利用者数約3万人で日間利用率93%!花火アプリが魅せたECの可能性
フラー株式会社(本社:千葉県柏市、以下「フラー」)が提供する、「長岡花火 公式アプリ」が8月2、3日の両日に開かれた長岡まつり大花火大会(長岡花火)で3万人以上に利用され、アプリの利用率が93%を記録した。広がりつつあるイベントアプリが次に狙うべき市場と機能について考察してみた。
長岡花火 公式アプリは、一般財団法人長岡花火財団が運営する「長岡花火」のプロモーションを目的に、フラーが同財団と連携して開発。チケット販売や観覧席の案内のほか、花火のプログラムや長岡の観光情報、当日の会場マップや交通渋滞予測などを網羅している。
一連の情報や災害など万が一の緊急速報をアプリのプッシュ通知機能でユーザーに即座に届けることができるのが特徴で、長岡花火のブランド発信力の強化や来場者へのおもてなし向上を目指し、今年5月2日に配信を開始した。
長岡花火開催期間の2日間でアプリ利用者数合計は約3万3,000人を突破。日間利用率は93%を記録し、アプリをインストールしたユーザーのほぼ全員がアプリを起動した形となった。App Storeでの「旅カテゴリ」無料ランキング1位、Google Playで「旅行・地域カテゴリ」急上昇ランキング1位を獲得するなど、会場の地図や花火プログラムの情報を手に入れようと、当日の駆け込みインストールが多かった。
長岡花火終了後に、アプリのプッシュ通知機能から利用者にアンケートの協力を依頼した結果、5,000件以上の回答があったという。引き続き未回答の利用者には協力をお願いする予定で、回答数はさらに増加する見込みだ。これまでの紙ベースやサイトなどの媒体では実現することの難しかったユーザー情報の二次利用、三次利用をアプリを組み込むことで可能にしている。
長岡花火開催直前のアプリのインストール数の急増や、当日の高い利用率を記録したことにより、イベントアプリの需要の高さが証明された。当日の混雑状況や、花火のプログラムが見られることはもちろん、紙を持ち歩かなくて良いなど、ユーザーの利点は多い。
今後も、来年の長岡花火に向けた案内や、長岡の旬の情報をリアルタイムで発信し続けることで、インストールしたユーザーの体験向上によるリテンション(既存ユーザーの維持)やアプリのさらなる有効活用につなげて行く予定だという。
ECは「モノ」から「体験」へ。縮まる日常とECの距離感
このニュースを見て非常に魅力的だなと感じたポイントとしては、現在はまだECが関わっている範囲が「チケット販売」というところでしかないのだが、将来的には花火を快適に見るためのグッズ等の販売や、予約した席に食事のデリバリーができたりも可能になりそうだなというところ。スマホ一つで決済が完了する形や各種SNS連携などで幅も広がるはずだ。
花火の作り手がどういった想いでその花火を製作したのかなど、もう一歩踏み込んだ花火大会の楽しみ方も出来るようになるだろう。アプリ一つでそこまでできるようになってくれば、イベントアプリの需要は今後、確実に拡大してくる。
花火の観覧席という「モノ」を売るだけではなく、花火を見るという「体験」をまるごとパッケージングして売るということをしていけば、日常とECとがリンクして、結果的にECがもっと身近になっていくのだろう。そういう未来にワクワクしてしまうのは僕だけではないはずだ。