千趣会、決算発表。EC事業は低迷、他事業は増収傾向

ECのミカタ編集部

 株式会社千趣会が、平成28年12月期 第3四半期決算短信を発表した。第3四半期連結累計期間(平成28年1月1日~平成28年9月30日)における日本経済は、企業収益や雇用環境に緩やかな改善が見られるものの、中国をはじめとする新興国の契機減速や英国のEU離脱問題などに起因する世界経済への悪影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況で推移した。小売業界では、消費者の慎重な購買姿勢が続くと共に、節約・低価格志向が強まるなど、力強さを欠く展開となっている。そんな中で千趣会はどのような対策を立てていくのだろうか。

最も比率の高い衣料品や服飾雑貨の売上が低迷

 株式会社千趣会は、平成30年度を最終年度とする中長期経営計画「Innovate for Smiles 2018」の3年目として、目標達成に向けグループ一丸となって取り組んでいる。そういった中、第3四半期連結累計期間の売上高は主軸の通信販売事業において、特に比率の高い衣料品、服飾雑貨の売上低迷により、930億57百万円(前年同期比3.3%減)となった。

 利益面では、売上総利益率の改善と販売費及び一般管理費の削減に努めたものの、売上減少分による利益減を補えず、営業損失は8億38百万円(前年同期は26億21百万円の営業損失)だった。経常損失は、前期に持分法適用関連会社化したワタベウェディング株式会社の持分法による投資利益等もあり、1億85百万円(前年同期は13億37百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億44百万円(前年同期は15億16百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となった。

ブライダル事業と法人事業の売上は増加傾向

 カタログ及びインターネットを中心とする通信販売事業の第3四半期連結累計期間の売上高は、775億82百万円(前年同期比5.7%減)であり、営業損失は9億13百万円(前年同期は28億73百万円の営業損失)となった。

 ハウスウエディングを中心としたブライダル事業の第3四半期連結累計期間の売上高は、112億50百万円(前年同期比10.1%増)であり、営業損失は3億61百万円(前年同期は38百万円の営業損失)となった。

 法人向けの商品・サービスを提供する法人事業の第3四半期連結累計期間の売上高は、34億79百万円(前年同期比11.8%増)であり、営業利益は3億95百万円(前年同期比50.5%増)となった。

 保険・クレジットなどを主とするサービス事業と保育事業などを行うその他の事業の第3四半期連結累計期間の売上高は、7億45百万円(前年同期比27.0%増)となり、営業利益は30百万円(前年同期比41.6%増)となった。

第3四半期連結会計期間末の総資産が減少した要因

 第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ51億33百万円減少し、1,002億18百万円となった。流通資産は、前連結会計年度末に比べ24億33百万円減少し、495億13百万円であった。これは、商品及び製品が42億94百万円増加した一方で、現金及び預金が39億8百万円、未収入金が29億14百万円とそれぞれ減少したことが主な要因となる。また固定資産は、有形固定資産が13億36百万円、無形固定資産が7億43百万円、投資その他の資産が6億19百万円とそれぞれ減少したことにより前連結会計年度末に比べ26億99百万円減少し、507億5百万円となった。

 流通負債は、前連結会計年度末に比べ13億25百万円減少し、300億84百万円だった。これは、買掛金が21億24百万円増加した一方で、電子記録債務が22億79百万円、その他が4億55百万円、1年内償還予定の社債が4億50百万円とそれぞれ減少したことが主な要因だ。固定負債は、前連結会計年度末に比べ9億10百万円増加し、211億46百万円となった。これは、その他が6億19百万円、長期借入金が2億85百万円とそれぞれ増加したことが主な要因である。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ47億18百万円減少し、489億87百万円となった。これは、繰延ヘッジ損益が37億20百万円、土地再評価差額金が3億53百万円、その他有価証券評価差額金が3億41百万円とそれぞれ減少したことが主な要因である。この結果、自己資本比率は48.8%となった。

 千趣会の決算発表により、通信販売事業が低迷していることが明らかとなったが、その他の事業である「ブライダル事業」や「法人事業」などは、前年よりも増収傾向にある。千趣会に限らず、市場の不透明さとEC市場の競争激化の中で、通販事業を強化するのか、他事業の展開で売上を保っていくのか、今後問われていくところだろう。


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