9月14日、Yahoo!ショッピング出店ストア向けのCRMツールである「STORE’s R∞（ストアーズアールエイト）」がリリースされた。本サービスは提供前から注目を集めていたが、開始日から半月で申し込みストアが2,500件を突破したという。

　「STORE’s R∞」がここまで指示される理由を、読み解いていく。

Yahoo!「STORE’s R∞」、伸びの理由①“無料”にアリ？

　「STORE’s R∞」とは、「R∞」というバリューコマース株式会社（以下、バリューコマース）が提供しているマーケティングオートメーションツールを、Yahoo!ショッピング出店ストア向けに特別パッケージ化したCRMツールである。

　本ツールは、メール・広告出稿・顧客分析・販売分析・ROI管理・顧客育成シナリオ・アクセス解析・ウェブ販促・アプリプッシュといった機能を一元管理することが可能。また、顧客の行動情報を分析し、新規顧客・優良顧客・離反しそうな顧客というように分類し、「お得意様クーポン」などというように顧客の状況に合わせた情報を配信することができる。そのため、新規顧客や離反顧客をリピーターへ引き上げることが可能なのだ。

　今、申し込みが増えている理由としては、このツールを無料で利用できることが挙げられる。「STORE’s R∞」を利用できるEC事業者は、ヤフーの広告商品である「PRオプション」を利用している事業者に限られる。

「PRオプション」とは、商品検索結果リスト及び「カート」に出せる入札型の広告商品であり、1～15％の料率で設定されている。成果報酬であるため、EC事業者はコストを最小限に抑えることができる。

　そう、この「PRオプション」を利用していれば、無料で「STORE’s R∞」を取り入れることができるのだ。もともとマーケティングオートメーションツールというのは、月額数万円～数十万円の費用がかかる場合が多い。それが無料で利用できるとなると、導入を歓迎するEC事業者も多いはずだ。

Yahoo!「STORE’s R∞」、伸びの理由②機能展開が鍵

　また、今後の機能追加も、申し込みストアが2,500件を突破した大きな要因の1つと言える。

　ヤフーは「STORE’s R∞」をリリースする際に、今後も随時機能を増やしていくと発表していた。大きく分けて4機能を、2016年10月下旬頃に追加する予定である。

①管理画面上でのクーポン発行機能
　EC事業者の作業負担を軽減するために、「STORE’s R∞」の管理画面上でクーポンを発行することができる機能を実装する。

②予算管理機能
　気がつかないうちに予算を超えていたという事態をなくすため、予算上限に達するとクーポン表示が制限される機能を実装する。

③カスタマイズ機能
　割引クーポンなどの対象商品を選ぶことができる機能を実装する。

④ABテスト機能へ検証機能の追加
　クーポンやキャンペーンの文言の効果比較のみ可能だったABテスト機能へ、セール情報やおすすめの特集など、どのようなコンテンツが訴求効果が高いのかを検証できる機能を実装する。

　これらの機能は、運営をより効率化し、商品購入を促す施策を検討することができるだろう。よりYahoo!ショッピング出店店舗に寄り添った、売上を伸ばすようなツールに進化していくのだ。そのため、「STORE’s R∞」を自社の運営に取り入れるべく、申し込むEC事業者が多数。結果として、申し込み数が増え続けていると言える。

　「STORE’s R∞」の提供が始まってから、申し込みが半月で2,500件を突破するとは決して少ないとは言えない数字だろう。それほどEC事業者は、無料であることや機能が充実されることから、このツールを“必要”と感じたのである。そこのニーズを汲み取り、売上を伸ばせるようなツールの提供を始めたヤフー。PRオプション利用は必須とはいえ、Yahoo!ショッピングに出店し運営していく価値は、また大きく飛躍したと言えるのではないだろうか。今後も申し込み店舗は増えていくことが予想され、そこでの豊富な成功事例の登場が楽しみである。