楽天とウォルマートが戦略的提携!楽天西友ネットスーパー誕生/小売りが変わる?
楽天株式会社(以下「楽天」)と、ウォルマート・ストアーズ・インク(以下「ウォルマート」)とともに先ほど、記者会見を行い、日本と米国における戦略的提携を発表した。
提携により電子書籍を独占販売
2018年も明けて間もないが、本年を通してもおそらく指折りのビッグニュースとなりそうなホットな話題が飛び込んできた。楽天(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史)と、ウォルマート(本社:米アーカンソー州ベントンビル、最高経営責任者:ダグ・マクミロン)は、本日1月26日(金)、両社の強みを活かしたユーザーへのリーチ拡大およびサービス向上を目的に、日本と米国における戦略的提携を発表した。
今回の提携の一環として、2018年度第3四半期(7~9月)に、日本におけるネットスーパー事業の協働運営を開始する方針だ。また、米国においては年内に、ウォルマート社の実店舗や「Walmart.com」で、「楽天Kobo」の提供する電子書籍やオーディオブック、電子書籍リーダーなどを、量販店として独占販売することとなった。
アメリカで電子書籍サービス「楽天Kobo」を展開
楽天グループのRakuten Kobo Inc.(本社:カナダ トロント市、CEO:マイケル・タンブリン、以下「Kobo社」)とウォルマートは、米国における「楽天Kobo」の量販店としてウォルマート社が独占販売を行うことに合意した。これにより、年内に「楽天Kobo」が取り扱う数万の出版社および数十万の著者による電子書籍やオーディオブック約600万作品を「Walmart.com」のユーザーに提供する。さらに、4,000を超える実店舗ではデジタルブックカードを販売する。
また、「楽天Kobo」が取り扱うすべての電子書籍コンテンツが、「ウォルマート」と「楽天Kobo」の両ブランドを冠した無料アプリ(iOS、Android)でも利用できるようになるほか、パソコンのデスクトップアプリや、年内に「ウォルマート」で販売される「楽天Kobo」の電子書籍リーダーでも読むことが可能となる。もちろん、提携の効果はそれだけに留まらない。
「楽天西友ネットスーパー」を協働運営で基本合意
さらに、楽天と、ウォルマートの日本での子会社である合同会社西友(本社:東京都北区、最高経営責任者:上垣内 猛、以下「西友」)は、日本においてネットスーパー事業「楽天西友ネットスーパー」を協働運営することを目的に、新会社を設立することに基本合意した。新サービスの提供開始は、2018年度第3四半期(7~9月)を予定してる。楽天と西友は両社の強みを活かし、日本の顧客のニーズにきめ細やかに応えるネットスーパー事業を協働で運営していく方針だ。
具体的には、配送能力の拡大、品揃えの拡充、利便性の強化を行う。配送についても、西友の実店舗からの配送に加え、2018年内にネットスーパー専用の配送センターを設け、配送件数を大幅に拡大するそうだ。品揃えについては、西友の強みである「質」と「低価格」の両方を実現した商品を提供する。生鮮食品や日用品だけでなく、昨今の時短ニーズに対応したカット野菜や半調理食品、ミールキットなどの簡便商品の品揃えを拡充するとともに、楽天ならではの「お取り寄せグルメ」も取り揃える。
利便性の強化としては、楽天が培ってきたECノウハウを活用した、ユーザーにとって利便性の高いサイト構築をはじめ、ビッグデータやAIを活用した最適な商品の提案をお客様に行っていく。さらに、楽天の運営するポイントプログラム「楽天スーパーポイント」を「楽天西友ネットスーパー」に導入し、ポイントを貯めたり使ったりできるようにすることで、ユーザーに「より便利でお得なお買い物体験」を提供するとしている。
『EC×リアル店舗』の両雄が織りなすシナジーに期待
楽天の代表取締役会長兼社長である三木谷 浩史氏は、次のように述べている。
「楽天とウォルマートは、世界有数のEコマースおよび小売りのリーディングカンパニーとして、革新的なサービスの提供を通じて、世界中のお客様の生活をより豊かにするために独自のマーケットを築いてきました。ウォルマート社との提携により、お客様により満足いただけるようなお得なサービスをお届けできるようになることを、心より嬉しく思います」
また、ウォルマート社の最高経営責任者であるダグ・マクミロン氏は、次のように述べている。
「楽天は、Eコマースにおける圧倒的な優位性を築いています。日本のEコマースを牽引する楽天との提携に大変期待しています。ウォルマートは、日本を含むすべてのマーケットにおいて、実店舗やオンライン、モバイルを含む様々なチャネルで最高のお買い物体験を提供し、お客様の毎日をもっと便利にするために、常に新しい施策に取り組んでいます。日本におけるネットスーパー事業の展開と米国における電子書籍サービスの提供をとても楽しみにしています」
そして新時代へ。
楽天にとってみれば、西友の実店鋪がやはり配達拠点として魅力を感じた部分も少なからずあるだろう。
ネットスーパーは大きく2つの種類があって、店舗から配送するものと倉庫から配送するもの。楽天にとってみれば、今回の提携により、西友という実店鋪が生鮮食品の配送拠点となることにメリットがあるし、改めて倉庫の構築もすると話しているので、倉庫への投資も意味が出てくる。
それで、結果、販売量が増えて、スケールメリットが出せれば、このマーケットの拡大となる。そうすれば、西友の売り上げにも貢献されることとなるので、西友にもメリットになるのだ。
小売はECの存在を抜きにして語れなくなってきた。両者のメリットを生かしてどう共存していくか、コマース新時代の到来である。『EC×リアル店舗』の両雄が強力なタッグを組むことで、両社の持つ莫大な既存の資産と集客力が、1+1をはるかに超える化学反応を起こし、ブランド価値や収益向上に留まらない、日米をまたいだ市場を揺り動かすシナジーとなることを予感させる。今年も両社の施策から目が離せそうにない。