【BASEと丸井/IROYAと東急】各企業の業務提携に見る、リアルとWEBの相互補完とは

ECのミカタ編集部

 BASE株式会社(所在地:東京都渋谷区)は、株式会社丸井グループ(本社所在地:東京都中野区)を引受先とした第三者割当増資を実施し、資金調達と資本業務提携の締結を完了したと発表した。

 「BASEと丸井」の狙いはどこにあるのか? 一方で、「IROZAのMonoposと手を組む東急」と対比して見ると、ECがこれから目指していくべき方向が浮き彫りになってくる。

 BASEは2017年10月より丸井グループとの協業を開始し、BASEの出店店舗に対し、丸井グループの店舗にて、ポップアップショップによる実店舗販売支援を実施してきた。

 この度の資金調達により「BASE」は、渋谷マルイ1階に常設店舗をオープンし、ポップアップショップに引き続き、将来的に多くの人々に受け入れられるブランドへと成長する可能性を秘めた店舗に対して、常設店舗での販売機会と販促ノウハウを提供し、各店舗の認知度向上や、新規顧客の獲得など、商機拡大を図っていく。また、今後は決済をはじめとするフィンテック面でも協業していくとした。

「WEB→リアル」と「リアル→WEB」の動き

 このニュース(https://ecnomikata.com/ecnews/18588/)でもお伝えしているが、BASEの店舗数は50万件を突破している。それほどにまで、インターネットを通じて売買を行う事は世の中にとって当たり前のことになってきている。そして、その先に「ECと実店舗では売れる商品や、売れ方が違う」という所に行き着き、丸井グループが持つノウハウを掛け合わせて「WEBからリアルへ」という構図を導き出した。

 一方で、以前こちら(https://ecnomikata.com/ecnews/10030/)のニュースでも取り上げているように、IROYAと東急グループの提携でMonoposを導入するといったニュースも見られる。これらは東急電鉄のリテール事業、および東急百貨店の実店舗とECを連動させて、在庫管理や発送作業を一元管理できるようにし、オムニチャネル化を実現しようという動きだ。つまり「リアルからWEBへ」という流れになる。

どうやってユーザーに必要とされる仕組みを生み出していくか

 「BASEと丸井」、「IROYAと東急」どちらも【WEBとリアルで相互送客を実現しよう】というものだが、これまで行ってきた事業内容からその方向性は真逆となっている。しかしこれからは様々な企業が手を組み、販売チャネルの多角化が推し進められるだろう。

 決して実店舗のほうが優れているというわけでも、WEBショップの方が優れているというわけでもない。もはや「どちらか一方だけでは戦い抜いていけない」という現状があるのだ。リアルとWEBを連動させメリットの相互補完を図ることでユーザーに必要とされる仕組みを生み出そうとしているのである。

 そもそもこれらの動きは、ユーザーの導線上で商品の売買が行えたほうが便利であるし、売上も向上していくはずだ、という発想から来るものだ。インターネットを通じて、これまでの概念は大きく変わっていく。

 そして物流の仕組みやAIなどの技術の発達によって、その動きはますます加速するだろう。大切なのはユーザーが何を求めているか、どうすれば必要としてもらえるか。そこを徹底的に追求し、柔軟な発想をもって小売事業を行っていく必要があるということではないだろうか。


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