潜入Wowma!戦略発表!流通額の年間成長率132% KDDIも底力見せた
変わりゆくWowma!をここに見た気がする。
KDDIコマースフォワード株式会社(以下、KCF)は、2/23、東京都内で「Wowma!フォーラム」を開催した。このフォーラムはショッピングモールWowma!でショップを運営する人達に向けて実施されたもので、昨年の約2倍に当たる合計1000名もの参加者が詰め掛けた。
この中では、BEST SHOP AWARD2017も開催され、その結果は、この後の記事に譲るとして、まず先に「戦略共有会」の内容に関して、ここでは触れたいと思う。
Wowma!0円キャンペーンの効果はいかに!
「戦略共有会」においては、八津川博史社長が登壇し、この一年の振り返りと今後の方針について触れたのだ。
八津川社長は昨年のキャッチフレーズ「やってみよう」を大きくスクリーンに映し出し、ここでの実績に胸を張った。まず昨年の施策でインパクトを持って受け止められたものは0円キャンペーンだろう。2018年3月31日までは入会金(本来は1万円)、月会費(本来4000円)を0円にするというもの。
出店のハードルを低くしてWowma!というマーケットを作っていこうという意味合いだ。実際、これでどう変わったかというと、ここでの発表によれば、流通額の年間成長率は132%で、出店店舗数370%、商品数は160%となり、その目的に一歩近づけたと話している。
この上で、彼らが何を「やってみた」のかといえば、集客ができるよう組織的な部分で変化させ、KDDIグループとして、新しいマーケットのなかで何ができるのかにおいて考え、積極的に攻勢を掛けて売り上げもコミットしていける環境への転換を図ったのだ。
具体的には、マスメディアを使ったプロモーションとして11月~12月で初のテレビCMを行い、これらの効果を最大化させるべくデジタル戦略を徹底し、アプリの強化を図った。その具体的な内容は後に譲るとして、事実、ダウンロード数に関しては同アプリは20万ダウンロードされるほどのものとなった。
二つ目は、上記の施策で「ダウンロードする=お買い物をする」訳ではないので、Wowma!自体でも新たな取り組みを実施した。それが「毎日がWowになる」というテーマのもと実施されたWowma!内での「日替わりセール」だった。
この両面の取り組みにより、集客は10倍にも膨れあたり、その後も固定客がつく事となり、プロモーション無くしても安定して購入してもらえる土台ができてきたと話した。
KDDIらしく「三太郎の日」がブレイク!UIの向上にも着手
そして3つ目としてauで行われていた「三太郎の日」を「Wowma!」で実施する事で、携帯キャリアを持つ強みをここで生かし、auのコアユーザーに響いたことで、その時期においては40万UUが訪問する結果となった。
また、先ほど触れた通り「Wowma!」アプリを強化していく事で、実績を高める事に繋げていき、それが結果、そうこうしている事は数字を見れば明らか。アプリ購入者数の成長率(2017年1月比)は1.5倍で、1UUあたり商品閲覧数(対旧アプリ比)も4倍、かつアプリ利用者におけるリピート率(対ウェブ比)は2.5倍となって、集客した事を最大化し、かつその後の継続顧客の増加にも繋げて、流通総額の底上げに結びつけていったのだ。
スマホに関係の深いキャリアとしての底力を見せ、アプリ表示速度は(対旧アプリ比)で7.5倍となって、UIの向上もまたその勢いを後押しした格好だ。
UI向上に向けた動きは、それにとどまらず「Wowma!」の検索エンジンを大幅にリニューアルし、それに伴いCTR(表示された数(インプレッション数)のうちクリックされた回数の割合)が2倍となった他、レコメンドエンジンも変更し、CVR( ウェブサイト に訪れた人のうち、購入に至った人の割合)は2.2倍にまで伸びたと言う。
業務効率化と生産性向上の為に新管理画面を開始
また、8月には「旧Wowma!(DeNAショッピング)」と「auショッピングモール」をひとつにして利便性の向上につとめただけでなく、バックヤードも刷新して、運営者側の効率化と生産性の向上に務めた。
このバックヤードに当たる部分が来期のWowma!の要になる。具体的にはWow managerと言う新たな管理画面を最近投入し始め、今店舗にはこちらへのチェンジを呼びかけているのだ。
