楽天の動きに前兆が?2016年ハロウィン傾向を占う

ECのミカタ編集部

日本でも大騒ぎのハロウィンは10月31日

 「trick or treat!」

 その一言とともに無邪気な笑顔を輝かせる子供に、お菓子をプレゼントしない術はないだろう。

 ハロウィンとは、アメリカ合衆国で10月31日に行われる民事行事である。子供がお化けなどに仮装をし、「trick or treat!」 つまり「お菓子をくれないとイタズラするぞ!」と言い、近所を回ってお菓子をもらう風習がある。

 しかし近年、日本では若者を中心に様々な仮装をし、街へ繰り出しているということをご存知の方も多いのではないだろうか。その仮装のクオリティは毎年上がっていて、驚かせられる。そして今や若者だけでなく、小さな子供を持つ母親たちにまで影響を与えている。

楽天にてハロウィン特設サイトがオープン

楽天にてハロウィン特設サイトがオープン楽天「ハロウィン特集 2016」

 そんなハロウィンだが、楽天株式会社(以下、楽天)は、自社が運営する楽天市場へ、10月31日に先駆けて特設サイトの「ハロウィン特集 2016」を9月1日にオープンした。ハロウィンを楽しむ文化が日本へ浸透するにつれて、楽天市場でのハロウィン関連商品の流通は毎年増えている。そして、流通総額は2011年から2015年で約7.2倍と好調に推移している様子だ。

 今年のハロウィン特集では「みんなで楽しむハロウィン」をテーマとして、友達やカップル、団体、そして親子など幅広い楽しみ方を提案。また、ハロウィンアイテムに加えて、メイクやレシピなどの役立つ情報も掲載する。

ハロウィン特集、楽天とAmazonを徹底比較!

9月の上旬、ハロウィン準備は早い?遅い?

9月の上旬、ハロウィン準備は早い?遅い?

 しかしよく考えてみると、まだ9月上旬だ。10月31日のハロウィンの準備をするにしては、早いと考える人もいるだろう。消費者の動きは、どれほどあるのだろうか。

 楽天によると、ハロウィン準備の早期化の傾向があるという。楽天市場のハロウィン関連の売上の動向は、8月から動き始めるという結果が出ている。その理由としては、テーマパークのイベントが9月初旬から始まるからだと言われている。

 また、楽天市場のハロウィン関連商品の売上は、毎年約170%のペースで成長中。おそらく今年もさらに伸びていくことだろう。商品数も毎年増加しており、2016年は約245万点にも及ぶ。これほど大量の商品が販売されているということは、消費者だけでなく、EC事業者もハロウィンに注目して力を入れている証拠であると考えられるのではないだろうか。

 そして驚くべきところは、市場規模はバレンタインとほぼ同等であるということだ。日本の文化に深く根付いているバレンタイン。そのイベントと、ここ数年で流行してきたハロウィンが同規模であるというのだ。やはりハロウィンはEC事業者にとっても注力するべきイベントだと言えるだろう。早めに対策するが吉である。

Instagramの利用は、母親世代へ普及

Instagramの利用は、母親世代へ普及主なSNS利用率(出典:ICT総研)

 ハロウィンはここ数年、若者を中心に騒がれてきたイメージがある。しかし実は、楽天市場のハロウィンアイテムのメイン購買層は、小さな子供を育てる母親世代でもある30代から40代女性が、全体の約4割を占めているのだ。キッズ仮装アイテムを購入し、ハロウィンを家族で楽しむ傾向が見られる。

 若者は自分たちが仮装をして、身を以てハロウィンを楽しんでいる。では、なぜ母親は子供に仮装させるのだろうか。その疑問を解決するキーワードとして今、日本で流行を巻き起こしている“Instagram(インスタグラム)”が挙げられる。

 株式会社ICT総研が発表している「2016年度のSNS利用動向に関する調査結果」によると、2016年末にSNS利用者は6,872万人、ネットユーザー全体に占める利用率は69.3%となる見込みで、年々増加している。そして2016年の年間純増者数は384万人と予想されており、1ヶ月平均で約32万人の利用者が増加している。

 SNSは元々10代から20代の若年層を中心に普及し利用されてきた。しかし近年、SNSの利用が当たり前になってきたため、若年層以外の年齢層へもSNS利用が拡大してきた。

 その中で、Instagramの利用率は昨年の11.4%から倍増している。なお、今後も引き続き成長していくと見込まれる。このことから、ハロウィンを楽しむ30代から40代の母親は、子供の仮装姿をInstagramなどといったSNSへ投稿することが予想できる。

Instagramの利用率が急上昇?圧倒的勢い

次のページにて、ハロウィン攻略法を探るべく、記者が楽天へ潜入してみた。

楽天主催、「プロが教える“インスタ映え”ハロウィンフォト講座」

楽天主催、「プロが教える“インスタ映え”ハロウィンフォト講座」フォトグラファー 狐塚 勇介氏

 では、全体の4割の占める購買層である母親へ、ハロウィンアイテムの購入促進するには、何を重視するべきなのだろうか。

そんな疑問を解決するべく、記者は9月7日に行われた楽天が開催する「プロが教える“インスタ映え”ハロウィンフォト講座」に参加した。

 これは、家族全員でハロウィンを楽しみたいファミリーを対象に、実際にハロウィン衣装を身にまとった子供を撮影する方法を教えるというイベントである。 フォトグラファーの狐塚 勇介氏を迎え、Instagram映えするテクニックを親子に伝授した。

会場の様子

 会場の壁一面には、楽天市場と出店店舗である壁紙屋本舗が共同で開発した新商品の「ハロウィンや年賀状の撮影に使えるフォトバックシート」が貼り付けてある。

 また、子供が着る様の衣装として、楽天市場で売られている可愛らしいキャラクターものの衣装や小物が用意してある。その中で、どうしたら可愛いわが子をさらに可愛く撮影できるのか、と奮闘する母親たち。相当気合が入っているように感じられる。

ハロウィンで生きてくる、母親の心理

ハロウィンで生きてくる、母親の心理

 皆さん、このイベント名である「プロが教える“インスタ映え”ハロウィンフォト講座」でもお気づきかもしれないが、今年のハロウィンのトレンドは“Instagram映え”だ。壁一面に貼り付けてある壁紙も、用意された衣装や小物も、全てInstagram映えする写真を撮影するために用意されたのだ。親子は思い思いに用意された衣装・小物を使って、狐塚氏の指導の元、写真を撮影していく。誰もが皆、真剣だ。

 親であれば、我が子をより可愛く見せたい、という想いを持っていることだろう。そして、その我が子を周りの人達に知ってほしいという心理が働いている。そのツールとしてInstagramがあり、我が子を共有するために利用する母親が多いのだ。また、ハロウィンは仮装するイベントだという認知があるため、仮装した我が子を共有する絶好の機会なのだ。

ハロウィン攻略には、親子とインスタをおさえろ!

ハロウィン攻略には、親子とインスタをおさえろ!

 今年のハロウィン商戦はもう始まっている。その中でハロウィンイベントにて成功を収めるためには、“母親”と“Instagram映え”というキーワードをおさえておくことが重要なのだ。

 現在、利用率が急上昇しているInstagramにおいて、我が子を共有したいという心理を持つ母親。ハロウィンというイベントで、仮装姿の我が子をInstagramに載せるために、SNS映えするアイテムを購入する傾向があるはずだ。いかに母親の心を掴む商品を提案できるかが、明暗を分けるだろう。


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