うに、ショップの声は実際、どうだったのか?それを受けて、楽天はどう動いたのか。

 これについて、執行役員の河野奈保さんは答えてくれた。楽天としては、「毎日、何件、問い合わせがきた。カテゴリーはなんで、内容はなんなのか?解決したのか?」をチェックをしている。「多かったものはルールの書き直しやQ&Aを作っている。運用方法をいくつか変えている。」という。グレーなものとしてブラックとして評価されるんでいないかというものへの疑念も解決しつつある。そこに加えて、店舗に関しては、ダメなことばかり言われても、という声を踏まえ、「こういう店舗運営をしていくことが大事」という指針を記載した、紙のガイドブックを作成した。それをこの記者意見会で、初めて公開した。これらは順次、店舗に配られるという。

 改めて楽天が今までの経緯を含めて、何をすることが大事なのかという部分に迫る内容だったと思われる。確かに、店舗にとっては、売り上げなどが気になるところであるが、以前と同じような局面ではないという認識した上で、今までと同じような成長のあり方を求めるのではなく、新たな見方で、楽天とどう付き合っていくかを考えていくことが大事なのではないか。

河野氏がかつて、こう語っていた「ルールの明確化・傾聴施策」


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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