アマゾンに「ニンテンドーダウンロードストア」がオープン

初のゲームダウンロードコード販売

スマホゲームが急成長する一方で、既存の専用ゲーム機大手、ニンテンドー(任天堂)は元気がなかった。しかし、8月27日、アマゾンに「ニンテンドーダウンロードストア」がオープンして、株価は急上昇。回復の可能性が出てきた。

アマゾンの「ニンテンドーダウンロードストア」では、「3DS」と「Wii U」用ソフトのダウンロード版を購入できる。購入するとダウンロード番号が発行されるので、その番号をニンテンドーeショップで入力してソフトをダウンロードする仕組みだ。ダウンロード番号は、購入完了画面やダウンロードライブラリから確認できる。

「ニンテンドーダウンロードストア」では27日時点で117タイトルを販売。9月13日発売予定の「大乱闘スマッシュブラザーズ for ニンテンドー3DS」ダウンロード版の予約受け付けも始まっている。アマゾンがテレビゲームのダウンロードコードを販売するのは初めてだ。

自己改革の力があることを示したニンテンドー

ニンテンドーといえば家庭用ゲーム機の草分けである。1990年代から2000年代には、PlayStationを擁するソニーを別とすれば、他社の追随を許さず、わが世の春を謳歌していた。しかし、2010年頃から業績は急速に悪化し、2011年度はついに赤字に転落。11年投入の「3DS」も、12年投入の「WiiU」も苦戦。現在でも子どもの多くは、少なくとも「3DS」を持ってはいるものの、急速に台頭してきたスマホゲームの前に影が薄くなっている。

ニンテンドーのビジネスモデルは、まずハードを開発し、続いてソフトを売り出して、その人気によってハードの売り上げを伸ばして相乗効果を狙うというものだ。
しかし、ゲーム機ハード市場は飽和状態にあり、ソフトも「モンスターハンター」「ポケットモンスター」「パズドラ」といった人気定番シリーズはあるものの、陳腐化していたことは否定できない。今年は「妖怪ウオッチ」で売るが、かつての勢いは感じられない。

この停滞感がどこから来るのかといえば、やはりこれまでのビジネスモデルに囚われて、動きにスピードを欠いているためではないだろうか?

今回、アマゾンにオープンした「ニンテンドーダウンロードストア」は、そうした市場の認識を改めるものであり、それが株価上昇につながったと思われる。

現在のニンテンドーにはかつて成功者であった奢りから来る「大企業病」もあるであろうし、過去の成功を繰り返すある種の軍隊の悪癖のようなものも感じられる。
したがって、今後順調に業績が回復していく保証はないのだが、それでも自己改革の力がまだあることを世の中に示したものとはなっただろう。