顧客の過半数がインスタ流入の『Sylph』が行うインスタからECへのシームレスな送客

ECのミカタ編集部

株式会社シルフィード(東京都渋谷区神宮前4-21-7エスパス表参道302、代表取締役社長:竹内裕美子)はファッションブランド『Sylph(シルフ)』の新機能「InstagramとECサイトの送客システム」の運用を開始した。

課題としての「インスタの活用」

新たにInstagramを活用して送客を行う施策に関してのニュースが入って来た。シルフィード社は、日々変化する服飾業界の動向を踏まえて、自社アパレルブランド『Sylph』の訴求方法にInstagramを活用した新しい運用方法を提案することを明らかにした。

そもそも、現行のInstagramの仕様は、基本的に投稿に#(ハッシュタグ)が付与されるのみで、URL情報は貼ることができない。ユーザーにURLから意図するサイトや情報に遷移してもらうためには、原則として公式アカウントからリンクをクリックしてもらうなどの方法をとるしかない。

また、インスタグラマーがSylphのアイテムと一緒に撮影した写真を投稿した際も、結果として「なんの服を着ているのか、詳細はどういうものなのか」「どこで手に入るのか」「幾らなのか」といった情報を提供することはデフォルトの仕様では困難だった。さらにInstagramに投稿された写真も、投稿が重なれば、当然にしてSNSのフィードの下部に流されてしまうため、アーカイブとしてのアセット化も望めない現状だ。

一方で、Sylphでは、これまで様々なインスタグラマーと共同して服のデザイン・制作・販売などを進めて来た。その中でInstagramを流入源とした顧客の購買率が徐々に高まり、最近では集客の過半数がInstagramになるまで成長していた。そこで、消費者であり、かつブランドのファンであるInstagramユーザーとSylphとのロイヤリティ醸成と売上向上のための施策を構築する必要性に迫られていたのだ。

ECに送客するためのシームレスな仕組み

SylphはそれらのInstagramとECサイトの間にある問題を解消するため、これまでにはなかったシームレスな仕組みを生み出した。その施策により、Instagramに投稿された情報はECサイトの中に保存され、消費者はその写真のバックグラウンドとなる商品情報などに、より手軽にアクセスできるようになり、ロイヤリティ醸成と売上向上に寄与することが期待できる。


「SylphのInstagram活用の仕組み」はこうだ。

◇1. Instagramに投稿された写真をECサイト内にまとめて掲載

インスタグラマーやユーザーが「#bonnsylph」とハッシュタグをつけて投稿した写真が、ECサイト内のインスタボード (特設エリア) の中に表示される仕組みだ。Instagramに投稿された写真は、まず弊社の管理画面の中にデータとして蓄積される。そこで写真を承認すると、ボードに自動的に掲載される仕組となっている。

◇2. 各投稿写真と服の詳細を紐付ける

投稿された写真を端にECサイト内のボードに掲載するだけでは、結果として消費者の購買にはつながりにくい。そこで各投稿写真に「どの服を着用した写真なのか」という商品詳細を掲載する機能を追加した。また、詳細エリアより、商品下層ページに直接遷移することが可能となった。これによりユーザーは、Instagram上で投稿されたコーディネート写真を見ながら、カタログを閲覧するように買い物を行うことができるようになる。

◇3. 各投稿写真を、商品下層ページへと紐付け

例えば人気のワンピースがあったとして、そのワンピースを着用した写真がInstagramに複数枚投稿されていたとする。その際に、このワンピースに関連した投稿写真がすべて「自動的に整理され、一括で表示」される仕組みがあれば、ユーザーにとっての検索性がより増すのではないかと考えた。

そこで、上記「2」で写真と商品を紐付けると、自動的に商品の下層ページにも写真が紐付けられるシステムを構築した。下記の参考画像には、「着こなし紹介」のエリアに5枚のコーディネート写真が掲載されている。これは当該ワンピースに対し、Instagramの投稿写真が5枚紐付けられた状態であることを意味しており、着こなし紹介からInstagramのページへと遷移することも可能となっている。

これら3つの新機能を用いて、InstagramとECサイト間のシームレスな連携を行うとともに、システムを自動化することで可能な限り運用コストを下げていく考えだ。

インスタはアパレル分野でのロイヤリティ醸成の切り札

SNSユーザーは増加の一途をたどっている。中でもビジュアルが前面に出るInstagramは、若い女性を中心に幅広い人気を集めている。こうしたアーンドメディアと言われるSNSは、ペイドメディアと言われる広告とは別に、マーケティングの手段として脚光を浴びて来たのは周知の通りだ。

特にSNSを使ったマーケティング施策は、短期間に不特定多数に訴求する広告とは違い、ユーザーと自社アイテムやブランドとの関係性を長い時間をかけて構築し、ファンやリピーターを醸成できる手段として視線を集めており、その中でもInstagramは、アパレル分野との親和性は極めて高いと言える。

同社はまさに、SNSで投稿された様々な写真を、自社サイトのアセットとしていかにアピールしていくかが重要なポイントであると考えて来た。今後は、Instagramがマーケティングにはたす役割が増す中で、ユーザーやファンと発信者であるSylphやインスタグラマーの距離をより近くし、ユーザーやファンの声を、商品の企画や改善につなげてやすい環境やカルチャーが作られることを目指すものと見られる。今後のさらなる展開に期待したい。

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