中国のベビー・マタニティ市場を押さえろ!アリババEC部門が⼤王製紙、ピジョンと戦略提携意向書を締結

ECのミカタ編集部

2017年12月6日、アリババグループのEC部門である『Tmall』は、大王製紙及びピジョンと戦略提携意向書を締結した。今回の提携で、大王製紙とピジョンが、アリババグループ傘下の『Tmall』及び『Tmall国際』などの複数のプラットフォームで、アリババが保有するマーケティングシステム『Unimarketing』を用いてブランド構築及びデジタルマーケティングを推進し、データに基づいたECサイト運営を目指すとしている。

「独身の日」の中国で最も⼈気を集めた製品カテゴリは『紙オムツ』

中国の巨大な人口は、マタニティ市場でも大きなニーズを抱え込んでいる。アリババのB2CのECプラットフォーム『Tmall』では、中国のベビーマタニティ市場の約90%に値する約1.6億⼈のベビーマタニティ関連ユーザーを抱えており、今年の「11.11 Global Shopping Festival 2017」、通称「独身の日」では、越境EC における国別流通総額で日本は1 位、中でも最も⼈気を集めた製品カテゴリは紙オムツだった。

今年3月時点で『Tmall』上のベビーマタニティブランド数は2千以上あるが、粉ミルクと紙オムツの販売額の増加は著しく、他のカテゴリと比較して伸び率が約2倍となっており、特に高級ブランドに対するニーズが旺盛だ。実際に、ピジョンの「独身の日」における販売額も前年比80%増、大王製紙も83%増となっている。

中国のベビー・マタニティ市場は今後5年で毎年15%のスピードで成⻑見込み

中国のベビー・マタニティ市場は今後5年で毎年15%のスピードで成⻑見込み

これをさらに加速させる要因がある。中国財政部は2017年12月1日から、⼀部消費財の輸⼊関税引き下げを⾏っており、そのうち乳幼児用紙オムツと⼀部の粉ミルクの関税は0%となったのだ。この政策は中国の消費者のベビーマタニティ用品に対するニーズの高まりを反映するもので、中国の消費者における輸⼊品に対する購入意欲をさらに後押しするものと⾒られる。

コンサルティング会社「Rolandberger」が発表した「中国ベビーマタニティ市場研究報告」によると、中国のベビーマタニティ市場は今後5年で毎年15%のスピードで成⻑を続け、2020年には市場規模は3.6万億⼈⺠元に到達するとしています。Tmall のビックデータによると、ベビーマタニティの消費者層は若年層が多く、25~30歳の母親が、全体の60%近くを占めている。

ここからも、かつて国策であった一人っ子政策を転換し、2⼈目の子どもが授かれるようになったことが、中国のベビー・マタニティ市場に大きな機会をもたらしているといえるだろう。また、調査機関「Kantar Retail」の2016年の研究発表によると、オンラインのベビーマタニティのB2C市場において、『Tmall』は69.4%の市場取引額を占めており、1位となっている。

各社のキーマンからのコメント

◆アリババグループ『Tmall』ベビー・マタニティカテゴリ総経理 杜宏氏のコメント

「いま中国の⽗⺟世代は若く高収⼊で、製品の値段よりも品質や安全性、ファッション性など、多方面から評
価し商品を選びます。今年Tmall では、ベビー・マタニティ領域ではじめてC2B のプロジェクトを始動し、Tmall
は消費者のニーズを深堀りし、それらのニーズにこたえられるような商品開発及び製品・サービスのアップデートができるようにブランドに情報提供、サポートを⾏っています。

今回のタイアップを通じて、アリババは大王製紙、ピジョンと共に『新⼩売』戦略を推進し、オンライン上でブランドに販売ルートを提供するだけでなく、オンラインとオフラインを融合した販売形式を開拓し、ブランドと共に、中国のベビーマタニティ市場の更なる拡大に取り組んでまいります。

また今年12 月の関税引き下げは、国際ブランドの中国市場展開商品の定価調整を引き起こし、将来的にグローバルで統⼀価格を実現する可能性をもたらすものと⾒ています。中国の消費者にとって、中国でも高品質な海外の商品を購⼊する機会が増加するものと思います。」

◆⼤王製紙株式会社H&PC 海外事業部 取締役 山上俊树氏のコメント

「アリババは販売における重要なチャネルということだけではなく、ブランドがデータ型運営へ変換する上で重要な働きを果たしています。アリババが持っているビッグデータ、『新⼩売』戦略は、大王の商品開発・ブランド構築・消費者分析に大きなチャンスを与え、また全面的な販売伸⻑につながると考えています。

大王は、ベビー用紙おむつの他、紙製品・大⼈用オムツの商品を有しています。アリババとの協働により中国市場で 複合的なカテゴリ展開を加速できることを期待しています。同時に、今後更なる良い品質の商品を中国の消費者に提供していきたいと考えています。」

◆ピジョン株式会社副社⻑ 北澤宪政氏のコメント

「我々は、アリババグループのビックデータに深い興味を持っており、これからの戦略的業務提携により、消費者
の好みと消費習慣を把握し、より⼀層ブランディングの向上と販売の拡大を目指しています」

中国の抱える人口と中間層や富裕層が生み出す巨大なニーズは、大きなうねりとなって常に市場動向そのものに変化をもたらしている。ベビー・マタニティ市場は正にその最たるもので、その市場を前に日中のビッグネームがガッチリと手を結んだ事は、越境EC市場にも大きなインパクトを与えそうだ。


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