ヤフオク!×BOOKOFFで「ヤフ!OFF」? その実態は

ヤフーの宮坂学社長は24日、中古書店「BOOKOFF」を運営するブックオフコーポレーションとの資本・業務提携を発表した。会見では「『ヤフ!OFF』になったつもりで“リユース革命”を起こしたい」と意気込みを語った。全国のBOOKOFF店舗で買い取った商品を「ヤフオク!」で販売し、BOOKOFFの在庫流通の活性化とヤフオク!の品揃えを強化し、中古市場として存在感を増すAmazonや他社のフリーマーケット(フリマ)アプリに対抗する模様だ。

15年度中をめどに大規模物流センターを開設

現在、ヤフオク!では約200万冊の中古本を取り扱っているが、BOOKOFF店舗の中古本をヤフオク!に出品することで、2016年までにAmazonと同等の1000万冊を目指している。CD・DVD、ゲームソフトなど中古本以外の商品も順次ヤフオク!で販売予定。今年7月からはBOOKOFF店舗内に「総合買い取り受付窓口」を設置し、アパレルやブランド品、雑貨などの買い取りも行い、ヤフオク!に出品する。

また、ヤフーはブックオフに合計約92億円を出資。15年度中をめどに、日本最大級の約5万平方メートルのリユースセンターを首都圏に開設する。BOOKOFFで引き取ってヤフオク!で販売する商品の倉庫として使用するほか、商品管理や配送を代行するフルフィルメントサービスの提供、ヤフオク!出品者が商品を仕入れられるBtoBマーケットプレイスとしての活用も検討している。

目指すはリユース率100%

手持ちの中古品を処分してしまうのは勿体ない、出来る限り売りたいという気持ちはあっても、ヤフオク!に出品するのは面倒という声は少なくなかった。スマホで簡単に出品ができる「LINE MALL(LINEモール)」や短時間でネットショップの開設ができる「BASE(ベイス)」などの手軽に出品できるフリマアプリが普及する中で、ヤフオク!も「最短30秒で出品できる」とうたった新アプリをリリースするなど、出品の手軽さを強化してきた。

しかし、店舗に持ち込むだけで買い取ってもらえるBOOKOFFは、アプリで出品するよりもシンプルで分かりやすい。宮坂氏は「日本国内でのリユース経験者は、まだ40%にとどまっており、年に1度もリユースしない人が60%もいる。そういった方々に、年に1度で良いからリユースしてもらい、リユース率を100%にしたい」と強調した。

ヤフオク!に出品でロスを削減

ヤフオク!の年間出品数は約50億点、利用者は1000万人とネットリユース市場の約8割を占めている(ヤフー調べ)。一方で、オフラインのリユース市場はネットの倍以上あり、ネットと実店舗が組むことで消費者の利点は広がる。

また、BOOKOFFの年間買い取り件数は約5億点。売買客数は約1億人に上るが、来店できるのはその地域に住む人に限られるため、全国規模で見ればニーズのある商品も、店舗では売れ残ってしまう可能性がある。そういった商品をヤフオク!に出品することでロスを削減していく方針のようだ。実際にBOOKOFFで数百円で販売されている商品が、ヤフオク!では思わぬ高値で落札された前例もある。宮坂氏は、BOOKOFFで100円で売っていた「NEOGEO」のソフトが、ヤフオク!では7万4000円で売れたことを例に挙げ、「両者が組み合わさると力になる」と語った。

すべての人の選択肢の中に「リユース」を

リユース市場は膨らんでいる。環境省の推定によると、2012年の時点で市場規模(自動車・バイクを除く、未使用品含む)は約1兆2000億円。2009年と比べて約2割増加しており、今後も膨らむ見通しだ。ヤフーとブックオフが資本提携に踏み切った背景には、リユース市場で進むリアル店舗とネット販売との融合がある。

多くの消費者が「買う、捨てる、そしてまた買う」を繰り返している。これを、ヤフーとブックオフの提携により「作る、買う、そしてリユースする」に変化させたいという。宮坂氏は「すべての人の選択肢の中にリユースを入れよう、というのが今回一緒になってやりたいこと。リユースを当たり前のことにしていきたい」と語った。