EC業界News1週間まとめ〜DeNAモールKDDIに譲渡で何が変わる?/楽天の決済改革で影響のある企業も?
10/2〜8までのEC業界Newsをギュギュっとまとめました
こんにちは。メディア編集部石郷です。
今週読まれたのはこちら。
【速報】DeNA、ショッピングモール事業をKDDIへ譲渡
https://www.ecnomikata.com/ecnews/11436/
資生堂/ユニ・チャーム/ライオンが協業で売り場が進化
https://www.ecnomikata.com/ecnews/11326/
「楽天ペイ(楽天市場店舗向けペイメントサービス)」始動。傾聴から改善へ、その真意は。
https://www.ecnomikata.com/ecnews/11420/
講談社、Amazonに抗議声明。何が起こっているのか
https://www.ecnomikata.com/ecnews/11368/
KDDIが動いた!ECの新たな風を起こす?
今週はまずDeNAがショッピングモール事業を、KDDIに譲渡する話です。基本的には、DeNAが66.6%、KDDIが33.4%を出資して、子会社を作り、そこにDeNAショッピングモールとDeNAの子会社モバオクを移し、その子会社の株式をKDDIが取得して、完全子会社化するという話なのです。
DeNAは正直、Amazon、楽天、ヤフーに比べると、店舗間での印象がなくなっているのは事実です。またKDDIは昨今、スマホが浸透したことで、キャリア間における携帯端末で差別化要因を打ち出しづらくなり、その個性を出すために、コンテンツの強化を図ってきました。
それが「auWALLET Market」で、例えば、auショップでタブレット端末を使って、ショップに訪れたお客様に、定期購入に最適である、良質な水や米など提案して、ECになじみのないお客様に、商品を提供してきました。とはいえ、ECのプロではないので、ここではそれほど話題になっている印象はありません。
それゆえ、お互いの思惑が一致し、KDDIが今必要とするEC事業を取り込むことで、コンテンツを強化、他のキャリアと差別化を図ろうということなのかもしれません。
DeNA南場社長にとっては根幹事業だったはず・・・
そして、KDDIとしては携帯キャリアというポジションから、電力事業にも乗り出していることでもわかる通り、ライフスタイルを提案する総合的な会社を目指すものと考えられ、その中において、ECが欠かせないものと考えてもおかしくありません。今回、これにより補強できるのは非常にメリットがあるものと考えられます。いわゆる、ライフスタイル提案型になりますから、様々なKDDIのサービスを複数使うほどに、お客様がメリットを感じられる、au経済圏とでもいいますか、そういうプランを設定してくるでしょう。KDDIの頭にあるのは、auを携帯のブランドではなく、生活に密着した総合的なブランドにしていくのではないかと思うのです。
ただ、思うに、ヤフーショッピングは資本の関係があってSoftBankとの連携のイメージが強いです。そして、DeNAショッピングに当たるECがKDDIと連携を強めるとなると、気になるのは、NTTドコモ・・・・。ここにおいて、もう一波乱あるのでしょうか。
個人的には、この話題、DeNAのファウンダー南場智子さんにとっては衝撃的なのではないかなと思います。DeNAのeに込められたのは、eコマースのeです。1999年、 DeNAはモバイルのオークションサイトであったビッダーズから始まっています。現に、古くからやられているネットショップは自分が運営する店舗として「楽天、ヤフー、ビッダーズ」をあげる人が多かったと思います。ビッダーズは特に、初期はモバイルでの存在感があり、大きな存在でした。創業者ですから、その事業がポッカリなくなることに些かの寂しさがあってしかるべきです。
また、ある種、スマホの浸透で、ECの主戦場がモバイルとなったところで、まさに、携帯キャリアKDDIとの間で、KDDIも会社の軸が変わりつつある中で、このようなことになるということも、まさに時代の流れであり、運命的だと思います。
楽天が決済改革で、店の運営が変わる
続いて、楽天の決済の変化についてです。来春の話にはなりますが、楽天の決済絡みの環境がかわります。
「楽天ペイ(楽天市場店舗向けペイメントサービス)」といいます。
これはお客様にも変化がある話です。これまでお客様が決済をする際には、決済手段が3個に限られていましたが、この手段を拡大させて、それを統一化するということになりました。これによりお客様が楽天でECをやりやすくなるということになります。
ここからが店舗にも関わる話ですが、当然決済フローが増えれば、店舗側の工数が増えてしまいます。そこで、楽天は決済代行を自らやることになり、例えば、顧客への入金依頼処理や入金確認業務、返金・返品処理などの一切を楽天側で代行するということになります。その分、店舗運営社には、負担がなくなり、本来やるべき戦略などに打ち込むことができます。
資金繰りにも影響がありそうな・・・次のヘージへ
資金繰りがやりやすくなる、楽天の新施策
店舗の中にはコストを最小限に抑えるために、受注発注で店舗を運営しているところがあると思います。そこで、大きいのは、クレジットカード決済の支払いサイト30日を10日短縮し、20日となるという。例えば、今月お客様からの商品の受注があったとして、すると、店舗がメーカー(問屋)に発注します。当然、その支払いは末締め翌月末払いであれば、来月の末日に支払わなければならないわけですが、お客様からの購入代金は、20日サイトになるので、自分の支払いよりも10日早く、そのメーカーに払わなければいけない金額が店に入ってくるので、メーカーへの支払いが滞ることなく、その分、仕掛けで勝負をかけることができます。
いずれにせよ、戦略がなければ、ヒットは掴めないものの、支払うべき金額に対する現金が早く入ってくるのは、店にとって大いなる安心につながります。特にクレジットカードでの取引は、楽天市場の取引額全体の約80%を占めているというので、店にとっての影響は大きいものと考えられます。
楽天の真の狙いは、店舗がやるべきことに打ち込むことで、ECの品質向上を図る事
他、これによって、楽天からお金が入ってくる部分が増えることになりますので、店舗側が楽天側に支払うお金の部分もやりやすくなるようにと、あらかじめ、楽天側が店舗に支払う金額の中で、店舗が楽天に支払う額を相殺して、店舗が振込にかかる工数を減少させるという話もしています。
あくまでも楽天としては、店舗運営がしやすくなるという部分の話だと思います。店舗が打ち込むべきは、頭を使って戦略を考え、仕掛けをすることになりますから、そこの部分を楽天が担ってくれるというのはとても大きいです。これが結果的に、商品の品質を良くして、より顧客サービスを向上させることにつながるわけであり、楽天がこのところ強調する、安心安全で快適なショッピングというブランディングが磐石に構築されることになるでしょう。
ただ、楽天の方々と話をしていて、やはりそれでも店舗にとって気になるのは、これに伴う手数料だと思うという話をさせていただきました。その点に関しては、このような形になるようです。あまり楽天としてはアピールしたくない部分ではあるかと思いますが、店舗にとっては自分たちの売り上げに関わる大事なところですので、下記に示しました。
店舗にとっては、モール事業の役割やスタンスが変わりつつある事を感じさせる1週間になったような気がします。
今日のところはこの辺で。
来週も笑顔溢れる1週間でありますよう。