2018クチコミから見える中国人消費者のマインド【トレンドExpress調べ】
ホットリンクグループの株式会社トレンドExpress(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 濵野智成、以下「トレンドExpress」)が運営する、中国の消費情報と中国SNSデータ(クチコミ)の分析ツールを提供するWEBメディア「中国トレンドExpress」は、2018年に「新浪微博(Weibo)」などの中国SNS上で「買った」と投稿された日本商品の情報を集計・分析し、商品名別・商品カテゴリ別などでランキングにまとめた「2018年中国SNSクチコミ振り返りレポート」を公表した。ここではその中から一部抜粋して見ていく。
調査概要
【集計期間】
2018年1月3日~10月30日(前年データは、2017年1月4日~10月31日にて集計)
【調査対象】
新浪微博(Weibo)に投稿されたクチコミデータ
【調査項目】
日本商品について触れられた投稿文の内容から、その商品を「買った」旨が記載されている投稿743万7,227件を抽出。
クチコミ総数は100万件以上増加
調査の結果、2018年に中国SNS上で、日本商品を「買った」と投稿されたクチコミ件数の総数は、743万7,227件。前年の640万9,892件から100万件以上増加となった。
また、「買った」クチコミが多い商品カテゴリ、1位「コスメ・美容」 2位「衛生・健康」 3位「医薬品」となった。商品カテゴリ別では「コスメ・美容」がトップで45%のシェアを占める。続いて「衛生・健康」(15%)、「医薬品」(13%)と、「肌に触れるモノ」「口に入るモノ」に対する日本商品への信頼の高さを表す結果になった。
さらに「買った」クチコミ数が最も上昇した商品カテゴリは「ベビー・キッズ」で前年比23.2%増となりトップだった。2016年の「一人っ子政策」撤廃後、中国政府は第二子の出産を奨励しているとされ、「子供の数が増えることによる競争激化」への危惧から、「子供にはよりよい環境で、より強く、優秀な子供に」という意識が働いた結果、良質で機能性・デザイン性に優れた日本商品へのニーズが高まっていることが推測されるとしている。
目が肥えた中国人消費者の動きは早い
今回の調査に際し、「中国トレンドExpress」編集長は次のようにコメントしている。
「今年全体でクチコミ件数トップとなったのは『ピジョン 薬用ローション(ももの葉)』。主に赤ちゃんに、あせもやオムツかぶれ、冬場の乾燥投防止などを目的に使われていますが、あせもやアトピーなど、肌トラブルに長年苦しんでいるというユーザーも中国SNS上に見え、また、超敏感肌の消費者は、化粧水代わりに使用している方も多いのが特徴です。
このTOP20ですが、2017年と比べるとずいぶんと顔ぶれが異なっていることが見て取れます。2017年1位の『サンテFX』がTOP20圏外に下がったのに対し、同じ目薬類の「サンテ ボーティエ」は、2017年からランクを6つ上げて14位にランクイン。
そこから見えるのは、商品群としての目薬類は依然として中国消費者からのニーズが高い商品なのですが、ブランドスイッチが広く起こっていると言えると思います。これは中国消費者が得ることのできる日本の情報が増えたことが影響しています。
これまではWeiboの限られたKOL(インフルエンサー)や日本にいる・日本へ旅行に行った友人などからもたらされる情報がすべてでしたが、近年は日本商品を紹介するKOLも増加し、またそうしたKOLを通じてプロモーションを行うメーカーも増え、中国国内にいても目にすることのできる情報が多数存在します。
また、WeChat公式アカウントの中には日本情報を専門に発信するアカウントもあり、さながらメディアのように日本の事件や流行、新商品などをほぼリアルタイムで発信しています。
そして決定的なのは、ソーシャルバイヤーの活躍です。日本在住者が殆どであるソーシャルバイヤーは、絶えず日本商品を中国にいる自身のフォロワー向けに発信しており、さらにその商品に対する詳しいレクチャーも行うため、中国消費者もより多くまた良質な日本商品情報に触れることができるようになったのです。こうした情報発信が消費者の購買意欲を刺激し、その目が『前年とは異なる新しい良い商品』へとむけられ、異なる商品、異なるブランドが人気となっていると考えられます」
調査結果にあるように、中国人消費者のクチコミ投稿数はかなりの増加となっている。その背景には、中国市場向けに日本のメーカーや各事業者が積極的なプロモーションや情報拡散を図っており、日本製品に関する情報量が増えていることがあるようだ。
こうした情報を元に、推しのブランドを変えるなど中国の消費者は敏感に反応していることもうかがえる。ますます成熟の度合いを増す中国市場と消費者のマインドを前に、EC市場も活況を呈すると共に、より洗練された販売・プロモーション戦略の立案と遂行が求められる時代とも言えそうだ。