フルカイテンが提唱する、小売業界の在庫問題を解決するための新手法

ECのミカタ編集部

フルカイテンは、小売業界の在庫問題解決のための新たな手法を体系的にまとめ、小売業界が直面する諸問題の抜本的な解決手法として提唱した。在庫がこれまで以上に売れ残り、それを売るための価格競争も激しくなって淘汰が進むであろう今後の小売業界を見据えている。

■新型コロナウイルスが取り巻く小売業界の現状

■新型コロナウイルスが取り巻く小売業界の現状

小売業界では、新型コロナの影響で個人消費・需要が激減しているほか、海外からの新商品の入荷遅れなども発生している。

「膨大な量の商品が売れ残っている」「店頭が厳しく、夏物以降の商品を入れられない」「秋以降の見通しを立てられない」「ECは過当競争になる」…。アパレル業界をはじめとして多くの小売事業者は大量の売れ残り商品を在庫として抱えている半面、売上を作るための新商品の在庫を増やしにくい状況にある。

■小売業界が懸念する「2030年問題」

■小売業界が懸念する「2030年問題」

「2030年問題」とは、2030年に日本に生じうる社会的問題を総称した言葉だ。10年後には人口減少が進んで人口の3分の1が65歳以上の高齢者になり、社会保障の持続可能性や経済成長の鈍化といった「2030年問題」が待ち受けている。

小売業界へのインパクトは大きく、個人消費が激減するうえに人件費や物流費が高騰し、従来の大量生産・価格競争・大量消費というビジネスモデルが通用しなくなるだろう。このため、小売事業者は次の10年を勝ち抜くためにはビジネスモデルの変革が急務といえる。

ところが、折からの新型コロナの影響で、小売業界にとっては2030年問題が「10年先の事」から「いま目の前にある危機」として喫緊の経営課題になっているのだ。

■新手法「IEM」(= Inventory Execution Management)とは

新手法「IEM」は、上記のような小売業界が抱える課題を解決できる、売上増加に向けた最新のアプローチである。従来の考え方では、在庫を増やさないと売上は増えず、在庫を減らすと売上も減ってしまう。売上減を避けたいがために在庫過多が常態化し、新商品やヒット商品に売上の多くを頼っていた。このため、多くの小売企業が売上増加と在庫削減の両立は困難であるという在庫問題に悩まされてきた。

これに対しIEMでは、「今ある在庫」を使って売上を増やし、その結果、在庫を削減することができる。

具体的には、「今ある在庫」の中から、

 ・まだまだ売れる隠れた人気商品を見つける
 ・客単価向上に貢献する実力商品を見つける
 ・フォロー発注すべき商品を見分ける


の3つを実行することで、従来は難しかった「売上増加」と「在庫削減」の両立を実現する。

■IEMを実践するツールがFULL KAITEN

■IEMを実践するツールがFULL KAITEN

フルカイテン株式会社はIEMを日々の業務で実践するためのツールとして『FULL KAITEN』(フルカイテン)というシステムを開発し、SaaS(クラウドサービス)として小売企業などに提供している。

具体的には以下の3機能である。

・消化率向上機能 売れ筋・死に筋の二者択一ではなく、「今ある在庫」の中から販促次第でまだまだ売れる「過剰在庫」の商品を絞り込み、見える化する

・単価向上機能 「注文件数(売上件数)は増えたのに売上額は下がった」というような事態を防ぐため、「今ある在庫」の中から平均客単価の押し上げに貢献する商品を見える化する

・回転率向上機能 追加発注しても売れ残るリスクが小さい商品を「今ある在庫」の中から探し出し、逆に「売れ筋に見えるが補充発注してはいけない商品」もあぶり出す

3回の倒産危機を経験した同社は、在庫管理の問題を解決するため、「変動発注点・売上貢献スコア・価値変動評価」という新しい考え方を考案した。FULL KAITENはこれらとAIをコアテクノロジーとして動いており、これらにデータを連携をすることで、メイン機能が在庫問題を解決する。

まだ先のことのように思われていた「2030年問題」が、新型コロナウィルスの影響で顕在化した。コロナ禍によるECへの消費者の移行は、感染拡大の収束後にも続くと考えられている。アフターコロナならぬウィズコロナの時代が長期化しそうな現在、在庫問題をどう解決するかというのは、今すぐ取り組むべき重要な課題となるのではないだろうか。


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