パルコ、ブロックチェーン付き宅配ボックス実証実験を開始

ECのミカタ編集部

 株式会社パルコ(以下、パルコ)は、株式会社セゾン情報システムズ(以下、セゾン情報システムズ)と共同で、ブロックチェーンテクノロジーを活用した宅配ボックスと、パルコが運営するWEB通販サービス「カエルパルコ」とを連携した実証実験を行うと発表した。テクノロジーを活用して、「カエルパルコ」利用者の利便性拡大と共に、昨今社会問題化している再配達問題解消への一助となる事を目標に、段階的に実証実験を進めていくとした。

 パルコは2014年5月から、出店テナントショップの店頭在庫を活用した取り置き予約&通販注文サービスサイト「カエルパルコ」を開設。インターネットを使ってショップブログから商品が購入できる仕組みを導入し、ユーザーの利便性の向上を図ってきたが、近年では社会問題にもなっている運送会社の配送量の急激な増加による配送サービス問題が浮き彫りとなった。

 パルコでは近隣のオフィス・学校等への即日配送・受取対応等、配送サービスの向上を図っていける様な、新しい配送スキーム構築を課題として取組んできた。この度、パルコとセゾン情報システムズは、セゾン情報システムズが昨年開発したブロックチェーン技術を使った「本人のみ受取り可能な宅配ボックス」を「カエルパルコ」と連携することで、「いつでもどこでも商品が購入でき、安心・安全に好きなところで受け取れる」というサービスの実現を目指して、実証実験を行うことになったという。

 宅配ボックスに荷物を納入する際に、ブロックチェーン上に納入記録および施錠要求が行われる。荷物を受け取る利用者は、個人のスマートフォンからブロックチェーン上に解錠を要求することで、宅配ボックスが解錠され、荷物の受領が記録される。今回の実証実験は、宅配ボックスをセゾン情報システムズのオフィスビル内に設置し、スタッフが「カエルパルコ」に商品を発注し宅配ロッカーへの配送を指定する事で、ECサイトで購入した商品を店舗でも自宅でもない場所に設置された宅配ボックスで受け取り可能になることを確認する。実施期間は5月30日(火)~6月9日(金)を予定しているという。

一歩先を見据えた、再配達問題に向けた取り組み

一歩先を見据えた、再配達問題に向けた取り組み

 セゾン情報システムズが提供するブロックチェーン付き宅配ボックスは、設置場所に応じて1箱から数十箱レベルまで自由にサイズ選択することが可能だ。様々な配送業者や小売業者が利用するシェアリング型宅配ボックスの場合でも確実に荷物の納入や受領を記録できるので、安全・安心な宅配ボックスシステムを構築することができる。

 今回のシステムにより、ユーザーは、「いつでもどこでも商品が購入でき、安心・安全に好きなところで受け取れる」という利便性を享受できる。また再配達問題を回避しつつ、新たな商品の受取方法が増えることで新たなユーザー獲得に向けたサービスにつながり、パルコが推進する「24時間パルコ」の商品受け取りチャネルの強化になると考えているという。

 今回の実証実験は、システムの稼働実証及び検証の為のデータ収集が目的のため宅配ボックスの設置場所をセゾン情報システムズのオフィスビル内にして実施しているが、今秋(9月頃を予定)には次の段階の実験を予定している。次の計画は、池袋近辺の施設に宅配ボックスを設置し、その施設の利用者や就業者が池袋パルコの「カエルパルコ」で購入した商品を施設内で受け取ることを予定しているという。

 このシステムが機能し始めれば、パルコだけでなく、様々な企業が導入できるようになるだろう。こうした社会問題への取り組みが、ユーザーの共感を得ることに繋がると共に、今回のセゾン情報システムズのような新しいビジネスモデルも事業として生まれてくる。EC事業者は再配達問題にどの角度から取り組むかが、事業を次のフェーズへ進めるためのカギになってくるのではないだろうか。

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