JKだってECやってもいいじゃない?編集長、ハヤカワ五味に直撃〜10代で起業したのはECの力もありました

石郷“145”マナブ(編集長)

「JKだってECしてもいいじゃない?」
そんなことを僕は思った。そう思うきっかけをくれたその人は、株式会社ウツワ代表取締役ハヤカワ五味さん。

 彼女は今年の3月大学を卒業したばかりの女の子だ。しかし、そこらへんの女の子とは少し違っていて、自らブランドを立ち上げ、彼女が売り上げた金額は1年で6000万を超える。大学生がEC(ネット通販)等を使って6000万円を稼げる時代なのである。

 ブランド名は「feast」と言ってシンデレラバストの女の子へ送る、ランジェリーブランド。胸に自信がない人に向けたランジェリーを提供している。

 商売をしたのは中学高校時代。時に、切り取り線ストッキングなど斬新なアイデアで勝負を挑んでいた。が、本人が言う通り、美術の学校に行き、自信を持ってデザインでご飯を食べていきたいと思っていたけれど、打ちのめされて経営に行き着いた。その過程で、彼女をそちらへと駆り立てたのが、ECであり、いかにしてECに出会い、ちゃんと売り上げるまでになったのか。そこまでの過程が気になった。

 聞けば、彼女にとってのきっかけは自らが好きなファッションにあった。その魅力を自分以外のもっと多くの人に伝えたくて、その良さを伝え始めたのが始まり。ただ、彼女が他とは違うと思ったのはここだ。「自分が好きであることにとどまらず、そのことを掘り下げて、どれだけ“言語化”できるかで、周りの人たちの行動は変わる」と話すあたりで、買ってもらうまでがストイックである。

 何気無いランチを食べながら「何の本に書いてあったか忘れたんですけど、インサイト(購買意欲の核心部分)をつかむのがなにが難しいかというと、そのためには自分の嫌な感情と向き合わないといけないから、意外とできる人がいないというんですね」と冷静な分析が会話の中に飛び出す。

「たとえば、きっと誰々さんはなにが欲しいだろうなっていう感情の繊細な動きって、自分の中にもあると思うんですが、認めないほうが楽じゃないですか。誰々さんはうらやましいなっていう気持ちの、なにがうらやましいかを深堀りするのって結構エネルギーを使う。なにが悔しいのか、なにかに怒りたいのか、実はうらやましいんじゃないかという深堀りだと思う。それができれば、誰々さんがこういう行動を起こしているけど、実はそういうシーンはこういうところで、その人の心理がこう働いているからって考えることができる。まず自分の行動を心理の乖離に向き合わないと、人と自分の乖離もわからない。」

うちなる気持ちを言語化できるか

 一見クールな見た目とは裏腹に(失礼か)感受性が豊かで、一つのことに対して感じるインプットが多いからアウトプットが多く、それが内なる想いをきちんと“言語化”させ、周りの人をその気にさせる。そして彼女はそれと好きとが紐づいて、伝えたい気持ちが強いから、それがより響きやすい。

 そうするうちに、もう彼女は次の場面を思い描いていて、自分がお勧めすることで買う人がいるなら、それらの商品を仕入れて販売しようと着想した。最初こそ転売的なものであったが、彼女にあったのは儲けありきの安く仕入れて高く売るというよりは、価値に気づいて伝える術を備えていたので、転売を通してそれを実践したという方が正しい。言うなれば“価値をつける名人”だと思っている。

 「買う人の欲しいイメージがあれば、受注生産の形で予約を事前にとっておいて、それで30個売れたから買い付けに行くみたいなこともあり得る。発想としては、クラウドファンディングのもう少し販売に近いもの。モチベーションとしてはそっちに近い」。あくまで売る側の都合ではなく、買う人のイメージと理由が見えているから提案の仕方も、その先の売れるイメージも、どちらも自然と湧いてくる。

自分のブランドのヒットをハヤカワ五味はこう分析する

 いつしか物を売り、まとまった数を購入される事がわかってくると、いいものを探しに行く手間をかける必要もなくて、その分だけ自分で作ればいい。自分のブランド「feast」を立ち上げるに至るその流れは、そんな中での自然なことであったのだろうと思う。

 商品を販売した当初も、「最初は知り合いの洋裁ができる子にたのんで、20個くらいつくるつもりだったんです。ところが、すごくたくさん注文が入って怖くなって、催促されてまた怖くなって500個ってなってしまいました。でも作れるわけないんです。当時、工場さえ決まってなくて、焦って探して、1ヶ月半後くらいに納品して発送して。なんとかなったけど、冷静にやっちゃいけないですよね」。ただ、受注生産だからこそ、これだけのことができたと、彼女自身も話す通り、ECにはこれまでなかった才能に光をあてる力があることを、彼女のその話が実証している。

 ハヤカワ五味さんの提案したインナーがEC未経験ながら500個、売れた際には、ツイッターのフォロワーも300人程度。それでもツイッターをキッカケに火がついた。売れた理由について勿論、彼女は分析していて、なるほど人間の心理をついている。

 「たぶん自分の胸のカップサイズを皆、いいたいからツイートしているんですよね。私Cサイズだから入らないとかいいたいんだろうなって。あと日本と海外はまったく同じバズり方というか、半分炎上みたいに盛り上がっていました。日本でも海外でも、自分のバストサイズをいいたい人、とりあえず貧乳をディスりたい人、いや俺好きだよ貧乳っていいたい人、そこに対してフェミニストが出てきて、ああデザイン可愛い!っていう人がいました。ここまでで1セットなんです、うちの商品に関しては」と。

