GMOインターネットグループ、セゾン情報システムズ、パルコが共同で「本人のみ受け取り可能な宅配ボックス」の実証実験を実施。
GMOインターネット株式会社(以下、GMOインターネット)、GMOグローバルサイン株式会社(以下、GMOグローバルサイン)、株式会社セゾン情報システムズ(以下、セゾン情報システムズ)の3社は、株式会社パルコ(以下、パルコ)と共同で、ブロックチェーンとIoT技術を活用した実証実験を行っている。
その第二弾として、パルコのWEB通販サイト「カエルパルコ」の商品を、「本人のみ受け取り可能な宅配ボックス」で受け取る実験が行われた。
今日、再配達による配送業者の負担や、配達で排出される二酸化炭素による環境汚染は、一つの社会問題だ。これにより、非対面による荷物の受け渡しサービスのニーズが高まっている。ECサイトなどの利用者が「安心・安全かつ、場所・時間に縛られず商品を受け取れる」サービスが必要なのだ。
株式会社ウフルが発足した、『IoTパートナーコミュニティ』という、IoTビジネスに関するコミュニティがある。その中の1つ「ブロックチェーンワーキンググループ」において、GMOインターネットおよびGMOグローバルサイン、セゾン情報システムズの3社は、共同で実証実験をしている。2016年12月には、「本人のみ受け取り可能な宅配ボックス」の実証実験が、第一弾として行われた。
その結果、「本人のみ受け取り可能な宅配ボックス」は、実際のビジネスでも有用性があると確認できた。
「本人のみ受け取り可能な宅配ボックス」とは
第一弾で実証した「本人のみ受け取り可能な宅配ボックス」では、GMOインターネットのブロックチェーンプラットフォーム「Z.com Cloud ブロックチェーン」を基盤とする。ブロックチェーンでは、多数の・分散されたノートで同一の記録(ブロック)を行う。そして、新しい記録がそれぞれのノートで鎖(チェーン)状に次々とされることで、データを保管できる。
さらに、「本人のみ受け取り可能な宅配ボックス」にはスマートコントラクトを実装。スマートコントラクトとは、予め定めた条件を満たすと、自動的に実行される、オンライン上の効率的な合意システムのことだ。
IoTデバイスである宅配ボックスには、「HULFT(ハルフト) IoT」を導入。これはセゾン情報システムズが提供しており、安全・確実なシステム連携を実現する。
HULFT IoTでは、配送業者が宅配ボックスに荷物を入れると、ブロックチェーン上に納入記録・施錠要求が行われる。荷物を受け取る利用者は、スマートフォンを通じて、ブロックチェーン上に解錠を要求。すると、宅配ボックスが解錠し、荷物の受領が記録される。
そして、第二弾の実証実験では、「利用者登録・本人認証」「トレーサビリティ」「スマートコントラクトによる取引の自動執行」「セキュアで安定したデータ連携」という、4つの機能が追加された。
1)利用者登録・本人認証
メールアドレスのような個人と紐付く情報と、個人のスマートフォンに割り振られるユニークな鍵情報を紐付け。そして利用者登録・本人認証を行い、なりすましによる商品受け取りを防止。
2)トレーサビリティ
宅配ボックス内に赤外線センサーを設置。荷物を赤外線で判別し、トレーサビリティ(荷物を追跡可能な状態)を実現した。配送業者は、荷物の納入確認ができる。そのほか、荷物がない状態での、利用者本人の受け取り操作を、取引完了の条件に。これにより、荷物の確実な受け渡しを実現。
3)スマートコントラクトによる取引の自動執行
宅配ボックスを仲介役に、スマートコントラクトを活用して荷物の受け取りを条件として自動的に取引を実行する。よって、第三者不要・当事者間のみの取引を実現。さらに、取引の安全性・汎用性を担保した。
4)セキュアで安定したデータ連携
宅配ボックスに搭載の「HULFT IoT」で利用者情報を連携。セキュアなデータ連携が可能になった。さらには、課金・決済等のサービスと連携したビジネスも可能に。
ブロックチェーンで完全にセキュアな宅配ボックスの実現へ
ブロックチェーン上に情報を記録すると、「誰が・いつボックスを開閉し、何を受領したのか」といった事実を、半永久的に証明・保証できる。特定の配送業者に、縛られることもない。宅配ボックスの開閉履歴、施錠・解錠要求などの情報は、改ざんできない状態で記録される。ゆえに、いったん宅配ボックス施錠されると、施錠時に指定した本人しか開けることができない仕組みができあがる。
また、「本人のみ受け取り可能な宅配ボックス」に搭載されている、荷物のセンシング・受け取りオペレーション・メール通知等の機能を活用すると、誤配送や盗難による、荷物の紛失を防ぐことができる。これにより、対面取引と同等の配送品質が実現。
エスクロー機能とは、購入者の荷物の受け取り(配達完了)をもって、購入代金を販売者に送金する仕組みである。さらに、エスクロー機能を活用すれば、荷物の受け取りとともに代金を決済することもできる。これで不在時でも、代金引換荷物の再配達の必要がなくなる。「本人のみ受け取り可能な宅配ボックス」によって、配送の効率化・利用者のさらなる利便性向上が図れるのだ。
再配送のコスト、二酸化炭素による環境汚染は、すぐにでも解決すべき、Eコマース市場の命題である。3社共同の実証実験により、配送業者にとっても利用者にとっても、セキュアな宅配ボックスが実現することを願ってやまない。