クックパッド、女性に人気のECショップ「アンジェ」を運営するセレクチュアーを5.5億円で買収

女性に人気の高い「アンジェ」


クックパッドが7月29日、キッチン用品・雑貨・衣料などを販売するオンラインショップ「アンジェ」を運営するセレクチュアーの株式を取得し、子会社化することを発表した。
セレクチュアーの発行株式は1000株。クックパッドはまず800株を既存株主から5億5,000万円で取得する。さらに残りの200株についても、2015年12月期中に取得して完全子会社化する予定だ。

30〜40代の女性に人気の「アンジェ」

「アンジェ」は"お客さまに幸せの瞬間と空間を提供する"ことをモットーに、心地よさをいかに表現できるかに取り組んできた。
ポイントは人間味の演出にあるというのが同社の考え方で、一部の商品については色や素材をカスタマイズするなど顧客のニーズに綿密な対応し、ブランドの世界観を感じてもらうために、フランス語の「アンジェ新聞」を同梱。コールセンターではセルフ・サービスを廃して、ライブ・オペレーションにこだわる。
商品届け時のeメール配信も、既成のテンプレートに頼らずに、日ごろ感じていることを一言、コメントするように心がけているという。

配送についての心遣いも細やかだ。爪を伸ばしている女性でも段ボール箱に張ってあるガムテープを剥がしやすいように端を折り、緩衝材にも簡単に捨てられるタイプのものを使っている。
単に届けるだけではなく、"届けて、使って、笑顔になって頂くこと"を心掛けているのだ。

クックパッドはセレクチュアーを統合して、何をめざすのか?

「アンジェ」は、ユーザーからは「ファッションや雑貨がきれいで素敵」「あっ、こんなの欲しかった!という品揃えで、大好きなショップ」と人気が高い。実際、楽天市場インテリア部門において9年連続で「Shop of the year」の第1位を確保するなど高い評価を得ている。

独自のオンラインショップに加えて、「楽天市場」、「Yahoo!ショッピング」、「Amazon.co.jp」などの各種モールにも出店しており、そのひとつ「楽天市場」の「みんなのレビュー欄」によれば、☆の数で表わす5点の評価では、品揃え4.56、情報量4.57、決済方法4.75、スタッフの応対4.75、梱包4.75、配送4.72と軒並み高得点だ。

だが、評価が高いだけでは、買収の対象にはならない。クックパッドが「アンジェ」を選んだのは、そのユーザーの属性にある。
「楽天市場」の評価を元に解析すると、女性が85.3%、男性が14.7%と圧倒的に女性が多い。しかも、30代・40代の女性が全体の65.4%を占める。これはクックパッドのユーザー層ときわめて近い。

クックパッドが狙うのは、ズバリ「相乗効果」だろう。クックパッドに集まったユーザーを「アンジェ」に誘導し、「アンジェ」を訪れたユーザーにクックパッドを利用してもらうことで、さらなる収益の拡大をはかろうとしているのだと思われる。