コミュニティのあり方は時代とともに変質していく

ECサイト「LAVI SHOP」。商品ページでは一枚絵で大きく見せたほうが良い!と消費者視点で仕様をカスタマイズしている。ここでは「feast」「feast select」「Double Chaca」の各ブランドを展開している。

 人間はそうは変わらない。けれど、SNSなどテクノロジーの進化でどんなことでも広く世界に知れ渡れるものとなった時、たとえ、小さな価値観であっても、それが熱狂を生むことだってあるのだと思う。彼女はBASEやカラーミーショップを使いながら、自らの店を運営していったが、実のところ、その違いはあまり感じていない。というと両社に怒られるかもしれないが。

 買い手の目線に立って、あまりに小さい画像の大きさを、仲間のデザイナーに頼んで、大きくしてカスタマイズするなどして、商品と伝えることが一続きになっている。彼女は多分、本質的な部分見ているから変わりないんだと思う。使いやすさがベースにあって、あとはカスタマイズすればいいと思っている。逆にいうと、そこでBASEやカラーミーショップは自分たちをどうブランディングできるかは、彼らにとっても課題なのではないかとも思った。大きなお世話かもしれないが。

 そして、僕は新しいECの突破口は“共感”と共感する人たちによって構成される“コミュニティ”にあると思っている。それには、彼女もまた凄くうなづいて、それどころか、もう少し先を見ていて、改めて僕は彼女をリスペクトした。彼女は20代のうちで4億円〜5億円は稼ぎたいと言い、僕はこの文脈で、それを達成するには、自ら持っているコミュニティを増やすのかと尋ねてみた。

 すると彼女はそれもあるけれど「(コミュニティの中にいる人の)客単価をあげたい」と切り出した。「お客さんの負担を増やすのではなくて、お客さんに裕福になってほしいっていう漠然とした願いがあって。あまり考えてないと思うんですが、コミュニティとしてとらえたときの、平均年収をあげたいんですよ、うちの。」と予想外の返事に少し驚いた。

ECはもっと多くの人にとって戦えるフィールドに

 「そもそもうちのいまいるユーザーの年収が上がってほしいのもあるし、仕事ができる人が、仕事したいけど何かしたいって人が自分のコミュニティに入ってきてほしい。例えば、友達でめっちゃ美人なのに服のださい子がうちのコミュニティで服を着始めたら超よくなったりしてるんですよ。変わっていってほしいなって思うし。いいものに対してお金を負担なく払えるようになってほしい。客単価が上がって、客単価が5倍になったら、4億弱くらい行きますよね」とも。

 そう、彼女の意図するところ、コミュニティができたら、今度はその中で上へと引き上げる啓蒙をして、コミュニティそのものの底上げをすることで、自らのブランドの客単価をあげていこうと言うわけだ。ツイートの質も変えているらしく、彼女もまた成長しているのでそれをオープンにして、ともに成長して行く。コミュニティが生まれたら、次はそれ自体の成長か、と。
 
 ECが突き進む道として、こんな成長過程は今までとは全く違っている。でも、同時に、この話はECによって夢を叶え続けている一人の女の子の話である。まだ若い子からすると、ECは敷居が高いという印象は強いのだが、まさにEC事業者と同じ当たり前の知識は、興味を広げる過程の中で、学んでいくことだってできる。中学生高校生の時から「物売り」をしていた彼女がいて、それが叶えている。

JKだってECやってもいいじゃない?

 彼女と同様に、もっと手軽に、若い人たちの目線で「どうやったら人ってくるの?」「CVRって何?」「クリックさせるには?」という方向にむきやすい環境を作らねば、と思う。そのアシストがこれからのECに求められている。

 彼女もまた「極論、そういう人が増えてきたらしんどくなるとは思うけど、ただECユーザーを増やすことがまず大事だと思っているんです。たぶんみんな売り上げ食われると思っているからあまり人に教えないんですけど、それよりは、ECを当たり前に使う人を増やすほうがマーケットとしていい。マーケット規模が大きくなる中でいまの規模感を続けていけば、売り上げが伸びるじゃないですか。そっちが優先である気がするので増えて欲しい。」と話す。

 また、リアルにも言及し、「ポップアップショップとかも協業を考えたほうがいい。最近いろんなところでポップアップスペースができているけど、結構スペースがでかいのです。ラフォーレと、エスカレーター前くらいしか小さいところがなくて。埋まらなくない?みたいな問題はある。なので、そういうときに協業できたほうがいいと思っています。」としている。

 彼女に限らず、他のショップとも話しても気づくことだが、これからはEC単体でどう売ろうかではなく、まず買う人のイメージに近づくことで、買う人との間にある距離感を埋めて行くか、なのではないかと思う。その人との接点にECが一つあるだけで、それはリアルという場を含めて、ネットとリアルの垣根を超えて、どうお客様と繋がりあえるかが、店にとっての差別化要因にもなる。

 また、それが、未来のコマースのあるべき姿であるように思う。そのためには、やっぱり多様化する中で様々な価値観がもっと柔軟に受け入れられ、発信される世の中でありたい。だから、冒頭話すように、僕は最終的には思うのだ。JKだってECやって良いじゃない?と。もっと誰もがECをキッカケに活躍できる世の中に。

 いろんな気づきをもらった。親しみを込めて、お礼を言いたい。
五味ちゃん、サンキュね。

記者プロフィール

石郷“145”マナブ(編集長)

ECのミカタ 編集長。キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

石郷“145”マナブ(編集長) の執筆記事

コメント

コメントを書くには、会員登録が必要です。
既に会員の方はログインしてください。
まだ登録をされていない方は、「新規会員登録」より登録を行ってください。
新規会員登録