国際物流企業UPSが中小企業向けにフルフィルメントサービスを開始。
UPS(本社:米国アトランタ州)は中小企業向けにEフルフィルメントプログラムを提供開始することを発表した。
米国の複数のマーケットプレイスを、簡単に管理できるようになる。
複雑化するマーケットプレイスの管理を簡単に
今やEC取引において欠かせないと言っても過言ではない、Amazonや楽天をはじめとするマーケットプレイス。
ユーザーからすれば様々な企業の商品を比較検討することができて便利であり、実際に米国のオンライン買い物客の96%以上がマーケットプレイスで買い物をしたことがあると回答しているほどだ。
そのためEC事業者としても、マーケットプレイスを活用するほうがより多くのユーザーにリーチできるというメリットがある反面、複数のマーケットプレイスに出品していると、マーケットプレイスごとにログインが必要になったり、梱包・出荷・売上在庫管理と、業務処理が面倒というデメリットがある。
今回国際物流のUPSが発表したEフルフィルメントサービスは、米国とカナダの消費者をターゲットとした世界中の中小企業に、統合されたフルフィルメント・出荷サービスを提供するというものだ。
eBayやウォルマート、楽天の米国サイトであるRakuten、Amazonなど米国の21のマーケットプレイスやウェブストアからの購入・注文をサポートする。
UPSジャパン代表取締役社長のダリル・テイ氏は、「本プログラムの導入によって、日本のオンライン小売業者は、米国とカナダの2億人以上の潜在顧客と、5,000億ドル以上と言われるEC市場にアクセスすることができる」と述べている。
Eフルフィルメントプログラムでできること
大前提として、米国のマーケットプレイスで米国およびカナダ在住のユーザー向けに商品を販売したい企業が利用できる。
1回のログインで、eBayやRakuten、Amazonを含む21のマーケットプレイスとウェブストアの売上管理が可能だ。
保管・受注手続き・梱包・出荷の処理を実現し、中小企業は、配送時間の指定もできる。
既存の倉庫など、他の場所に保管されている在庫品をプラットフォームに追加することも可能だが、商品は米国に所在する倉庫に保管する必要があるという点だけはネックかもしれない。
売上3倍の実績も。プログラム導入のメリット
UPSは2017年に本プログラムを試験的に導入した。
その際、Tidai New York(タイダルニューヨーク)社は本プロプラムの導入で、ビーチサンダルの売上を3倍にまで増やすことに成功。
結果の原因としては、複数の店舗やマーケットプレイスで同時に営業できることで売上を伸ばせたこと、また同時に営業する事業インフラの管理より事業の成長に集中できたことがあげられている。
中小企業にも越境ECのチャンス
米国のマーケットプレイスに限定される、米国の倉庫に商品を保管する必要がある、といった点はあるものの、米国・カナダのマーケットを中小企業もターゲットにできるということは大きな魅力である。
また、本プログラムが全世界の中小企業を対象としている点も、UPSが本プログラムによる越境ECの活性化に大きな期待を寄せていることが見てとれる。
メイド・イン・ジャパンのブランドが、本プログラムによってより世界に広まっていく今後に期待したい。