インドと日本調査から見る、ECアプリの可能性【AppAnnie調べ】

ECのミカタ編集部

 今や、街中でも、電車でも、ほとんどの人が利用しているスマートフォン。その利用目的は多岐に渡るが、重要な役割を果たしているのが「アプリ」だ。特に、最近話題のアプリと言えば「ポケモンGO」が思い浮かぶが、スマートフォンでよく利用するサービスは、アプリ経由で利用することで利便性が増す。

 それを生かし、ECでもアプリ化をしている店舗も多くなっており、アプリ経由でのECの利用率も高まっている。そんな、ECとアプリの関係について、AppAnnieの調査「急成長を続けるインド小売アプリ市場」を基に考えていく。

インドのアプリで最も成長率を高めているのは「Eコマース」

  調査によると、インドのモバイル端末の契約者数は10億人を超え、同国におけるモバイルの圧倒的な潜在力を浮き彫りにしている。同時に、インドのモバイルアプリ市場も好調だ。ゲームを除くモバイルアプリのダウンロード数は、2014年第1四半期から2年間で倍増している。その結果、インドはダウンロード数トップ10の市場となり、その中でもトップの成長率を記録している。インドのアプリストアのダウンロード数は、2020年には201億円に達する見込みで、ここからも、インドのアプリ市場の急成長の兆しが見て取れる。好調の要因としては、インドの若い層や起業家精神を持った層にとって、経済の見通しが明るくなってきたことも大きい。

 具体的に急成長を遂げているアプリ分野の1つが「Eコマース」だ。急激なイノベーションと成長によりインドの小売アプリ市場の未来は明るいと言える。実際、消費者がモバイルでの買い物に費やす時間も大幅に伸びている。小売アプリの利用時間は、2014年第1四半期~2016年第1四半期に11倍以上増加した。これは、支出額の増加にも繋がっており、2015年にはEコマースがオンライン小売の売上高の50%近くを占めた。

 特に、この2年間では、AmazonやWishの海外勢の勢力拡大が目立つ。2016年第1四半期には、ついにAmazonがインドにおけるiOSとGoogle Playの合計ダウンロード数で1位を獲得した。Amazonは、代金引換払いのオプションや出品者向けにノウハウを提供したり、地域の受け取り場所を全国に設置したりするなど、インド市場向けにサービスをローカライズしている。一方、Wishはアパレル事業に商品の発見とキュレーションの要素を効果的に取り組み、活発なエンゲージメントとSNS共有に繋げている。

 このように、インドのアプリ市場では、ダウンロード数に占める国外の小売プレイヤーの割合が増加しており、インドのプレイヤーはサプライチェーン、マーケティング、サポート体制のさらなる強化が必要となる。インドの消費者がAmazonとWishを受け入れているのは価格競争力だけではなく、顧客サービス、他で手に入らない商品、革新的なマーケティングも消費者を引き付けている要因だ。

参考:AppAnnie「急成長を続けるインド小売アプリ市場」

日本のアプリ市場、最もインストールされるアプリは?

 インドのアプリ市場が理解できたところで、一方、日本の状況はどうだろうか。続いては、昨年にMMD研究所が実施した「スマートフォン利用者実態調査」の主にアプリの部分に注目して、実態を明らかにしていく。

 調査によると、スマートフォンにインストールしているアプリの数について、「11~15個」という回答が17.5%と最も多かった。次いで「16~20個」が16.1%、「6~10個」が15.9%となり、平均で22.3個のアプリがインストールされていることが判明した。

 次に、インストールしているアプリに関しては、最もインストールされているアプリは「SNS・コミュニケーション」(71.2%)であったが、「EC/オークション」も50.3%と5割を超えている。

 また、年代別では、10代~30代のよく利用するTOP5は、「SNS・コミュニケーション」(49.7%)、「ゲーム」(47.1%)、「動画」(23.7%)、「ミュージック」(14.3%)、「EC/オークション」(13.3%)だった。40代~50代のTOP5は、「SNS・コミュニケーション」(36.8%)、「ゲーム」(34.3%)、「天気」(28.1%)、「EC/オークション」(18.9%)、「動画」(17.4%)となった。

 今回の調査では、日本でも「EC/オークション」に関するアプリをインストールする人は多いという結果となった。よく利用するアプリのTOP5にも入り、今後伸びていく可能性は十分にあり得るだろう。

参考:MMD研究所「スマートフォン利用者実態調査」

インド同様に日本でも「Amazon」は人気

 インドの利用率が高いECのアプリに「Amazon」が挙がったが、日本でも、アプリには限らないが、MMD研究所と株式会社コロプラの共同調査による「2016年ネットショッピングに関する調査」で、Amazonが1位という結果を残している。

 調査によると、6ヶ月以内にネットショッピングをした人に、利用したネットショッピングサイトを聞いたところ、「Amazon」が76.9%と最も多かった。次いで「楽天」が48.3%、「Yahoo!ショッピング」が18.7%であった。ちなみに購入商品は、10代は「本・雑誌・コミック、衣服・靴・アクセサリー、生活雑貨・日用品」、30代は「生活雑貨・日用品、衣類・靴・アクセサリー、本・雑誌・コミック」となった。

 さらに、Amazonプライムサービスの利用に関しては、「現在利用している」が16.8%、「過去に利用したことがある」が18.6%と合わせて35.4%がAmazonプライムサービスを利用していることが判明した。さらに、有料会員登録は、45.1%が「会員登録をしたことがある」と回答し、54.9%が「無料・トライアル利用のみ」と回答した。

 これらの調査から、インドも日本も「Amazon」が人気なことは明確だ。インドの調査で「価格競争力だけが人気の理由ではない」と述べたが、Amazonは「お急ぎ便」で商品を早く手に入れることができたり、「Amazonパントリー」のような食品や日用品を中心に幅広く購入することができたりとメリットが多い。こういったサービスが顧客満足に繋がり、人々に愛されるのだろう。

参考:MMD研究所と株式会社コロプラの共同調査「2016年ネットショッピングに関する調査」

Amazonプライム会員のメリット

ECアプリに秘められた可能性

 日本でも、Amazonや楽天を始めとし、アパレルECとして人気が高い「ZOZOTOWN」や家具・インテリアなどを幅広く扱う「ニトリ」などもアプリ化を進めている。アプリ化が進む理由としては、やはり、スマートフォンの利用率向上があるだろう。スマートフォンからECサイトにアクセスする場合、アプリからアクセスした方が早く、買い物がしやすい。

 さらに、アプリ特有の「プッシュ通知」もECにとって有効な販促ツールだ。プッシュ通知で、新商品発売やセール、クーポン情報など知らせることで、メールマガジンなどに比べ開封率が高くなるという効果もあるようだ。アプリは常にスマホの画面上にあるため接触率が高く、簡単に見ることができるため、開封する可能性が高まるのだろう。

 以上のようなアプリに秘められている可能性を考えると、今後もスマートフォン利用率の高まりと並行して、ECアプリ化も高まっていくはずだ。それにより、今以上にユーザーの買い物の幅が広がっていくだろう。ますます利便性が高まっていくECに目が離せない。

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