「サブスク・IoT・◯◯Pay」アプリなどが成長 『モバイル市場年鑑2020』が公表される 

ECのミカタ編集部

モバイル市場データプラットフォームを提供する App Annie (アップアニー、本社︓⽶サンフランシスコ、CEO︓TedKrantz)は、2019年のモバイル市場に関する包括的なレポート『モバイル市場年鑑2020』を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

レポートについて

モバイル市場年鑑は、アプリ市場データプラットフォーム「App Annie Intelligence」のデータを基に、各業界の動向をまとめたレポートだ。ゲームや⾦融、⼩売業界の動向に加え、今回から新たに、IoTやサブスクリプションなど近年注⽬されている領域に関するレポートも含まれている。

サブスクアプリが急成長

サブスクアプリが急成長

⽶国では、⾮ゲーム系アプリにおける消費⽀出上位250のうち、⽀出額の96%がサブスクリプションによるものだった。非ゲーム系アプリとゲームを合計した消費⽀出総額でも、4分の1となる25%がサブスクリプションによる消費となった。

また世界においても、サブスクリプションモデルが成功を収めており、マッチング系アプリの「Tinder」、動画ストリーミングアプリの「Netflix」、「Tencent Video」が2019年の⾮ゲーム系アプリの消費⽀出ランキングの上位3位を占めている。

IoTアプリのDL件数が1億6千万件を超える

⽶国では2019年の1年間だけで、IoTアプリの上位20位のダウンロード件数が1億6000万件を超えた。コネクテッドデバイスは2025年までに252億台に達すると⾒込まれており、“コネクテッドTV”や“コネクテッドカー”など、モバイルは今後様々な状況においてユーザーが周囲の世界とやり取りする際の主要なインターフェースになることが予想されるとしている。

「◯◯Pay」も伸長

「◯◯Pay」も伸長

ファイナンスアプリについて、全世界における上位10位のフィンテックアプリ(⾦融機関以外の企業が管理しているアプリ)とバンキングアプリ(⺠間の⾦融機関や⾦融サービス会社が管理しているアプリ)をそれぞれ⽐較すると、平均⽉間アクティブユーザー数(MonthlyActive Users︓以下MAU)において、フィンテックアプリがバンキングアプリを⼤きく上回った。

⽇本では、フィンテックアプリのMAU成⻑率が世界で2番⽬に⾼く 、 2019 年も引き続きトレンドとなった「◯◯Pay」の利⽤者増加に伴う成⻑であることが分かったという。

ファイナンスアプリは、2019年に最もブレイクしたカテゴリーとしてダウンロード数の絶対数を前年から⼤きく伸ばした。ダウンロード数の前年⽐成⻑ランキングでは前年からの⾼いレベルを維持したアプリもある⼀⽅、多くは前年⽐で⽬覚ましい成⻑率を記録している。

またファイナンスアプリの特徴として、利⽤されているアプリが国によって異なる点が挙げられます。同じアジアや欧州でも上位アプリは異なり、各国が独⾃のファイナンスサービスを展開していることが分かります。⽇本でもPayPay、d払い、LINE Payなど、国内企業のアプリが台頭している。

競争が激化する動画市場

「Disney+」や「AppleTV+」の登場により、動画ストリーミング市場の競争が激化しています。従来サービスである「 Netflix 」、「Amazon Prime Video 」、「HBO NOW」に加え、2020年には「HBO Max」、NBCUniversalの「Peacock」がローンチ予定など、その競争はさらに勢いを増す⾒込みだとしている。

また、動画ストリーミング市場においては、⽶国における「Netflix」ユーザーの「Disney+」利⽤率が25%となるなど、ユーザーの重複利⽤率が⾼いことも、市場拡⼤を牽引している要因のひとつであると考えられるようだ。

2017年から利⽤時間が50%増加したエンターテインメントアプリを牽引したのが、動画ストリーミングアプリの成⻑だ。映画やテレビ番組、ライブイベントをオンデマンドで視聴する⽅法として、モバイル端末での動画ストリーミングアプリ利⽤が増加している。

⾼品質ストリーミング、ユーザー⽣成コンテンツの成⻑、そしてオフラインモードの標準化といった業界の進化により、重視されるポイントが画⾯サイズからモバイル視聴へとシフトした。2020年春から商⽤化が予定されている「5G」により、その移⾏はさらに促進されそうだ。

全体的には、⽶国の動画ストリーミング配信サービス「Netflix」が中国、ロシアを除く最多10カ国でランクインし、うち6カ国では1位を獲得するなど好調だ。⼀⽅で⽇本国内では、ECサービスの会費にサービス利⽤費が含まれている「AmazonPrime Video」や、⺠放の公式無料配信ポータル「TVer」などが「Netflix」を利⽤時間で上回る結果となった。

まとめ

レポートでは次のようなデータも示されている。2019年の全世界アプリダウンロード数は、過去最⾼となる2040億件に到達した。ダウンロード数増加を牽引する主⼒になったのは、インド、ブラジル、インドネシアを含む新興市場で、⽶国、⽇本、韓国のような成熟市場では、ほぼ横ばいだった。

また全世界のアプリストア消費⽀出は1200億ドルに到達して2016年の2.1倍に増加しており、1⽇のモバイル利⽤時間は、2018年から40分伸びて全世界平均で3時間40分にまで増加した。

世界において、モバイル中⼼企業は⾮モバイル企業に⽐べ、上場における平均評価額が825%増加しており、Z世代は、ランキング上位アプリにおけるユーザーあたりのセッション数が⾮若年層世代より60%多くなっていた。

EC市場でもモバイルでの利用は大きく進んでおり、今回のレポートにおけるアプリの利用動向からもその傾向が読み取れる。その意味でもビジネスやサービスのモバイル対応は喫緊の課題ともなるだろう。また個々の項目においても市場動向をモバイルアプリが映し鏡のように反映しているとも見ることができ、今後の展開にも大いに注目と言えそうだ。


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