世界の5,000以上の事業者データが明らかにする最新EC消費動向【CRITEO調べ】

ECのミカタ編集部

コマースマーケティングのテクノロジー企業である、CRITEO 株式会社(本社:フランス、NASDAQ:CRTO、以下「Criteo」)は、2018 年第1 四半期のグローバル・コマースレビューの分析結果を公表した。

80以上の国の5,000以上の小売業者からのデータ

コマースマーケティングをリードするフランス発のグローバル企業であるCriteo社は、オンラインショッピングの最新消費動向を明らかにする調査「グローバル・コマース・レビュー」を実施し、その結果を公表した。

世界の5,000以上の小売業者からのデータをもとにしていて、モバイルデバイスやアプリケーションと消費者の関係や、オムニチャンネルを取り巻く要否動向が明らかになったようだ。以下、その興味深い内容について見ていく。

<調査手法>
グローバル・コマース・レビューは、2018年第1四半期中の、80以上の国の5,000以上の小売業者からの消費者の閲覧および購入データを分析。

さらに利用率が上がったモバイル

日本の2018 年第1 四半期におけるEC サイトのスマートフォンおよびタブレットによる売上は、前年同期比で4%増加し、55%を占めた。また、前年同期比の各デバイスの売上では、スマートフォンが+9%、タブレットが+3%、PC が-9%の結果となった。スマートフォン、タブレットを含むモバイルウェブの利用が成熟してきているのが読み取れる。

また、2018 年第1 四半期におけるEC サイトの売上のうち、業界別モバイル売上シェア(アプリを除く)は、健康/美容が69%で最も高く、このほかファッション/ラグジュアリーが63%、家庭用品が56%、量販店が57%、スポーツ製品が42%だった。

モバイルはEコマースを牽引している

日本と韓国からなる北東アジア地域では、商品を購入するためのスマートフォンアプリを提供している小売事業者がモバイルデバイスにおけるEC取引をリードしており、全体の66%の取引を占めている。

北東アジア地域での「Eコマース取引における各環境の比率」は、モバイル版WEB が26%、アプリ内が50%、PC が24%と、モバイルを通じた取引が全体の約8割を占めることが明らかになった。また、アプリ内の決済は世界的に見ても成長しており、「モバイルEコマース取引におけるアプリ内取引の比率」は、全世界において前年比で22%上昇し、44%となった。

つまり、世界のほとんどの地域で、現在 オンライン取引の50%以上をモバイルが占めており、アプリ内売上が圧倒的だ。アジア太平洋地域でも、現在オンライン取引の76%をモバイルが占めており、アプリ内売上が大多数を占める。さらに、北東アジア地域では、アプリ経由のコンバージョン率はモバイルウェブの5倍以上にも上り、その割合の高さは特筆に値する。

消費者は「いつ」購入している?

デバイス種類別・時間別売上では、勤務時間帯に入る9時から夜20時まではデスクトップPC の使用による売上比率が高く、それ以外の時間帯においてはモバイルデバイスによる売上の比率が高まることが明らかになった。

また、デバイス種類別・曜日別売上では、週末にモバイルデバイスによる売上が増加する傾向が見られた。ただし、タブレットによる売上は週末にかけて増加する傾向が顕著に見られたが、スマートフォンによる売上は金曜日をピークに土曜・日曜の両日では平均水準まで落ち込むことが明らかになった。ここからは、勤務時間中はPC の使用率が高く、夜間や週末はモバイルの使用率が高いことが分かる。

オムニチャネルはやはり有効

オフラインとオンラインのデータを統合できる小売業者は、そうでない事業者と比べて4倍以上の売上データを効果的に活用でき、マーケティング活動を最適化できるとの結果になった。

全世界におけるオムニチャネルの消費者の割合は全体のわずか7%に過ぎないにも関わらず、売上全体の27%を生み出している。一方で、オンラインのみの消費者の割合は全体の44%を占めるものの、売上全体の24%を生み出すにとどまった。オフラインのみの消費者の割合は全体の49%を占め、売上全体の49%を生み出している。

「ショールーミング」の購買習慣が消費者の間で定着しつつある今日のマーケティング施策においては、オンラインとオフラインのデータの統合がより重要になってきていることがこのデータからも読み取れる。

データに基づいた一貫性のあるアプローチが必要

Criteo のジョナサン・オプダイクCSO(最高戦略責任者)は次のように述べている。

「最新の調査結果では、デスクトップからモバイルショッピング、小売業者のウェブサイトからアプリへ、買い物客が継続的に移行していることが明らかになりました。今日の買い物客は、複数のデバイスにまたがって商品の事前調査を行いながら商品の購買に至っています。そのため、消費者の購入意思決定に影響を及ぼすためには、データに基づいた一貫性のあるアプローチが必要です。実店舗を持つ小売業者にとって重要なのは、アプリの導入とデータ管理のインフラの改善です。これにより、オンラインとオフラインの融合をシームレスで測定可能なショッピングジャーニーに変え、より効果的なオムニチャネルのマーケティングを行うことができます」

モバイルとオムニ化がビジネス成否を分けるか

今回の結果からは、小売事業者は、ショッピングアプリの優先順位付けと最適化を重要視する必要があるだろう。モバイル取引は、もはやモバイルウェブサイトに限定されなくなり、アプリの存在感が増している。

デバイスや環境によって様々な違いはあるものの、依然としてモバイルが購買取引において好まれる手段となっているのは間違い無い。モバイルウェブとアプリの両方に投資している小売業者では、モバイル売上の66%がアプリ経由で、アプリはウェブよりも高いコンバージョン率を生み出すことからもそれは明らかだ。さらにショッピングアプリ経由のコンバージョン率は、モバイルウェブの5 倍を超える。こうした今どきの「モバイルファーストな」ユーザとの接点の強化には、自社アプリの最適化が有効と言えるだろう。

また、オムニチャネルの消費者が売上高で最も高い生涯価値を生み出すため、オフラインとオンラインのデータを照合して、買い物客の意向と購買力を理解することが肝要ともなるだろう。オフラインの売上データを有効活用すれば、オンラインでの売上を促進できる。オムニチャネル対応の小売業者の場合、自社のマーケティング活動の最適化に利用できる売上データは4倍以上になるからだ。

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