ららぽーとで「来店前にどんな商品があるか」を把握できる実証実験を実施 RFID技術を活用してオムニチャネル化を推進へ

ECのミカタ編集部

三井不動産株式会社(所在:東京都中央区 代表取締役社長 菰田正信)は株式会社ビームス(所在:東京都渋谷区 代表取締役社長 設楽洋)、大日本印刷株式会社(所在:東京都新宿区 代表取締役社長 北島義斉)と共同で、RFID(Radio Frequency Identification)を活用した商品情報の読み取りについての実証実験を行うことを決定した。

商品情報の読み取りについての実証実験

三井不動産はビームス、大日本印刷(以下:DNP)と共同で、商業施設内における商品情報の自動データ化を目的として、2月13日(木)から4月24日(金)までの期間、RFID(Radio Frequency Identification)を活用した商品情報の読み取りについての実証実験を行うことを決定した。

RFIDとは、読み取りアンテナから発する電波により、非接触でRFIDタグに入力されている情報を読み書きする技術で、経済産業省によるコンビニエンスストアでの実証実験が行われるなど、様々な分野での活用が注目をされている。株式会社ビームスが運営する「B:MING LIFE STORE by BEAMS」でも、2017年3月に全店舗へのRFID導入を完了しているという。またDNPでも、「RFIDを活用したサプライチェーンにおける情報共有の実証実験」へ参画する等の取り組みを行っているそうだ。

来店客が事前にどんな商品があるか把握できる

来店客が事前にどんな商品があるか把握できる

同実験では、三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY、ららぽーと立川立飛に出店している「B:MING by BEAMS」店舗内に複数のRFID読み取りアンテナを配置し、商品に取り付けられたRFIDタグ情報の自動読み取りが行われる。この技術を用いて店舗内の商品在庫情報を自動的にデータ化することができるようになるとしている。

これまでの商業施設では、来店客が各ショップにどのような商品が置いてあるかを事前に把握することは出来なかった。また欲しい商品があったとしても、その商品がどのショップにあるのかを把握することも出来なかった。今回RFIDを活用することで、これらの問題は解決され、来店客は事前に買いたいものがショップにあるかを調べ、またその商品がどこのショップで取り扱っているかも把握することでより利便性の高いショッピングを体験できるという。

◆実験での検証内容

店頭商品の読取精度、読取範囲の検証
店舗内倉庫商品の読取精度の検証
店頭で読み取った商品情報の、来館者へのメール告知による効果測定

◆実証実験の実施概要

[三井ショッピングパーク ららぽーと立川立飛]
期間:2月13日~27日(予定)
店舗内(店頭)商品の読取実験
読取商品の来館者への告知

[三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY]
期間:4月3日~24日(予定)
店舗内(店頭)商品の読取実験
店舗内(倉庫)商品の読取実験

限られた空間内で正確な在庫情報を取得できるか検証

限られた空間内で正確な在庫情報を取得できるか検証

実験では、店頭と店舗内倉庫で複数パターンの読み取りアンテナの設置をし、それぞれ異なる検証を行う。店頭ではいかに効率的に大量の商品情報を読み取ることができるかを検証する。一方で店舗内倉庫では、倉庫内の商品だけをいかに正確に読み取ることができるかを検証し、それぞれの空間に対して最適なアンテナ配置方法を確立するという。

また読み取りアンテナからの電波は、広範囲の商品を瞬時に把握できる一方で、壁などの障害物も貫通してしまうため、限られた空間の読み取りについては不向きな側面も持っているそうだ。そのため、今回一部の店舗内倉庫や試着室については、壁面や天井内部にあらかじめ金属板を入れ込み、電波が限定された一定の区画を作り出すことによって、当該区画内の商品だけを正確に把握できるかの検証も行われる。

限られた空間内の正確な在庫情報を取得することができれば、店舗での適正な在庫管理にも活用することができるようになる。そのほかにも、読み取られた商品情報を実際に活用することでの、販促効果についても検証も行われる。

商業施設のオムニチャネル化を推進

同社ではRFIDの活用によって商業施設内の商品情報を自動データ化し、活用することによって、そのほかにも様々な付加価値を生み出すことができると期待しているとしている。来店客に対しては、各商業施設への来館者の好みに合わせた商品紹介や各店舗における商品の検索・閲覧ができるようになる。

一方で出店者に対しては、自動棚卸による省人化や万引き検知のような防犯への活用等、退店客だけでなく出店者に対してもこれまでになかった新しいサービスを提供できるようになるともしている。

また三井不動産株式会社では2017年よりららぽーと公式通販サイトとして「Mitsui Shopping Park &mall」のサービスを開始しており、出店者はRFIDで読み取った店舗内商品情報を連携することで、「&mall」を通じても商品を販売することができるようにもなるそうだ。

さらに三井不動産が開発・運営を手掛ける商業施設では、ICTの活用が積極的に進められている。例えば、ららぽーと豊洲など一部の施設では、今後の人材不足等を見据えて、清掃ロボットの活用による施設管理業務の省人化に取り組んでいるという。またららぽーとEXPOCITYでは、人間に酷似したアンドロイドや小型の人間型ロボットによる対話サービス実現を目指した実証実験に取り組んでいる。

三井不動産では、今後一層多様化する消費者の購買ニーズに対応していく新しい商業施設の実現に向けた、商業施設のオムニチャネル化を推進していく方針であり、同社が開発・運営を手掛ける商業施設では今後も様々なICT技術を活用し、商業施設のオムニチャネル化を推進することで、顧客により便利で快適な購買体験を提供していきたいとしている。

オンラインとオフラインをまたいだオムニチャネル施策は、顧客と企業・ブランドとの間のロイヤリティを深め、かつ顧客にはより豊かな買い物体験と利便性を提供できる点で注目を集めている。

今回、三井不動産が展開する大型ショッピングモール、ららぽーとで店舗の商品情報読み取りに関する実証実験が行われることによって、多種多様なショップが入る環境において、顧客が事前にどんな商品があるかを知ることができるようになり、よりECとオムニチャネルの可能性を広げることにもなりそうだ。


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