本日から、ヤマト運輸が配達時間等を変更。その決断の背景とは
ヤマトホールディングス株式会社傘下のヤマト運輸株式会社(以下、ヤマト運輸)は、4月24日(月)より再配達受付の締め切り時刻を変更することを明らかにした。また合わせて、6月中に宅急便の配達時間帯の指定枠を変更することも発表している。
ヤマト運輸が働き方改革を推進
なぜヤマト運輸は、再配達締め切り時刻の変更、そして配達時間帯の指定枠の変更を決定したのだろうか。やはり、EC市場の拡大による物量の増加が影響しており、労働人口の減少などによって労働需給が逼迫(ひっぱく)し、厳しい経営環境が続いていることが原因となっているようだ。
こうした状況の中、ヤマト運輸は労働力確保に向けて職場環境を改善するべく、社員の新しい働き方を創造するために、2月1日に「働き方改革室」を本社内に新設し、全社をあげて働き方改革を推進している。
ヤマト運輸がサービス内容の変更を決断した背景には、この「働き方改革」が関係しており、社員の法定休憩時間の適切な取得や、勤務終了から翌日の始業までの間に一定時間のインターバルを設ける制度の確立など、社員が働きやすい環境を構築していくためであるとのことだ。
具体的に、サービス内容はどのように変わるのだろうか。
宅急便サービスの何が変わるのか
4月24日(月)から実施される、「当日の再配達締め切り時刻の変更」については上図の通り。最大で1時間20分、締め切り時刻が短くなっている。この1時間~1時間20分の時間短縮というのは、再配達が発生した場合の往復の手間などを考えるとドライバーにとってかなりの負担軽減になるはずだ。
そして、6月中に実施予定の「配達時間帯の指定枠の変更」については上図のとおり。大きく変更があった箇所は、「12時から14時」の時間帯指定の廃止、「20時から21時」の時間帯指定が「19時から21時」の時間帯指定へ変更といった2点だ。この変更により、ドライバーは12時~14時の間で空き時間を設けることができる。
また、「20時から21時」の時間帯指定が「19時から21時」の時間帯指定へ変更になったことも、「1時間の内に何件配達しなければならない」というように、時間に追われる圧迫感がなくなるため、ドライバーは心理的に余裕がでるのではないだろうか。
物流の変化によって今後更に注目されるもの
EC市場の拡大に伴って、今、物流業界も変革期を迎えている。時間指定配送、即日配送が当たり前となってしまった中で、ECの心臓ともいえる物流業界の負担は相当になっているということが、連日のように報道されるニュースからも伺い知れるのではないかと思う。
特に、ヤマト運輸に関しては、「宅配便の荷受量抑制」「宅配運賃の値上げ」を検討しているというニュースが各メディアで報道されている。国内の宅配便取扱量の半分近くを占めるヤマト運輸が大きく舵をきろうとしているということは、同時に、良し悪しは別として、今後のEC業界にも大きな影響がもたらされるはずだ。
また、今回のヤマト運輸の決断によって、今まで以上に宅配ロッカーやコンビニでの荷物受取にスポットライトが当てられることになるだろう。今後更に、宅配ロッカーやコンビニでの荷物受取を促していくためにも、消費者が利用しやすいように早急なサービスの整備が求められる。