オープン型宅配ボックス『ERYBOX』が佐川急便・ココネットと提携 実証実験はまず都内5ヶ所から
ERY JAPAN LLC.(サイブリッジグループ、所在地:東京都港区、以下「ERY JAPAN」)のオープン型宅配ボックス「ERYBOX」の実証実験において、佐川急便株式会社(SGホールディングス)、ココネット株式会社(セイノーホールディングス)との連携が決定したことを公表した。
再配達問題の軽減を企図
オープン型宅配ボックスは、誰でも配達先に指定して受け取ることができる宅配ボックスだ。大型マンションなどに設置されている住居用の宅配ボックスは、居住者しか荷物を受け取ることができない。オープン型宅配ボックスは、集合住宅付近はもちろん、主要な駅や店舗・施設など、誰でもアクセスしやすい場所に設置される。
ERY JAPANでは、受取人が不在の際の配達先としての利用はもちろん、受取人の住所が特定されないというメリットがあり、「再配達」や「個人情報保護」といった配達事業が抱える課題を解決していくうえで、重要な選択肢になり得るとしている。同社はまた、このオープン型宅配ボックスによって、初回配達・または再配達をERYBOXへの荷物配達とすることで、現在社会的に課題となっている再配達問題の解決を企図しているそうだ。
国土交通省の調査では、2018年4月時点での「都市部(東京23区で人口密度が高く単身世帯の占める割合が高い区)」の再配達率は16.4%と、他地域よりも高い。単身世帯は通常、不在となる時間が多いため、物理的に「在宅して受け取る」ことが難しい状況であると言える。こちらを受けて、実証実験は東京都23区内に絞り実施することにしたとのだ。
都内5拠点へ設置し順次拡大予定
そのERY JAPANが行っているオープン型宅配ボックス実証実験で、新たに佐川急便・ココネットが扱う荷物をユーザーの指定したERYBOXに届けることが可能となる。また同実証実験に参加しているECサイトで購入した商品も、ERYBOXでの受け取りができる。
佐川急便については、再配達受取場所としてWeb経由の再配達依頼にてERYBOXを指定することができるようになり、メールやSMSで「荷物到着」を知らせる。
荷物がERYBOXに配達されるとユーザーへメールやSMSが送信される。またERYBOXの鍵は、ユーザーに発行されたQRコードや暗証番号で手軽に開錠が可能。受け取り忘れが無く、かつ手早く荷物を受け取れるフローとなっている。
同社では都内5拠点にERYBOXを設置予定だ。杉並区・足立区・中野区等、都内5拠点への設置がすでに決まっており稼働開始は来春の予定だ。また佐川急便・ココネットに限らない、幅広い物流事業者やEC事業者等との協同も推し進めており順次発表していく予定とのことだ。
今後もサービス強化をはかる
同社は今後の展開について次のように述べている。
今回、佐川急便は「再配達先としてのERYBOXを指定できる」という施策での参画となるが、より根本的な再配達についての課題解決を行うべく、ERYBOXへの直接の配送についても共同検討していき、ココネットについてもERYBOX配送パートナーとして、今後のサービス強化を図っていく予定とのことだ。
ERYBOXそのもののサービスにおいては、実証実験で挙げられた課題の改善・解決を行った後、台数及び提携するEC事業者や物流事業者の拡大を行い、都内外の自治体との取り組みも予定する。
またERYBOXは「24時間可動しているスペース」として、通常の荷物受け取りに留まらない利用方法を広げていき、物品の受け渡しやERYBOXの電源を拠点としたサービスなど、ERYBOXのスペースを利用した事業者様との提携を推進していく計画だ。
同社も述べている通り、集合住宅等の宅配ボックスも徐々に普及してきているが、未整備であったり戸数に対して数が少なくボックス自体が埋まりがちだというケースも散見される。
そうした中で代替となる受け取り手段として機能することも期待できる。各社からも駅など公共の場所に設置される宅配ボックスの取り組みは盛んになってきているが、こうした受け取りの選択肢が増えることは、宅配のラストワンマイルの課題解決に向けた歓迎すべき動きと言えるだろう。