2020年EC販売は昨対比22%増 新型コロナ禍での各国動向をJETRO分析
JETRO(日本貿易振興機構、ジェトロ)は、国連貿易開発会議(UNCTAD)のレポートを引用し、新型コロナ禍で主要国のEC販売が増加したことを公表した。
小売りに占めるEC取引割合が19%に
JETROは、国連貿易開発会議(UNCTAD)の5月3日のレポートを引用し、主要7カ国(オーストラリア、カナダ、中国、韓国、シンガポール、英国、米国)の小売りに占めるオンライン販売の割合が2019年の16%から2020年に19%に拡大したことを公表した。
2020年の小売り全体は前年比1%減だったが、オンライン販売は同22%増となった。
オンライン販売増加の背景には、新型コロナウイルス感染拡大を受けて多くの国で導入された隔離措置により、オンラインでの商品注文需要が増加したことがあるとしている。
B2C ECは業態によって明暗
主要7カ国のうち、小売りに占めるオンライン販売のシェアが最も高かったのは韓国で、2019年の20.8%から2020年は25.9%に拡大した。
他の6カ国の2020年のオンライン販売シェアは中国24.9%、英国23.3%、米国14.0%、シンガポール11.7%、オーストラリア9.4%、カナダ6.2%だった。
また、UNCTADがオンライン販売主要企業の財務諸表を分析した結果(推計値を含む)によると、2020年の企業対消費者取引(B2C)の流通取引総額(GMV)上位13社のうち、配車や旅行関連のサービス提供企業ではGMVが急減した一方、アリババやアマゾン、京東(JD.com)をはじめとしたEC企業のGMVは増加したという。
日本のB2B EC販売額の比率は95%
UNCTADはまた、2019年の世界のEC販売額(推計値)は前年比4%増の26兆7,000億ドルで、このうち企業間取引(BtoB)は21兆8,000億ドル、BtoCは4兆9,000億ドルだったと明らかにしている。この金額は、世界のGDPの30%に相当するという。
国別にみると、販売額が最大だったのは米国(9兆6,000億ドル)、これに日本(3兆4,000億ドル)が続いた。
米国と日本は、EC販売額に占めるBtoBの比率がそれぞれ87%、95%と、大部分を占めた。中国のEC販売額は2兆6,000億ドルで3位だったが、他国に比べてBtoCの比率が高く、BtoC販売額は1兆5,000億ドルと世界最大だった。
また、2019年のB2C販売額に占める越境ECの販売額は9%(4,400億ドル)となった。販売額上位国・地域は中国(1,050億ドル)、米国(900億ドル)、英国(380億ドル)、香港(350億ドル)、日本(230億ドル)だった。
引き続き新型コロナウイルスによる感染拡大の影響が世界的に残る中、これからもEC市場の成長は続くことが見込まれる。今回の調査でも主要7ヶ国でECの販売額などが軒並み増加していた。
一方で、BtoCやBtoBといった切り分けでも、国ごとに市場動向はかなり異なる様相となっており、越境ECを考える上においても参考となりそうだ。
また日本におけるEC化が、未だ発展途上にある中、中小事業者をはじめとして、日本においても多くのビジネスチャンスが眠っているとも言えるだろう。