Emotion DataとTREASURE DMP連携でCPA50%減

ECのミカタ編集部

 Emotion Intelligence株式会社(以下、emin社)が、自社が保有するWebユーザーの行動情報データ「Emotion Data」をトレジャーデータ株式会社(以下トレジャーデータ社)が提供するプライベートDMPソリューション「TRESURE DMP」に連携することを発表した。これにより、何ができるようになるのだろうか。

「ZenClerk」に見る、emin社の強み

 emin社は、「Webブラウザ上のユーザーの無意識の行動から次の行動を予測する」という領域に焦点を当てビジネスを展開してきた。

 emin社を代表するサービスが、ECサイト向けクーポン配布最適化システム「ZenClerk」シリーズ。このサービスは、「商品画像を何度も切り替える」「商品レビューを読み込む」「価格のところでマウスが行ったり来たりする」といった消費者の心理を分析、「興味や購買意欲が高まる動き」をリアルタイムで推定しクーポンを表示、最終的に売上へと繋げることができる。

 ここでemin社が得意とするのが、膨大な量のユーザー行動データ収集と特徴量分析だ。ユーザー行動解析のために追跡するデータはPV単位ではなく、「マウスの動き」や「スクロールのスピード」などといったPV内の詳細な閲覧行動も含まれる。そのため正確に「クーポンがあれば買う人」を見分け、クーポンを効率的に配布することができるのだ。そして今回、emin社が長年培ってきた技術を用いて分析したデータ「Emotion Data」と「TREASURE DMP」が連携することになった。

「TREASURE DMP」とは?

 ではトレジャーデータ社が提供する「TREASURE DMP」とは、どのようなサービスなのだろうか。

 トレジャーデータ社が提供する「TREASURE DMP」は、データマーケティングに欠かすことのできないクラウド型のプライベートDMPだ。DMPとは顧客データを一元的に収納・管理するプラットフォームであり、「TREASURE DMP」は大容量の購買取引データやWeb閲覧データ、各種のアプリケーションやモバイル端末のログデータ等、様々な非構造化データに対応している。

 収集・保管・分析および他のマーケティングツールやサービスに連携しており、金額も一定の月額料金である。さらに、センサーデータやマシンデータ等、IoT分野におけるビッグデータへの対応も強化している。

「Emotion Data」×「TREASURE DMP」で得られるメリット

 今回「Emotion Data」と「TREASURE DMP」が連携することにより、「TREASURE DMP」を利用している他社DMP、そしてオンライン広告における広告主側の広告効果最大化の支援ツールのDSPへの「Emotion Data」の提供が可能になる。この連携はECサイトにとって有益に働くだろう。なぜならデータサイエンティストを自社で抱えなくても、サイト運営に活用可能な分析結果が手軽に手に入るからだ。

 事前に広告代理店との実証実験も行っており、そこでは効果を確認することができている。emin社が指定サイトから取得・分析した「Emotion Data」を元に広告配信を実施したところ、広告効率が大幅に改善することができたのだ。

 具体的には、ユーザー行動情報データを分析し購買確率を予想。そして「購買確率が高かったにもかかわらず購買決定に至らなかったユーザー」に対してリターゲティング広告を提示する取り組みを行った。その結果、顧客1人の獲得単価であるCPAを約50%削減することが可能になった。この“50%”という数字は、ECサイトにとって大きな数字だろう。

 この連携によって得られるメリットは、分析担当者を置く必要がなく、自社のユーザーの行動情報データ解析を行うことができるというところにある。そしてCPAも大きく削減することができるのだ。そして導入も1行程度のタグを該当サイトに設置するだけで利用開始することができるため、手軽にデータマーケティングを始めることが可能だ。

 このサービスが実現したのも、emin社が長年培ってきたユーザーの行動情報データの解析技術と知見があったからだ。実際ECサイトが一からデータを収集し、正しく解析するには、経験豊富なデータサイエンティストが必要になってしまう。効率よくユーザーの行動データを集め利用することが素早く成功へ進むことができる道と言えるだろう。今回の「Emotion Data」と「TREASURE DMP」の連携は、その近道なのではないだろうか。


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