「NP後払い」、即時与信実装などを含む大規模アップデートをスタート
株式会社ネットプロテクションズ(以下、ネットプロテクションズ)は11月27日、BtoC向け後払い決済サービス「NP後払い」について、大規模なシステム・サービスのアップデートを順次開始することを発表した。これに伴い、同日からアップデートのフェーズ1として即時与信機能を含む複数の機能リリースをした。
国内の後払い決済額は現在5,000億円
ネットプロテクションズは2002年に「NP後払い」を発表。現在、「NP後払い」の2018年度年間ユニークユーザー数は1,350万人、年間総流通額は2,500億円を突破している。
同社を取り巻く後払い市場も刻々と変化しており、矢野経済研究所「国内キャッシュレス決済市場の実態と将来予測 2019年度版」によれば、国内の後払い決済額は現在5,000億円前後、3年後には1兆3,500億円まで増えるとの試算が出されている。
しかし、後払い決済にはユーザーの不正利用や加盟店による不当販売などの課題があり、ネットプロテクションズも含め多くの企業が対策を打ってきた。
そんな中、ネットプロテクションズでは今回、19年の実績により、同社でしか実現できない高精度の与信モデルを構築。不正利用をこれまで以上に精度高く排除しつつ、より多くの利用者・加盟店に対して利便性高く後払い決済を提供していくことを目的とした大規模なアップデートを行なっていく。
新たに実現する4つの機能
テクノロジーとデータ活用のアップデートにより、多様な機械学習手法の活用と内外部のデータ連携・活用が可能なアーキテクチャ構成に進化させ、システム処理のみでこれまで以上に正確に取引を捉えることが可能となった。
こうしたアップデートによって実現するのが、「即時与信の実装」、「請求・支払いの個別最適化」「与信通過率向上」、「システム無停止化」の4つだ。
一つ目の「即時与信の実装」については、従来の後払いでは即時与信ではないものが中心だが、最近では即時与信の後払いサービスも増えている。EC事業者にとっては即時与信がではない場合、商品を即時出荷できないという課題や、即時与信が通らなかった場合に代替手段の案内などをせねばならず、運用の手間がかかる上に購買離脱につながってしまうケースもあった。
また、従来の「NP後払い」では”より多くのユーザーに利用いただく”という与信ポリシーを優先し、システム処理だけでなく目視での与信判断も行なってきたが、サービス開始から蓄積した量・種類ともに大量のデータを用いることで、与信ポリシーを優先したままシステム処理のみで与信判断を行うことが可能になった。
2つ目に実現するのが「請求・支払いの個別最適化」だ。従来の「NP後払い」では全取引に対して一元的な請求・支払いフローを構築していたが、今後は支払い期限や支払い手段などを取引ごとに個別に多様化させることが可能となる。
ユーザーごとの支払い履歴などをもとに最適な支払い手段を提案するなど、ユーザーに寄り添ったかたちで後払い決済の体験を提供することが可能だ。
なお、この機能は2020年度以降に順次開始していくという。
3つ目に実現するのが「与信通過率向上」である。従来であればNG判断をせねばならなかった、上限や一時的な未収なども過去の取引データを踏まえてOK判断にするなど、与信通過率を向上させる。
4つ目として発表されたのが「システム無停止化」だ。AWSへサーバーを移行することで、処理スピードや件数を柔軟に拡張できるようになり、処理限界による停止や遅延の発生率を低減させる。また、マイクロサービス化することにより、一時的な負荷やトラブルが発生した場合でも一部機能の停止にとどめ、サービスの稼働をし続けることができるようになる。これらにより、99.99%のサービス稼働率を目指す。
ネットプロテクションズが推し進める次世代与信
発表会の中で代表取締役社長の柴田氏は「この次世代与信は自信がありますし、かなりすごい仕組みだと思っています。大事なのは仕組みを作ってから活用することなので、ここ1年2年が勝負だと思っています」と今後を語った。
政府によるキャッシュレス決済の促進施策なども行われているが、柴田氏は「クレジットカード決済が完璧にならない限り後払いのニーズが消えていくことはないのではないか」と語る。実際、冒頭にあるようにまだまだ後払い市場規模は成長を見せている。
また、EC事業への新規参入だけでなく、スタートアップ企業や個人ブランドなども増加している今、消費者が”初めてのサイト”に出会う機会はますます増えていくだろう。そんな時に購入機会の損出を防ぐ後払いは、本領を発揮するに違いない。これから開始されていく「NP後払い」のアップデートは、EC事業者にとっても注目すべきアップデートになるだろう。