日本と世界での2020~2021年末年始のアプリ利用状況を比較

ECのミカタ編集部

adjust株式会社は、2020年のクリスマスから年末・年始にかけてのグローバルと日本におけるアプリの使用状況を調査した結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

進むスマホ利用

グローバルに展開するB2B SaaS企業であるadjust(アジャスト)株式会社(本社:独・ベルリン、代表取締役社長 兼 共同創業者:クリスチャン・ヘンシェル、日本ゼネラルマネージャー:佐々直紀)は、2020年のクリスマスから年末・年始にかけてのグローバルと日本におけるアプリの使用状況を調査した結果を公表した。

新型コロナウイルスの感染者数の増加が止まらず、世界各地でロックダウン措置が導入される中、2020年の年末シーズンはこれまでに経験したことのないものとなった。Adjustの最新データでは、この年末、消費者が人々とつながりやエンタメコンテンツを楽しむために、スマートフォンに大きく依存していたことが分かったという。

ソーシャルコミュニケーションアプリ

ソーシャルコミュニケーションアプリ

Adjustの調査データを見ると、多くの大規模集会が禁止された2020年、人々はソーシャルコミュニケーションアプリで友人や家族と連絡を取り合っていたことを示していた。

グローバルではクリスマス当日に、ソーシャルコミュニケーションアプリのインストール数が12月平均を25%上回った。日本では、年末シーズンに人々が普段よりも多くテキストメッセージや通話をしており、大晦日にソーシャルコミュニケーションアプリのインストール数が19%増、セッション数が12%増となった。

さらに、グローバルにおいて規制が敷かれる状況下でも多くのユーザーが年末を楽しもうとしていたことが分かった。クリスマスイブとクリスマス当日の傾向を見ると、たくさんの人が料理を作り、クリスマスソングを流してお祝いしていたようだ。

フード・ドリンク・音楽アプリ

フード&ドリンクレシピアプリの12月24日と25日のグローバルにおけるインストール数は12月平均を61%上回り、セッション数は23%増加した。大晦日には、インストール数は43%増、セッション数は17%増となった。一方、日本においてはクリスマスにそれほど大きな増加を見せなかったが、大晦日のセッション数は24%増となった。

フードデリバリーアプリはグローバルにおいて12月25日に落ち込みを見せ、インストール数は平均の30%減、セッション数は27%減となった。しかし元日には立ち直り、インストール数は41%増、セッション数は32%増となった。一方日本においては12月中大きな変化は見られなかった。

音楽アプリの利用はグローバルにおいて年末シーズンに増加した。12月25日は音楽アプリのインストール数がグローバルにおいて平均を75%上回り、12月31日にも6%増となった。また、日本においては大晦日にインストール数が23%増加した。

ヘルスケアアプリ

ヘルスケアアプリ

さらにAdjustの調査によると、新型コロナウイルスの世界的大流行が、新年の抱負を掲げることに影響を与えなかったようだ。グローバルにおいてヘルス&フィットネスアプリの利用はクリスマス期間中に大幅に減ったものの、ユーザーは1月の第1週目に本格的に動き始め、インストール数は12月平均の89%増、セッション数は24%増となった。

カロリー計算アプリでも同様の傾向が見られた。クリスマス当日には利用が減ったものの、1月の第1週目にはインストール数が91%増、セッション数が34%増となった。日本でも2021年、身体を鍛えることを目指すユーザーが多く見られ、ヘルス&フィットネスアプリのインストール数は12月平均の35%増、セッション数は8%増となった。また、カロリー計算アプリの利用も増加しており、インストール数が53%、セッション数が10%上回った。

語学学習・プロダクティビティアプリ

自己啓発の点においては、語学学習アプリのインストール数が1月の第1週目にグローバルで35%増と、多くのユーザーが新年に語学の習得を始めようとしていることが分かった。日本においても大幅な増加を見せ、語学学習アプリのインストール数は、1月の第1週目に35%増となった。

メール受信箱管理ツール、To Doリスト、カレンダーなどのプロダクティビティアプリの利用も増加を見せ、1月初旬にグローバルにおいてインストール数が51%、セッション数が12%増加した。また、日本のユーザーにおいては、プロダクティビティアプリのインストール数は、1月の第1週目に17%増となり、セッション数は5%増となった。

2021年はアプリが生活必需品としてより定着か

今回の調査に際し、同社の各キーパーソンは次のように述べている。

Adjust 共同創業者兼CTO ポール・H・ミュラー氏

「2020年、ウイルスの世界的大流行とそれによる規制は、消費者のライフスタイルとアプリとの関わり方に多くの変化をもたらしました。年末シーズンも例外ではありません。Adjustのデータは、人々がアプリを使っていかに普段とは違うクリスマスや新年のお祝いムードを補っていたか、さらに、ロックダウン下の生活が続く2021年にどのような習慣が生まれているかを明らかにしています」

Adjust 日本ゼネラルマネージャー 佐々直紀氏

「年末年始期間中には上がり下がりが予測されるものの、ブランドにとってはこのシーズンに獲得したユーザーを保持することが重要です。マーケターはそこからロイヤリティの高いユーザーベースを構築し、収益を増やし、アプリの投資利益率を向上させることができます。2021年はアプリが生活必需品としてより定着することが予想されますが、一方でパブリッシャー間の競争も激しくなるため、クオリティの高いユーザー獲得やエンゲージメント施策を打ち出せるかどうかが成否を分ける鍵となるでしょう」

そもそもクリスマスに対する日本とキリスト教圏のとらえ方は、文化的にかなり異なる。「待降節」によって、クリスマス(キリスト降誕の日)の4つ前の日曜日からの準備に入り、クリスマスを経て、年が明けた1月6日のホーリー・スリー・キングス・デー(幼いイエスのもとに贈り物を持った東方の三博士が訪れたことを祝う日)までが一連の期間となる。1年でも特に祝賀ムードが高まる時期だ。

一方で日本は、ハロウィン後から徐々にクリスマスへ向けた街の雰囲気が高まり、12月25日を過ぎればツリーもしまい、全体を通しての祝賀ムードは正月ほどではない。こうしたことも商戦やアプリの利用に少なからず影響を与えているだろう。

いずれにしろ、新型コロナウイルスによる感染拡大の影響により、巣ごもり生活が定着し、かつデバイスと通信技術の進化によって、スマートフォンの利用が拡大する中で、ユーザーの利用動向をつぶさに把握することがビジネスの成否にもつながることになりそうだ。

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