MUSE&Co.オールアバウト傘下に〜ファッションECへ本格参入
サンプリングサイト「サンプル百貨店」を運営する株式会社オールアバウトライフマーケティング(本社:東京都渋谷区、以下「AALM」)は、2017年5月11日開催の取締役会において、ミューズコー株式会社(本社:東京都千代田区、以下「ミューズコー」)を子会社化することについて決議したと発表した。
今回、AALMが買収した「MUSE&Co.」という女性向けの商品を多数取り揃えたファッションコマースサイトは、ラグジュアリーブランドやトレンドのファッションアイテムを中心に展開をしていて、過去の掲載ブランド数は2,000以上。昨今ではスマートフォンに特化した快適な環境を提供することで、登録会員数を約100万人まで拡大させている。
AALMは、ミューズコーを子会社化することで、ファッション分野のEC事業へ本格参入する。AALMが運営する「サンプル百貨店」は130万人の会員を抱える国内最大級のサンプリングサイトで、マーケティング目的で出品された食品や飲料などが定価の半額以下(送料込み)で試用できる有料サンプリング「ちょっプル」、イベント会場にブロガーやSNSで活躍するインフルエンサーを招き新商品発表会を行う「リアルサンプリングプロモーション」などを展開している。この「サンプル百貨店」を軸に、トライアルマーケティングとEC領域でオールアバウトグループの中核を担う新たな取り組みを強化する狙いだ。
買収額は5,000万円で、5月16日に取得する予定。ミューズコーは、2015年2月にミクシィに約17億5000万円で買収されたが、今年1月にマネジメント・バイアウト(MBO)により全株式を買い戻し、独立していた。MBOの理由についてミューズコー代表の長谷川武彦氏は、「ミクシィとは事業領域が大きくかけ離れていたため」と説明した。
今後は、オールアバウトライフマーケティングとミューズコーの会員基盤の相互利用をはじめ、両者が培ってきたマーケティングやフルフィルメントのノウハウ、リソースを融合することで生産性を高めるとしている。
「何を強みにするか」を明確に。業界のライバル達に切り込めるか
経済産業省によると、2016年における国内の消費者向け物販系EC市場規模は前年比10.6%増の8兆43億円となった。電子商取引が占める割合を示すEC化率も5.43%まで上昇する中、特にファッション・アパレル分野のEC化率は10.93%、市場規模は物販系の中でも最も大きい1兆5,297億円(前年比10.5%増)になるなど、今後更なる拡大が期待されている。
ミクシィとの関係を断ち、新たにAALMと組んだミューズコー。ファッションEC業界全体としては伸びているが、その分だけ多くのライバルが存在する。「どこと組んで、何を達成するか」の舵取りは重要で、今回の決断が正しかったという事を証明できるかどうか。ソフト面も含めて今後の展開を追っていきたいと思う。