DeNAがキュレーションの緊急会見 MERYも非公開に

石郷“145”マナブ

DeNAのキュレーションに関する批判までの経緯

 株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)は、キュレーションプラットフォームに関しての多くの指摘を受けたことに関して、記者会見を実施した。

 もとより、DeNAは、iemoやペロリを買収し、キュレーションプラットフォーム事業を開始し、その後、合計10メディアを運営していた。その中で、「WELQ(ウェルク)」において、根拠が不明確で誤った認識につながりかねない医療関連の情報を載せていたことに関して、数多くの批判を集めることになった。これを受け、11月29日、「WELQ(ウェルク)」の全記事の非公開化をした。

 その後、MERY以外の9つのサイトにおいて記事の作成するマニュアル中で、他サイトからの転用を推奨しているとも取れる箇所があったという。MERY以外の9つのメディアの記事について、これを大きな問題と受け止め、同じような組織体制の中でやっていたことを理由に、12月1日からそれら全て非公開化した。また、代表取締役社長の報酬の減額(月額報酬の30%、6ヶ月間)を決定した。MERYが存続していた理由は、その運営体制が他と異なるためとした。

MERYに関しても8割の記事に問題あり。全非公開に。

 ただ、その後の調査の中で、MERYに関しても、実際には、いくつか問題があるとされる部分の記事を非公開したところ、それが8割強に及ぶこととなった。具体的なところで言えば、美容健康に関して、540ワードを抽出し、例えば、ダイエット、効果、抜群、などが詳細説明、タイトルに含まれるものが8万件、また、読者に不快な気持ちにさせるワード、例えば、誰でも、色っぽいなどの言葉が使われているものが4万件など。

 そのため、8割が非公開となってしまったMERYに関しても、取締役会で「一度、サービスを停止するべきなのではないか、そして事実調査が必要なのではないか」との指摘を受け、12月5日、こちらも非公開化させることを決定し、本日、同社のすべてのキュレーションサイトを非公開化させることとなった。

 また、これとあわせて、第三者調査委員会を設置する。今後は第三者委員会のもとで、事実確認を行い、原因究明につとめ、徹底的な改善策を提示していくという。これは、組織体制を含めて実施し、それらのすべての部分に関しては、報告書を用意して明らかにしていくという。

組織体制から大きく見直す

組織体制から大きく見直す

 一連の問題においては、具体的には、作成から公開までのプロセスに問題があったとしている。記事作成のプロセスにおいてはプロデューサー(社内)、ディレクター(社内外)、外部パートナー、ライター(社内外)で形成されている。が、本来、他メディアでも見られるように、記事の品質を担保するためには、編集部が存在しているべきところであるところが、DeNAには存在せず、記事について責任を持つ人が不明確となっていることが大きな問題であったとした。

 プロデューサー、ディレクターが外部パートナー、ライターに指示をする際に、引用するもとの記事と同一にならないように指示をしていたことも発覚しており、不適切な記事が生まれやすい環境があったとした。結果的に、他の人が作成した記事を不適切に利用されることも生まれやすくなってしまったのも大きな問題と言えるだろう。

 これらの問題に関しては、第三者調査委員会でできる限り明らかにされていく。今回の問題では、ウエブの記事で健康被害を受けたという人に対しては、専門の窓口を用意していき、真摯に対応していく。

自ら過ちに気づき是正できる環境をと南場智子会長

 代表取締役社長兼CEO 守安功氏は、こうした背景で、会見の席上、本音も漏らしていた。
「2012年以降、事業として伸び悩み始めていました。ゲーム事業を立て直しとともに、新規事業に取り組んできた。ただ、期待通りに成長できなかった中で、メルカリ、スマートニュースなどが成長していたのを横目で見ながら、どうやって成長していくかを常に考えていました。その中で、キュレーション系の勢いを見て、そこを買収したわけです。キュレーション企業にはスタートアップの良さがあったので、それをなるべく失いたくないというのと、上場企業として姿勢とで、揺れていた。本来、そこでのバランスをとらなければならなかった。」と。


 また、会長の南場智子さんは、こう話す。「どうしても、ミスや過ちが完全になくすことが難しいとしても、管理監督にできるというのが、一流企業のあり方であるわけですが、みずから過ちにきづき、是正をしていくことができるようにしていくことが重要だと思っています。なぜ、ここまで外部の方から指摘を受けて、お叱りを受けるまでとなっていることに関しては、直していく。たとえ、急激な成長が必要だとしても、それはルールを守って成長させていくことが重要。会社を作り直すつもりでやっていきたいと思っています。本当に申し訳ありませんでした」。

 大事なのは、これからだ。ネットに基づき、新たな価値観を提案したのは評価できるとしても、危機管理が不足していた。このつまづきを通して、どう変わっていけるのか、むしろこれからのDeNAの姿の方が大事だと思う。DeNAという企業のDNAがいま問われている。意識を変えて、これからのDeNAの“変貌”に期待したい。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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