Wow managerは既に現時点においても、「ビッターズ」仕様でオークション向きな内容だったものをショッピングモール向けにしており、大幅に利便性は向上している。ただ、それに加え、店舗に課題として根強く残る人員不足を、効率的で生産性の高い管理画面にしていくことで解消へと導くほか、時期ごとに更新され、流通を飛躍的にひきあげる為の攻めの機能がその時々で実装されていく事になる事で、店舗が飛躍できるとした。
また、お客様の側においても、必要不可欠なモールとして当たり前の機能がなかったことを反省し、予約販売の機能、発送日表示、履歴表示なども用意し、最低限の必要な機能を取り入れていくとした。
Wow managerがお客様へのアプローチを変えていく
その上で、上記に書いたような攻めの姿勢として店舗がオリジナリティを持てるように、ショップ内カテゴリーを用意して、商品ごとの有料オプション、セット販売などして売り方や見せ方の幅を広げる。加えて、良きタイミングで良き商材のフックでクーポンを出せるなど、Wowが生まれやすい環境を作っていくこと、それがWowma!の目指す所だとした。
また、この中で、強調していたのは、お客様の性質を変えていくと言う事だ。ビッターズからの流れもあり、従来、安い物を求めるお客様を対象としていたような店舗も、上記の施策で大きくお客様の幅を広げていく事で、それぞれの店舗の商材に合わせ、相応しいお客様をリピートさせて、購入する商品数を増やしていく。勿論、それらはWow managerの中でも各店舗にマイページが用意され、ユーザーベースの拡大とサービスレベルの向上が図やすくなっていることで、具現化されやすくなっていくのだからその流れになるのは当然だ。
TGCなどリアルで認知拡大と新しい買い物の可能性を模索
そして、KCF自身もモールサービスの磨き込みとして、Wowma!で購入する価値を高める工夫をしていくとしており、ここはWowma!がKDDIグループとしての力を活用し、価値を最大化させるとしている。昨年は携帯キャリアとの連携もあったが「auでんき」などライフデザイン戦略のもと、独自の経済圏を持っていることや、KDDIグループには「mamari」などコンテンツ面でも豊富な魅力的なものが多いので、こうした所との相乗効果に努めるほか、下期においては昨年同様にTVコマーシャルを打っていくことを約束した。
その他、東京ガールズコレクション(TGC)や肉フェスといったリアルイベントとの連携も発表しており、TGCで言えばF0、F1層に対しては、イベント時のSNS拡散は140万人に及ぶなど、こういった場面でもWowma!の存在感を発揮していくと共に、先進的なロケーションでWowma!でありながらWowma!の範疇を超えた企画や新しいショッピングの可能性を提案して、斬新な価値を提供していくとした。
このようにして、Wow managerを基盤としながら、お客様を分析し、商品の見せ方にこだわりながら、リアルのような顧客体験を心がけていくと言う姿勢がこれまでとは違った部分であり、それもKDDIグループに入ることでそこへの投資がしやすくなったことで、言葉に重みが出てきた。
auの理念でもあるコミュニケーションはWowma!でも発揮して欲しい
そして、最後に、八津川さんはあくまでも構想段階としながらも、お気に入りの店舗の情報はアプリ上でタイムラインのように確認できるようにし、それに対して「Wow」といった意思表示ができるようにして、ショッピングでありながら、SNSのようなコミュニケーションが生まれる土壌を目指していることが垣間見れた。
数々の施策でDeNAショッピングとも違いが見えて、お客様もより多くの人が集まりやすく、また商材も増えて、Wowが生まれやすくなって、勢いは感じる。まだまだ成熟していないので改善点は大いにあるにせよ、楽天やヤフー、Amazonとは違ったカラーを見せて欲しい。
そして、思えばKDDIを支える「au」は、確か「Access to you(U)」で「au」であったはずだ。まさにショッピングのWowma!においても先ほどのSNS的な要素の話のように、買い物をきっかけに、コミュニケーションが生まれやすい土壌を作り上げていくことは会社の理念にも近しいのではないかと思うし、ECをきっかけに人々の心が通いあうとすれば、それは僕としても夢見るところである。期待したい。