ポイント現金換算、2018年度には9,930億円に? 消費者目線のポイント付与とは

顧客囲い込みの手法として定着したポイント。野村総合研究所(NRI)の統計では、ポイントカードなどで付与されたポイント・マイレージを現金換算した年間最少発行額(最少発行額)が、2018年度には9,930億円になる予測を発表した。

NRIは、2012年度に大幅な落ち込みを見せたものの、2013年度以降は各社がポイントを付与する会員数やポイント適用率が高まっていくため、その規模はゆるやかに回復するものとみられている。

ポイント利用「家電量販店」「携帯電話」「ガソリン」「総合スーパー」では低減

2012年度に発行したポイント・マイレージを現金換算した年間最少発行額(最少発行額)について、前年度の9,772億円から8,684億円に減少した推計。その理由として、NRIは発行規模の大きな業界で売上減少やポイント還元率が低減したことを挙げた。

業界別最少発行額の推移をみると、「家電量販店」「携帯電話」「ガソリン」「総合スーパー」での減少が大きかった。その背景には、業界各社の売上減少や、ポイント還元率の低減などがあるとNRIは分析している。一方で、「クレジットカード」「コンビニエンスストア」「インターネット通販」では、各社の売上や取扱高が増加したことから、最少発行額は増加した。

インターネット通販でのポイント利用が増加傾向に

ポイントと言えば、今や一番の注目株はインターネット通販だろう。2002年11月に楽天が「楽天スーパーポイント」をフックにした拡大戦略を推進。流通総額は直近1年で1兆5,562億円に成長した。楽天に影響され、2004年9月にはヤフー、2007年2月にはAmazonが独自ポイント発行に乗り出すほどであった。

インターネットでのポイント還元率は1%が当たり前。キャンペーン商品については、20%還元も珍しくはない。

ポイント交換先5年連続1位は楽天スーパーポイント

2006年に公開された「ポイ探」は、例えば、楽天スーパーポイントをTポイントに交換したいという場合、楽天スーパーポイントはTポイントに直接交換することができない。しかし、ANAのマイルに一度交換することで、Tポイントに交換することができる。同サービスは、様々な交換ルートが存在するなかで、最も効率よくポイントを交換できる交換ルートを案内するポータルサイトだ。

ポイ探では、毎年最も魅力的かつ満足度の高いポイントサービスを提供したポイントを選ぶ「ポイントオブザイヤー」を実施。このポイントオブザイヤーで5年連続1位になったのは、交換先として人気のJAL・ANAのマイルではなく、楽天スーパーポイントなのだそうだ。

多くのポイント発行企業が「貯まりやすさ」に力を入れている中で、「貯まりやすく、さらに使いやすい」ポイントシステムを導入している楽天スーパーポイントに票が集まっている。

利用者が満足できるのは「使いやすく、さらに貯まりやすいポイント」

ポイ探運営者の菊池崇仁氏は、「使いやすいポイント」の条件を下記のように挙げている。

1.少ないポイントから利用できる
2.交換できる商品が多い
3.有効期限が無期限、または長い

楽天市場では、楽天スーパーポイント50ポイントから1ポイント単位で利用が可能だ。さらに、登録商品は1億6,317万点。買えないものはほぼないと言えるだろう。また、ポイント獲得・利用があれば、全てのポイントの有効期限がその日から1年間延長となる。要するに、利用者が満足できるポイントとは「確実に使えるポイント」ということなのだろう。

他にも、上記の条件にはTポイントやPontaポイントなども当てはまる。どちらも1ポイントから1ポイント単位で使え、数万店舗で利用が可能。ポイント獲得・利用があれば、有効期限はその日から1年間延長される。

乱立するポイントシステムに不便を感じるユーザーも?

現在、楽天スーパーポイントやTポイント、Pontaポイントをはじめ、様々なポイントが乱立している。しかし、種類がとめどなく増えていくなかで、ユーザーの手元にはポイントよりもポイントカードが溜まる一方だろう。カードの枚数が増えすぎたことにより、持ち歩きに不便を感じたり、会計時にカードを探し出すといった行為そのものを面倒に感じてしまっているユーザーも少なくない。

理想としては、一枚のカードで現金支払いでもクレジットカード決済でも、ポイントが付与されるどの店舗でも共通に使用できるポイントカードができることだろう。しかし、顧客の囲い込みにも直結するポイントに関しては、現状、難しいことなのかもしれない。いずれ、さらに有用性の高いポイントシステムが構築されることを望むばかりである。