スマホのみが増加、マルチスクリーンの利用動向調査【ニールセン デジタル調べ】
視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社(東京都港区、代表取締役社長 宮本淳)は、9月末より販売を開始した消費者のマルチスクリーンの利用動向調査「Nielsen Digital Consumer Database 2018(ニールセン デジタル・コンシューマー・データベース2018)」をもとに、消費者のマルチスクリーン利用状況についての分析結果を公表した。
調査概要
Nielsen Digital Consumer Databaseは、デバイス(スクリーン)とコンテンツ(サービス)の両面から、その利用状況を調査することで、今日の消費者が、「どのデバイスから」「何を視聴し、どんなサービスを利用」しているのかを俯瞰できる基礎調査データです。 2012年より継続調査を行っている。
本年度の調査は2018年9月7日~9月10日にかけて実施され、スマートフォン、パソコン、タブレットのいずれかのデバイスを通して月1回以上インターネットを利用している日本全国の15歳(高校生)以上の男女、計2,927人を対象に調査を行った。
サンプル数は、上記3デバイスからのインターネット利用者の人口構成比によって割り当てられ、インターネットユーザーを代表するように割りつけられている。
増加する「スマホのみ利用」
インターネット利用デバイスをみると、2017年と比べてスマートフォンだけ利用率が増加していた。デバイスの組み合わせとしては、スマートフォンのみでインターネットを利用する人が全年代で増加し、特に30代では174万人増加してた(図表1)。
動画視聴でもスマホ利用が伸長
次に、「無料動画」と「定額制有料動画」を視聴するデバイスをみると、どちらの動画サービスでもスマートフォンから視聴するという人が最も多く、それぞれ65%、48%となっていた。2017年からの変化としては、共にスマートフォンとTVに接続したデバイスからの利用が増加している一方で、パソコンとタブレットからの利用が減少していた(図表2)。
浸透しつつあるAIスピーカー
最後に、新しいデバイスである人工知能(AI)を搭載したスピーカー(スマートスピーカー)の利用率をみると、インターネット利用者全体のうち10%となっていた。性年代別にみると男性は女性よりも利用率が高く、若年層で利用率が高い傾向がみられた。特に、男性15-29歳の利用率が最も高く、15%が利用していた。(図表3)。また、スマートスピーカーの利用率を各動画サービス利用者で比較すると、「定額制有料動画」視聴者では19%で、「無料動画」視聴者の11%に対して8ポイント高くなっていた(図表4)。
ユーザーにとっての「使いやすさ」が重要
同社シニアアナリストの高木史朗氏は、調査に際し次のように述べている。
「スマートフォン利用者がこれまでの傾向と同様増加する中、特にインターネットをスマートフォンのみで利用している人が大きく増加していたのが今年の特徴です。デバイスの利用状況の変化に合わせて、ドラマや映画などの長時間視聴するようなコンテンツが多い『定額制有料動画』サービスでも、スマートフォンから視聴するという人が増加していたという点は注目すべきです。
『定額制有料動画』サービス提供会社ではこうした状況をすでに把握し、スマートフォンに動画をダウンロードして、インターネットに接続していなくても視聴できるような体制を整えるなどの対策を取っている企業もみられます。動画以外のコンテンツでもデバイスの利用状況が変化する可能性があるため、デバイスの利用状況の変化に合わせてユーザーにとって使いやすい体制を整えていくことが重要です。
また、新たなデバイスとして登場したスマートスピーカーが『定額制有料動画』利用者と相性が良いという点も、興味深い調査結果です。TVに接続したデバイスと連携させて、スマートスピーカーに『○○な映画が見たい』と話しかけて、その時の声色などから気分に合った映画が視聴できたり、テレビをつけたタイミングでお勧めの動画をスピーカーが紹介してくれたりするようになれば、有料動画サービスの利用頻度が増加する可能性もあります。
今回は動画視聴にフォーカスしましたが、その他のコンテンツを提供している企業でも、どのデバイスでどのようなコンテンツが視聴されているのか今後も継続的に把握していくことが重要です」。
変化するデバイスの利用動向
調査結果にあるように、2017年からインターネット利用者数が増えたデバイスはスマートフォンのみで、「無料動画」も「定額制有料動画」もスマートフォンからの利用が増加し、メインデバイスになる傾向がさらに進み、スマートスピーカーの利用率は10%で、若年男性や「定額制有料動画」利用者で利用率が高いなどの点が浮き彫りとなった。
スマホは「手のひらの中のマーケティングデバイス」と言われるように、極めてパーソナライズされた機器であり、EC事業を展開する上でも重要な位置を占める。そして調査でもその傾向がより高まっていることが見てとれる。
またスマートスピーカーは、大手ECプラットフォームやネットサービス提供企業がこぞって市場に投入しており、それぞれのエコシステム強化のキーアイテムとなっているが、その浸透度も徐々に高まっているようだ。
EC事業を展開する上でもこうしたデバイスのすう勢をキャッチアップすることも、いたって肝要となって来るだろう。