ヤマトHD傘下YGLとJDWWが出資、中国EC支援強化

ECのミカタ編集部

1月24日、ヤマトホールディングス傘下のヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社(以下「YGL」)と、中国におけるECサイト大手であるJD.comのプラットフォームJD Worldwideを展開するJD.COM INTERNATIONAL LIMITED(以下「JDWW」)は、JD日本パートナーの株式会社フランクジャパン(以下「フランク」)に対し両社で出資を行うことで3社の関係を強化することを発表した。2017年2月中旬より中国EC市場への進出を検討する日本企業の各種手続きや問い合わせなどをフランクがトータルでサポートすることで利便性を向上させ、中国EC市場への短期間での進出を可能にしていく。

日本と中国EC市場の現状と課題

 現在、海外からの来日旅行客は2,400万人を超えている。「爆買い」と呼ばれる訪日外国人による大量購買行為は以前よりは落ち着きを見せつつあるものの、依然として活発な状況だ。また、来日時に購入した化粧品や、ベビー用品、一般消費財といった日本製品を帰国後も継続して購入したいというニーズも高まっており、中国では日本製品を取り扱う小売店やEC事業者が増えている。中でも、日本の企業がインターネット通販を活用して中国での商品販売を行う越境ECは、中国の消費者が自国にいながら気軽に日本製品の購入が可能になるため、非常に高い成長を続けている。

 その様な状況で、YGLとJDWWとフランクは2016年4月から、中国EC市場に進出する企業に向けたワンストップの物流およびマーケティングサービスを提供してきた。しかし、利用者からは、各分野(ECサイト・運営・物流)で出店・出品に関わる手続きの調整を行う必要があり時間がかかってしまうといった不便さや、JDWWへの出店・出品後の問い合わせ窓口が各分野(ECサイト・運営・物流)で異なっており煩雑といった指摘もあった。これらの課題を解消するため、今回3社での連携を強化し、更に利便性の高いサービスを提供していくこととなった。

出資・連携の目的とメリット

 JDWW、YGLからの出資を受けたフランクが、これまで中国向け越境ECに進出(出店・出品)を検討している事業者に対し、煩雑となっていた複数の手続きを一本化するサービスを提供することが可能となった。その結果、利便性が向上し、日本企業の中国EC市場への進出をよりスピーディーに行うと同時に、出店・出品後のアフターサポートの充実が可能となる。

 また、フランクがJD.COMと緊密なパートナーとして培ってきたマーケティングノウハウをこれまで以上に活用することが可能となり、JDWWが持つ年間2億人にのぼるアクティブユーザーへの効果的なアプローチも可能になる。

 なお、出資金額は非公表で、YGLおよびJDWWは各々フランクの株式の20%を保有する。

中国EC市場は依然として有望市場

 昨年6月に経済産業省が発表した「平成27年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る経済基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、日本の越境 B to C-EC(中国)の市場規模は210億円となっており、今後も続伸が予測されている。

 従来の「爆買い」の形は、日本製品をとにかく大量に買うというより、質の良い商品や体験が求められるようになっており、中小EC事業者にとってはむしろチャンスなのではないだろうか。また、今回のYGLとJDWWの動きでも分かるように、参入障壁を下げるサービスも増えてきている。これまで参入を躊躇っていた事業者にとっても、新たな機会となるのではないだろうか。

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