2017年10月の再配達率は?国交省が再配達削減に向けた数値目標を設定
国土交通省は、宅配便の再配達削減に関する取組の成果を継続的に把握するべく、平成29年10月期より宅配便再配達率の調査・公表を開始した。
社会問題化した「宅配の再配達」
近年、多様化するライフスタイルとともに、ECをはじめとした電子商取引(EC)が急速に拡大し、宅配便の取り扱い個数が増加している。その中で、宅配便の再配達は、CO2排出量の増加やドライバー不足を深刻化させるなど、重大な社会問題の一つとなっている。
国土交通省としても、これまで関係者と連携し受け取り方法の多様化等の対策に取り組んできたところだが、2018年1月末に各省庁関係局長等からなる総合物流施策推進会議が開かれ、「総合物流施策推進プログラム」が定められた。
より実効的な「宅配便の再配達率の削減」へ
平成29年7月28日(金)に「総合物流施策大綱(2017年度~2020年度)」が閣議決定され、物流に対する新しいニーズに応え、我が国の経済成長と国民生活を持続的に支える「強い物流」を実現していくために、6つの視点から政府において今後推進すべき取組が示されたところだ。
同大綱に基づき、各省庁関係局長等からなる「総合物流施策推進会議」において、政府において今後推進すべき具体的な物流施策をとりまとめた「総合物流施策推進プログラム」が決定された。
同プログラム自体はこれまでも策定されて来たところだが、今回の新しいものでは、「宅配便の再配達率の削減目標等」が含まれる点が目を引く。数値目標を設けたことで、国土交通省としても関係機関や業界と連携して、より実効的な再配達率の削減に向けた施策の実行に期待がかかる。
昨年10月期の宅配便再配達率は約15.5%
国土交通省は、宅配便の再配達削減に関する取組の成果を継続的に把握するべく、平成29年10月期より宅配便再配達率の調査・公表を開始している。調査対象は、佐川急便、ヤマト運輸、日本郵便となっている。今回の調査では、宅配便再配達率は約15.5%だった。
国土交通省としては、今後も本調査を通して再配達の発生状況を継続的に把握し、再配達削減に取り組んでいくとしている。 そのため、再配達削減に関する取組の成果を継続的に把握し、施策の進捗管理を行うべく、宅配便の再配達率の調査を開始したのだ。なお、調査は毎年4月と10月の年2回を予定している。
アベノミクスの進捗と大規模な金融緩和、株式市場の活況などは、ようやく雇用情勢や賃金の上昇、消費の活発化など実体経済に好循環をもたらしつつある。一方で人手不足は一層深刻になり、特に宅配業界には大きな影を落としている。
また、京都議定書の遵守に象徴されるように、CO2の削減は国家的な命題ともなっているだけでなく、再配達の増加は、宅配業者そのものに大きなコストとなっている。
こうした喫緊の課題に国土交通省としてさらに本格的かつ具体的な解決への姿勢を見せたと言え、今後のさらなる再配達削減への施策に注目したい所だ。