@cosmeのアイスタイル社が、2018年6月期の決算短信を公表
美容系総合ポータルサイト@cosme(アットコスメ)の企画・運営や関連広告サービスの提供などを展開している株式会社アイスタイルは、2018年6月期の決算短信(日本基準、連結)を公表した。
売上高 28,470百万円(前年同期比 50.7%増)
同社資料によれば、同期の経営成績の概況について、同社グループは2016年8月3日発表の中期経営計画に基づき、当連結会計年度を選択と集中のフェーズと定めており、特にOn Platform事業における収益基盤の確立に注力し、当第4四半期連結会計期間にかねてより開発を進めてきた新サービスをリリースいたした。これによる当期売上への影響は軽微であるとしつつも、今後の収益の柱とすべく、第3四半期連結会計期間より当該サービスの営業に人的リソースを注力しているとしている。
また、Beauty Service事業やGlobal事業等が大きく成長した点に言及している。以上の結果、当連結会計年度の業績は次のとおりとなった。
売上高 28,470百万円(前年同期比 50.7%増)
営業利益 2,125百万円(前年同期比 45.0%増)
経常利益 2,147百万円(前年同期比 65.3%増)
税金等調整前四半期純利益 2,098百万円(前年同期比 28.3%増)※
親会社株主に帰属する四半期純利益 1,184百万円(前年同期比 10.0%増)※
※前第3四半期連結会計期間において、投資有価証券の売却益として特別利益283百万円を計上している。
化粧品ECサイト『@cosme』事業も好調
Beauty Service事業については、次のように述べられている。同セグメントには、化粧品ECサイト「@cosme shopping(アットコスメショッピング)」の運営、化粧品専門店「@cosme store(アットコスメストア)」の運営や、プライベートブランドの企画・開発・販売等の、国内における小売業を中心としたサービスが属している。
ECにおいては、「@cosme」からの送客を強化したことに加え、「@cosme」でランキング上位の商品やラグジュアリーブランドの取扱いを強化し、幅広い品揃えを実現することにより売上が好調に推移した。店舗においては、新規出店を抑制し既存店舗の収益性を強化したことにより、各店舗が成長し大きく増収増益となった。
当該連結会計年度末の店舗数は、2店舗の新規開店と小型店1店舗の閉店により、25店舗(前年同期末24店舗)となり、第3四半期連結会計期間に新規開店した「ららぽーと富士見店」は、初の外資系ラグジュアリーブランドを多数含むチャネル横断型の店舗となっている。
以上の結果、当連結会計年度の業績は以下のようになった。
売上高 12,142百万円(前年同期比 38.2%増)
セグメント利益 621百万円(前年同期比 171.2%増)
またGlobal事業では、日本国外で展開するEC、店舗、メディア等のサービスが属しているが、中国における越境ECにおきましては、W11※1という季節要因もあり上期の業績が当該セグメントを牽引し、当該第4四半期連結会計期間において、韓国免税店への商品卸売を開始し「@cosme」のブランドを活用した化粧品売場のプロデュースを行った。
店舗においては、第3四半期連結会計期間に台湾へ1店舗、当第4四半期連結会計期間に香港へ1店舗を新規出店し、当連結会計年度末の海外店舗数は台湾に4店舗(前年同期末3店舗)、香港に1店舗となった。
第1四半期連結会計期間より損益計算書の連結を開始した海外企業3社※2においては、引き続き中長期的な事業の成長に向けた取り組みや効率化・合理化を進めているとしている。
以上の結果、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなった。
売上高 7,646百万円(前年同期比 158.4%増)
セグメント損失 11百万円(前年同期 セグメント利益 133百万円)
※1:11月11日に中国で開催されるECの大規模なセール
※2:下記の3社
・Hermo Creative(M)Sdn. Bhd.(マレーシアで化粧品ECサイト「Hermo」を運営)
・i-TRUE Communications Inc.(台湾で化粧品レビューメディア「UrCosme」を運営)
・MUA Inc.(米国で化粧品レビューメディア「MakeupAlley」を運営)
「@cosme」は、未来を見据えた戦略でも重要な位置づけ
また「@cosme」事業に関しては、2020年を見据えた事業戦略フェーズの中でも重要な位置づけがなされている。さらに同事業に関しては、SNSを活用した取り組みへの言及もなされている。
一般的なマーケティングにおけるSNS活用について指摘した上で、@cosme上では、パーソナライズなどにより自分にあった商品と出会う仕組みもあり、今後効率的にECへつなげていくなど、@cosmeユーザーの購買までの動向を一気通貫して支援することを実現していくとしている。
一般的なマーケティングにおけるSNS活用について指摘した上で、@cosme上では、パーソナライズなどにより自分にあった商品と出会う仕組みもあり、今後効率的にECへつなげていくなど、@cosmeユーザーの購買までの動向を一気通貫して支援することを実現していくとしている。
それらの施策を通し、ブランド向けにユーザーとのつながりを価値化するサービスを順次提供を可能にし、広告サービスだけではなくマーケティングプラットフォームとして「唯一無二の立ち位置」を確立すべく基盤を整えていくものとみられる。
今回の同社の決算短信では、全体の数字でも目を見張る成長ぶりを示した。コスメは越境ECの分野でも中華圏をはじめ諸外国のユーザーからの熱い眼差しが向けられている。特に訪日外国人観光客が日本でコスメを購入し、帰国後にEC経由で商品購入のリピーターになる流れが顕著だ。こうしたECを取り巻くトレンドをつかみながら、同社は2020年とそれ以降に向けた戦略においても、さらに存在感を発揮していくことだろう。