電通デジタルが広告の最適表示回数を算出するフレームワークを開発 平均36%効果が向上
株式会社電通デジタル(本社:東京都港区、代表取締役社長:鈴木禎久、以下「電通デジタル」)は、デジタル広告の最適な表示回数(フリークエンシー)の上限を導き出すフレームワークを開発し提供を開始した。
同社はこれにより広告配信対象となるセグメント・広告予算・配信期間に応じて最適な広告上限表示回数の設計を実現できるとしている。
最適なフリークエンシー上限回数を導き出す
現在のデジタル広告がこれまで抱えていた課題について次のように述べている。一定期間内に同一ユーザーへの広告表示回数を制限する機能があり、広告効果を最大化するためにこの機能の適切な活用が重要となっている。しかしこれまでは「広告表示回数の上限をどのように設定すべきか」といった点でデータドリブンな算出に課題があった。
そこで電通デジタルは、同社が保有するフリークエンシー回数別(以下、FQ 回数別)リフトモデルと、プラットフォーマーが保有するリーチシミュレーションデータ(ユーザーへのリーチ数とフリークエンシー分布の予測データ)を組み合わせることで、配信セグメント・広告予算・配信期間に応じて最適なフリークエンシー上限回数を導き出すフレームワークを開発したのだ。
多くのユーザーに複数回表示が効果的
FQ 回数別リフトモデルは、広告接触時に発生する広告効果の伸びしろと可変性(態度変容のしやすさ)を軸に、FQ 回数別の態度変容指数を導き出すもので、同社は複数の事例を通して検証を重ね精緻化を進めてきた。
その結果、限られたユーザーに複数回広告を表示し続けるよりも、可能な限り多くのユーザーに 1 回広告を表示した後に、2 回目以降の広告を表示することが理想的なフリークエンシーの制御方針となることが分かったそうだ。
また FQ 回数別リフトモデルにより、配信予算規模に応じて、最適なフリークエンシー上限回数が異なることも判明したとしている。具体的には、フリークエンシー上限設定回数が少ないほどオークションプレッシャーがかかり CPM(広告表示 1,000 回あたりの料金)の高騰が起こるため、広告予算規模が大きい場合はフリークエンシー上限設定回数も多い方が広告効果を期待できる傾向にあることが分かったそうだ。
36%効果が向上
同フレームワークでは、リーチシミュレーションデータより得られるオークションプレッシャーによる CPMの変動率と FQ 回数別リフトモデルを加味することで、配信セグメント・広告予算・配信期間に応じて最適なフリークエンシー上限回数を算出している。
なお、同一予算規模における広告効果の最大値と最小値を比較すると、その態度変容効果は平均でプラス36%向上したそうだ。
今後について同社は同フレームワークにおける対応可能な広告の種類や配信セグメントの拡充を進めるとともに、引き続き大手プラットフォーマーとの連携による多様なソリューションの開発に取り組んで行くとしている。
デジタル広告は紙媒体やテレビなどの従来型のマスメディアでの広告出稿と違い、閲覧状況などエンゲージメントやコンバージョンまでの各状況をデータとして計測しやすい。一方で最適な広告表示回数を算出するのは、ユーザー属性が多岐にわたることやCPMの点から少なからず課題があった。
今回、電通デジタルが開発したフレームワークはこうした課題に正面から対応するもので、EC市場をはじめとしたプロモーションとマーケティング分野での精度向上へ向けて寄与することになりそうだ。