在庫回転率とは?計算方法や目安、高めるためのポイントを解説

ECのミカタ マーケティング部

在庫回転率とは?計算方法や目安、高めるためのポイントを解説

ECサイトを運営するうえで、在庫がどのように動いているかやその動きは適切かどうかについて把握することが重要です。しかしどのように在庫の動きを把握するべきか、苦戦する方も多いでしょう。

円滑なECサイト運営にあたり、在庫状況を知る指標として在庫回転率を活用することが効果的です。

今回は、在庫回転率の計算方法や業種別の目安、在庫回転率を高める方法について解説します。またそのほかの在庫管理における指標についても紹介するので、参考にしてくださいね。

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在庫回転率とは?

在庫回転率とは、ある一定期間における在庫が入れ替わった回数を示す指標です。

在庫回転率は「商品が売れるペース」を知る指標であり、売れ筋商品や経営を圧迫する可能性がある商品を可視化できます。

原則、数値が高いほど売れて在庫がはけるスピードが速いと判断できるため、ECサイト運営では在庫回転率を上げる工夫が必要です。

ただし商品の特性や季節、業種によって在庫回転率が異なるため、数字が低いからといって売れない商品だと断定できない点に注意しましょう。

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在庫回転率の計算方法

在庫回転率の計算は、商品の在庫の数をもとに計算する方法と在庫の金額をもとに計算する方法に分けられます。ここからは、それぞれの計算方法について詳しく解説します。

在庫回転率の計算式

在庫数で在庫回転率を求めるには、期間中の総出庫数と期間中の平均在庫数を用います。

まずは求めたい期間での平均在庫数を求め、そこから在庫回転率を求めましょう。

  • 期間中の平均在庫数=(期首在庫数+期末在庫数)÷2
  • 在庫回転率=期間中の総出庫数÷期間中の平均在庫数

たとえば半年間に出庫した個数が300個で、期首在庫数が40個、期末在庫が10個なら、次のように計算できます。

  • 1年間の平均在庫数=(40+10)÷2=25
  • 在庫回転率=300÷25=12

つまり、半年間に12回在庫が入れ替わったといえます。

在庫数による計算は在庫数のデータがあれば可能ですから、週・月単位などでリサーチが必要な期間を設定して、各期間における在庫回転率を求められることがメリットです。

また在庫金額による計算では、計算したい期間の売上原価とその期間の平均在庫金額を算出し、その値を用いて在庫回転率を求めます。

  • 売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高
  • 平均在庫金額=(期首在庫高+期末在庫高)÷2
  • 在庫回転率=期間売上原価÷期間平均在庫金額

たとえば、年間の売上原価が210万円、前年度の期末商品棚卸高(期首商品棚卸高)が60万円、今年度の期末商品棚卸高が80万円だったと仮定します。

  • 平均在庫金額=(60万円+80万円)÷2=70万円
  • 在庫回転率=210万円÷70万円=3

つまり、1年間での在庫回転率は3回と計算できます。

在庫金額をもとにした計算方法は、経営判断の際に役立ちます。

しかし在庫金額による計算では、棚卸高が商品の原価以外にも影響を受けるため、正確な数値を求めるのが難しい点がデメリットです。

ECサイト運営における在庫管理では、在庫数による計算が効率的でしょう。

在庫回転率の計算ツール

在庫回転率を求めるツールは、Web上に無料でできるサイトのものがありますが、エクセルを用いる方法がもっとも一般的で、誰でもできるのでおすすめです。

エクセルを用いれば、ほかの期間の値との比較も容易なのもメリットです。

【業種別】在庫回転率の目安

前述のとおり、業種によって在庫回転率の目安は異なります。扱う商品や業種における目安を知ることが、適正な在庫管理に必要です。

ここからは、それぞれの業種に分けて在庫回転率の目安を紹介します。

在庫回転率の業界平均

業種別にみた在庫回転率の平均は、次のとおりです。

業種 在庫回転率の平均
製造業 11.1回
小売業 11.4回
卸売業 19.9回

また小売業の種類別にみた商品回転率は、以下のとおりです。

小売業の種類 在庫回転率の平均
飲食料品小売 (日常の生鮮食品を小売) 17.1回
各種商品小売 13.3回
家庭器具小売 (家具・食器・家庭用機械器具などを小売) 6.8回
織物衣服小売 (衣服・身の回り品などを小売) 5.1回

以上のように販売する商品の種類によって、在庫回転率が異なる点を押さえておきましょう。

(出典:4.中小企業の商品(製品)回転率|経済産業省)

在庫回転率の適正値はどう見極める?

