ジョンソン・エンド・ジョンソンがシーズ・ホールディングスの株式公開買い付けへ J&Jが「ドクターシーラボ」ブランドのアジア展開を加速か
株式会社シーズ・ホールディングス(以下「シーズ・ホールディングス」)は、取締役会において、以下のとおり、ジョンソン・エンド・ジョンソン(以下「公開買付者」)による同社の普通株式(以下「同社株式」)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」)に関して、賛同の意見を表明するとともに、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議を実施した。
買い付け期間は2018年10月29日から2019年1月10日までとなり、価格は1株5900円。公開買い付け金額は約1500億円となる模様。
なお、上記取締役会決議は、公開買付者が本公開買付け及びその後の一連の手続を経て、シーズ・ホールディングス社株式全てを取得することを企図していること及び同社株式が上場廃止となる予定であることを前提としている。
資本関係等
【資本関係】
情報公開時、同社株式 100 株(所有割合: 0.00%) を所有しており 、公開買付者が間接的にその議決権の 100%を所有する Cilag Holding AGの 100%子会社である Cilag GmbH Internationalは、同社株式 9,679,300 株(所有割合: 19.90%)を所有している。
【人的関係】
公開買付者の完全子会社であるジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社の代表取締役プレジデントである海老原育子氏は、同社の社外取締役を兼任している。
【取引関係】
該当事項は無い。なお、同社は、公開買付者のグループ企業であるジョンソン・エンド・ジョンソン・ピーティーイー・リミテッド(Johnson & JohnsonPte. Ltd.) に対し、日本以外の地域において、同社の化粧品ブランドを市場開拓し、商品化する独占的な権利を付与しており、 同社は当該製品の販売額に対する一定のロイヤリティ収入を得ている。
公開買付けの背景
今回の公開買付けの背景として次のような内容を述べている。公開買付者は、 アメリカ合衆国ニュージャージー州ニューブランズウィックに本社を置く持株会4社であり、 主に人々の健康及び福祉に関する製品を取り扱っている。
公開買付者はロバート・ウッド・ジョンソン、ジェームズ・ウッド・ジョンソン及びエドワード・ミード・ジョンソンの兄弟によって創業され、 1887 年にニュージャージー州において設立された。公開買付者は、 1944 年にニューヨーク証券取引所に最初に上場され、現在では、世界中に「ジョンソン・エンド・ジョンソンファミリーカンパニー」と呼ばれる 260 以上の会社の株式を保有している。
このジョンソン・エンド・ ジョンソンファミリーカンパニーの一部として、米国におけるJohnson & Johnson Consumer Inc.をはじめとして世界中に所在する他の事業会社により構成される公開買付者のコンシューマ事業(消費者向け事業)(以下「J&Jコンシューマ」) がある。
J&Jコンシューマは、ベビーケア、オーラルケア、美容品、市販薬、女性用
ヘルスケア及び創傷ケアの市場において用いられる 広汎な製品を販売しており 、特に、その美容品事業においては、 NEUTROGENA®、 AVEENO®、 OGX®、 JOHNSON’ S® 及び NEOSTRATA®といった代表的なブランドがある。J&Jコンシューマの美容品事業は、アジア太平洋市場における規模及び将来性を確立すること、並びに世界規模の消費者に対し差別化された製品提供を行うべく 、高付加価値の製品群を拡大することを特に重視している。
一方、同社グループ(当社及びその子会社8社。 以下、子会社8社を総称して「同社子会社」)は、1999年2月に城野氏によって設立された株式会社ドクターシーラボ(現在の当社)の研究開発部が中心となり製商品化した、人の肌が持つ自然治癒力に着目した化粧品や、健康食品、美容機器等を販売する事業及びエステティック・サロンの展開を主たる業務としている。
メディカルコスメの企画販売を行う株式会社ドクターシーラボ、メディカルエステを運営する株式会社シーズ・ラボを傘下にもつ美容と健康にフォーカスした商品・サービスを提供する企業グループだ。同社の製品の多くは、スキンケアにフォーカスしており、低刺激性の化粧品から機能性アンチエイジング製品に及んでいる。
公開買付者と同社グループの現在の関係は、2015年10月上旬に、J&Jコンシューマが当社に対し、海外事業展開を中心とした資本業務提携の提案を行ったところから始まる。 本提携は、アジア太平洋地域での事業拡大がJ&Jコンシューマの成長戦略のために重要かつ優先度が高い事項であり、かつ同社にとっても関心を有する分野であったことから、J&Jコンシューマが当社の製品販売を海外に拡大することを可能にすることを企図していたとのことだ。
同社は、 J&Jコンシューマの提案を受け、公開買付者のアジア地域のハブとして活動しているシンガポール法人であるジョンソン・エンド・ジョンソン・ピーティーイー・リミテッド(Johnson& Johnson Pte. Ltd.、以下「JJPL」)との間で、JJPLに当社の海外における事業拡大に係る権利を与え、 顧客データ ベース を基盤としたマーケティング手法を同社製品に適用する ことにより、当社のマーケティング力を強化し、さらにはJJPLの化粧品を日本国内の同社の販路で販売することを可能とすることを目的として、協業、ライセンス、譲渡に関する合意書を2016年7月11日に締結した。
これにより、JJPLは、日本以外の地域において、「ドクターシーラボ ®」、「ラボラボ®」、「ジェノマー®」の化粧品ブランドを市場開拓し、商品化する独占的な権利を取得し、同社に対し、当該製品の販売額に対するロイヤリティを支払っている。
アジア地域等でさらに存在感を増すか
今回の株式公開買い付けに関しては、J&J社と「ドクターシーラボ」ブランドを展開するシーズ・ホールディングス社のこれまで醸成されてきた信頼関係があることは間違いない。
その上で、アジアをはじめとした各地域で同ブランドを広く展開するための抜本的な施策という意味合いが大きいことがうかがえる。今後、ECでの展開を含め、同地域で幅広くコンシューマーに訴求していくものとみられ、今後の展開にも注目が集まるところだ。