斬新な情報端末で働き方改革とECビジネスを推進

ECのミカタ編集部

飛島建設株式会社グループ(代表取締役社長兼執行役員社長:乘京 正弘)、および株式会社Will Smart(代表取締役社長:石井 康弘)の2社は、2018年4月に業務提携に関する基本合意を行い、共創プラットフォームとなる「e-stand」の共同開発を実施した。

労働環境を改善し人手不足解消に寄与

日本の国家的な課題として労働人口の減少がある。それにより、労働力の確保の困難さが深刻化しつつあり、労働時間短縮しや生産性向上、意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが喫緊の重要な課題となっている。

e-standは、この課題解決のために進化版サイネージとして開発され誕生した。働き方を改革するサポートシステムとして、今までのデジタル技術を高機能化し、EC機能と組み合わせることで、労働時間を短縮させるだけではなく、生産性向上を推進するという。

また、これまでは、配達先の指定が困難でEC購入が難しい、例えば建設現場やイベント会場などの臨時に機能する場所にe-standを設置することでEC購入の新たな場を提供することが可能となる。つまりe-standは、働き方改革のシステムを備えるだけではなく、EC(Electronic Commerce・電子商取引)機能を併せ持つ、共創プラットフォームという新たなサービスとも言える。

それだけではない。e-standは、働き方を改革するサポートシステムやEC機能を組み合わせた画期的なものだが、公的機関、情報通信業、卸販売業、小売業、金融業・保険業、サービス業などと幅広く連携できるファシリティシステムとして大きな可能性を持っているのだ。

両社の強みが融合

両社の強みが融合

飛島建設グループは、「New Business Contractor」として、社会的課題の解決を新たなビジネスチャンスととらえ、ECビジネスに参入し、Will Smartと共同で、共創プラットフォームの構築を行ってきた。「e-stand」は将来的に、病院サービス、学校サービス、ホテルサービス、イベント会場サービスなどへと拡張し、また宅配ロッカーを組み合わせることで、あらゆる場所での展開を想定しているという。

また開発の一翼を担った株式会社Will Smartは、株式会社ゼンリンデータコムの社内ベンチャー企業として2012年に誕生した。IoTハードウェアの企画開発製造と、ゼンリングループが得意とする地図データを活用したソフトウェアを組み合わせ、クライアント企業に最適なビジネスソリューションを提供している。

特にインバウンド顧客向け施設、交通機関、宿泊施設への提供実績があるデジタルサイネージ事業、アプリケーションにおける拡張性の高い法人に向け車載端末を中心としたIoT事業を展開しており、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた新製品の開発を協業しながら進めている。

先行して建設現場の課題を解決

展開の皮きりとして、労働環境改善が急務である建設現場に、建設現場サービスを搭載したe-standを設置するようだ。現場の生産性向上や、従事者の生産性が向上する機能を付加させ、働き方改革を促進する計画だ。また、従事者の利便性を向上させるEC機能を装備することで、労働時間を短縮することも見込む。

建設現場サービスは、建設現場の休憩所(詰所)に、モニターとともに設置し、現場の要員に多様な機能を利用してもらうことで、業務効率を図り、建設現場を働きやすい環境に変化させる。

「現場の生産性向上」は5つの機能を有する。

◆1
情報の見える化により、建設現場の全作業員がいつでも予定や配置図などの情報を確認できる機能

◆2
現場の状況を正しく把握し、リスクを軽減させる新規入場教育の放映機能(多言語対応)

◆3
誰もが何度でも再確認できる安全ビデオの放映(多言語対応)機能

◆4
IDによる入退場管理(キャリアアップシステム対応予定)機能の搭載により、効率的な入退出を行う機能

◆5
安全に関わるポスターのデジタル化やEC商品の広告放映機能

「従事者の生産性向上」の機能として、以下の3種機能が設定されている。

■1
弁当、道具の注文がその場で可能となり、手配の負担軽減に繋がる。e-standに表示される商品ごとの二次元バーコードをスマートフォンで読みこむ事で、配達先である建設現場の住所などの入力の手間を省き、手軽に弁当と道具の注文を可能にする。

■2
その現場に適した天気予報や交通情報、地震速報等を随時表示することができ、夏にはWBGT(暑さ指標)の表示を可能とする。

■3
全作業員の健康と安全を確保する健康管理機能(予定)。




将来的には防犯カメラやスピーカー、宅配ロッカーなど、さまざまな機器やソフトとの連携を予定しており、進化し続けるサイネージとして展開して、現場の課題解決に寄与する方針だ。

日本の人口動態が各産業に与える影響は官民それぞれから指摘が繰り返しなされてきた。その問題は、ECを下支えする物流業界はもちろん、広く日本社会を覆う暗雲のように垂れ込めている。

そうした課題に対応する今回の新たなプラットフォームの提示は、まさにピンチをチャンスに変え得る反撃の一手とも言えるだろう。これまでも情報端末はさまざまな分野から提示されてきたが、e-standは、働き方改革とECとの融合という新たな切り口と共に、アイデア次第では無限の可能性を我々に示しているのかも知れない。

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