【3月12日発表】楽天と日本郵便が資本業務提携 4月に詳細施策発表へ
日本郵便株式会社と楽天株式会社は12日、両社の連携を強めることを目的として資本・業務提携すると発表した。現時点でEC分野では「物販分野での協業」とのみ明らかにしており、具体的な内容は4月1日に発表するとしている。
昨年12月には「新たな物流プラットフォームの構築」を発表
2020年、巣篭もり需要によるEコマースの需要増加と共に荷物の出し手と受取り手の要望は一層多様化し、安定した物流サービスの持続可能な提供が課題となっている。
これを受け、日本郵便が培ってきた全国の物流網や膨大な荷量とデータ、楽天が有する「楽天市場」での需要予測や物流領域における受注データの運用ノウハウなど、両社のデータを共有化するとともに資産と知見を最大限に活用する。企業や消費者、物流従事者など全てのステークホルダーにとって満足度の高い新たな物流プラットホームを構築する。
■提携に基づく両社の検討項目
・両社の既存資産および知見の活用最大化
・データの共有化と物流DXプラットフォームの構築
(効率的な配送システムの構築/利便性の高い受取りサービスの提供)
・共同物流拠点や配送網の構築
・新会社設立を含む物流DXプラットフォームの共同事業化
増田社長「デジタルとリアルのシナジー効果を」
今回は日本郵政が、楽天の第三者割当増資による募集株式の引受けた。日本郵政の投資額は約1499億円で、出資比率は8%を超える。楽天にとっては「これほどの出資を受けるのは初めて」(三木谷浩史社長)だ。
これまでも様々な協業を行ってきた両社が資本業務提携に進んだことで、さまざまな事業での連携が加速することになりそうだ。
昨年12月には、物流領域における連携により新たな物流DXプラットフォームの構築を図っていくとともに他のEコマース事業者や物流事業者にも同プラットフォームへの参加を促進することで、国内の物流環境の健全化および持続可能な社会実現に貢献することを目指している、と発表した。
今後は合弁会社も視野に入れつつ、物流を軸に全国の郵便局と楽天モバイルのシナジーを高める取り組みなども考えている2社。楽天の三木谷氏によると密なデータ連携を行っていくことで物流の品質・速さ・価格の面でEC事業者に貢献できるとしている。
かねて行っている楽天のワンデリバリー構想の一環ともしており、今後も楽天スーパーロジスティクスを始めとした物流事業の投資は続くものとみられる。
とはいえ、具体的な施策や配送価格などは4月以降に発表するとしており、EC事業者にとってどのような変化があるかはそれを待つしかなさそうだ。
日本郵政は全国に2万4,000の郵便局があり、強固なリアルネットワークを持っている。日本郵政の増田寬也社長は「デジタルとリアルを掛け合わせシナジー効果を発揮したい」と述べた。