在庫管理の適正値とは、抱えている在庫数が過剰な状態や、必要な在庫数が足りない状態ではなく、理想の水準を保っている状態をさします。

同じ業種での在庫回転率は、あくまでも「この数値から大きく外れなければよい」という目安にすぎません。

在庫回転率の適正値を算出するためには、同様の商品を扱う他社の在庫回転率を求める方法が効果的です。

他社の在庫回転率を求めるには、他社のサイトなどで公開されている決算書で売上高と棚卸高を確認しましょう。

在庫回転率=売上高÷棚卸高

「在庫回転率の計算方法」の項目で解説した方法で求めた数値のほうが正確ですが、他社から得られるデータは限られているため、この式で計算しましょう。

他社の在庫回転率がわかれば、目標の在庫回転率を設定しやすくなります。

在庫回転率を高めるためのポイント

在庫回転率を高めるためには、現状把握と適切な在庫管理、顧客満足度の向上が必要です。

ここからは、高い在庫回転率を確保するために押さえておきたいポイントについて詳しく解説します。

目標の在庫回転率を設定する

まずは目標の在庫回転率を設定し、現状との差を可視化しましょう。上記で紹介した経済産業省や他社のデータを参考にして設定します。

具体的な目標がわかれば理想の在庫高が決まり、課題点が見つけやすく在庫回転率を高められます。

また在庫回転率を定期的に算出することで、回転率の低い商品を早期発見して入荷量を調節できたり、特定の時期に売れやすい商品の傾向をつかめたりするメリットがあります。

時間を確保して、週・月ごとの在庫回転率を算出し、在庫の流れを把握しましょう。

在庫状況を見直す

在庫状況を見直して、在庫回転率の低い商品を整理しましょう。

商品の保管場所がわかりにくく在庫管理が不十分な場合は、在庫をこまめに確認できるようにわかりやすい場所に変更したり、在庫管理マニュアルを作成したりと工夫してください。

不要在庫は在庫維持コストが発生し、経営に負担をかけるおそれがあります。値下げ販売やキャンペーンをおこなっても売上が立たない場合は、処分を検討しましょう。

また在庫回転率の低い商品は、販売価格が高い可能性があります。価格を見直すことが在庫回転率を向上させるきっかけになるでしょう。

在庫回転数に合わせて仕入数を調整することも効果的です。

注文完了から商品が顧客に届くまでの期間を短縮する

在庫回転率を高めるためには、注文完了から商品が顧客に届くまでの期間を短縮しましょう。この期間をリードタイムと呼びます。

リードタイムが短ければ、顧客満足度や信頼度が高まり、次の商品の購入につながります。リピート率が高まれれば、自然に在庫回転率が上がるでしょう。

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その他の在庫管理指標

在庫回転率以外にも、在庫管理に用いられる指標があります。ここからは、それぞれの指標の意味や数値の目安、計算方法などを紹介します。

また、数値を把握する意義についても詳しく解説します。

在庫回転日数/月数(在庫回転期間)

在庫回転期間とは、商品の入荷から出荷までの期間を表します。また棚卸高と売上高から算出することから、棚卸資産回転期間とも呼ばれます。

在庫回転期間の計算式は以下のとおりです。

【在庫回転日数の場合】

  • 1日当たりの売上高(もしくは売上原価)=売上高(もしくは売上原価)÷365日
  • 在庫回転期間=棚卸高÷1日当たりの売上高(もしくは売上原価)

【在庫回転月数の場合】

  • 1カ月当たりの売上高(もしくは売上原価)=売上高(もしくは売上原価)÷12カ月
  • 在庫回転期間=棚卸高÷1カ月当たりの売上高(もしくは売上原価)

在庫回転期間が短ければ、商品を入荷してから出荷までのスピードが速いといえます。

在庫回転期間は、「今何か月分の在庫を抱えているか」を知る指標といえるでしょう。数値を算出することで、売れ筋商品の把握にもつながりますよ。

在庫日数/月数

在庫日数(月数)は、在庫の数量が何日分(何カ月分)の売上に相当するかを示す指標をさします。在庫日数(月数)が長いほど、商品を在庫として抱える期間が長いと判断できます。

在庫日数(月数)を算出する計算式は、以下のとおりです。

  • 在庫日数=在庫高÷1日の平均売上高
  • 在庫月数=月平均在庫高÷1カ月の平均売上高

在庫日数(月数)を最適化することで、キャッシュフローを健全化できます。在庫日数(月数)は適正な在庫量の判断基準となるため、適宜算出し把握しておきましょう。

交差比率(交叉比率)

交差比率とは、在庫がどれだけの利益を上げているか投資効率をみる指標をさします。交差比率は主に小売業で、適正在庫を把握して販売効率を上げるための指標として活用されます。

交差比率は、粗利益率と在庫回転率から以下の計算式で算出できます。

  • 粗利益率=粗利益÷売上高
  • 交差比率=在庫回転率×粗利益率

交差比率が高いほど、利益を出すために効率がよいとされています。機会損失を防ぐためにも、交差比率が高い商品は在庫管理に重点を置くべきといえるでしょう。

ECの在庫回転率の向上を図るなら、プロへのアウトソーシングがおすすめ

在庫回転率は商品が売れるペースを表す指標であり、売れ筋商品の把握や在庫管理において重要です。

また在庫回転率を高めることで、健全なキャッシュフローを実現するとともに在庫維持コストを押さえることが可能です。

在庫回転率以外の指標も考慮し、適正な在庫管理をおこなうことで、円滑なECサイト運営が実現するでしょう。

しかし日々の業務の中で、在庫回転率を逐一把握し対応することは大変です。また在庫管理指標を考慮に入れた運営は難しいと感じる方も多いでしょう。

在庫管理やECサイト運営については、プロにアウトソーシングすることをおすすめします。

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