ライブコマースとは?概要や注目される理由、取り入れるメリットと注意点

ECのミカタ編集部

「ライブコマース」とは、ECサイトとライブ配信を組み合わせた新しい販売手法だ。EC市場の拡大に合わせて登場し、注目度が高まる販売形態のため、内容を詳しく把握したいと考える担当者もいるのではないだろうか。

今回は、ライブコマースの概要や注目される理由、ライブコマースを取り入れるメリットや適した商品についても紹介する。ライブコマースを始める上での注意点にも触れるため、販売手法として取り入れる際の参考にしてもらいたい。

目次

●ライブコマースとは
●ライブコマースが注目される理由
●ライブコマースを取り入れるメリット
●ライブコマースに適した商品
●ライブコマースを始める上での注意点
●まとめ

ライブコマースとは

中国のEC市場を中心に急拡大を遂げている「ライブコマース」だが、具体的にどのような販売方法を指すのだろうか。まずは、ライブコマースの概要や対面販売・ECサイトとの違いについて確認しよう。

ライブコマースの概要


「ライブコマース」とは、販売したい商品のライブ動画を配信し、商品の内容を詳しく説明しながら購入を促す販売形態だ。視聴者は配信者にチャットを通して質問したり、配信画面から直接購入したりできる。顧客とのコミュニケーションの活発化や、商品のより細かな詳細の伝達につながり、購入率は通常のECサイトに比べ高い傾向にある。

対面販売との違い


商品の販売方法として、ライブコマースの他に「対面販売」がある。ライブコマースは、視聴者がライブ配信の時間に合わせて商品の購入を行うのに対し、対面販売は店舗の営業時間に来店し、じっくり購入検討が行える。一方で、店舗によっては遠方になり、購入までに時間がかかるといった特徴のある対面販売に比べると、ライブコマースは、好きな場所から商品の詳細を確認でき、即座に購入が可能だ。

ECサイトとの違い


ライブコマースと同じように、インターネットを活用して販売する「ECサイト」もある。ライブコマースは、限られた時間内で数品の商品の詳細を紹介するのに対し、ECサイトはありとあらゆる商品を掲載し、365日いつでも購入が可能となる。一方で、商品によってはイメージを把握しにくいといった特徴のあるECサイトと比べると、ライブコマースは、配信者に詳しい商品の内容を確認できるため商品のイメージがつかみやすく、不安を解消してから商品を購入できる。


ライブコマースが注目される理由

なぜ今、ライブコマースという販売手法が注目されているのか。注目されている理由について詳しく見ていこう。

オンラインでの売上が上昇


新型コロナウイルス感染症による影響により、インターネット上で買い物をする消費者が増加し、ECサイトでの売上が上昇している。一方で、「商品を実際に手に取れない」といった不安感から、ECサイトでの購入に抵抗を感じている消費者も一定数存在する。そこで、ライブコマースを通して、配信者が手に取った感想を述べたり、使用している姿を動画で確認したりすることで、商品画像やテキストよりも商品のイメージが湧きやすくなり、購買意欲を高めるといった効果が期待できる。

また、外出を避け人との直接的な接触をできるだけ避けたいが、買い物をする場合にはスタッフとコミュニケーションを取り、アドバイスを受けたいと考える消費者もいる。このような要望にも答える販売方法として、ライブコマースに注目が集まっている。

動画配信の視聴者の増加


販売という形式にとらわれず、動画配信の視聴者が増加していることもライブコマースの注目度を高める要因だ。ライブコマースによるリアルタイムな配信自体を、配信者や他の視聴者と同じ時間を共有できる「コンテンツ」として楽しむユーザーも少なくない。

プラットフォームの多様化


ライブコマースを配信できるプラットフォームの多様化によって、ECサイトとSNSの結びつきが高くなっていることも、ライブコマースが活性化している要因だ。InstagramやYouTubeなどの無料でライブ配信が行える媒体や、配信中に商品の決済まで行えるライブコマース専用ツールなど、ライブコマースがしやすい環境が整ってきたことで消費者がより気軽に視聴や購入を行いやすくなっている。


ライブコマースを取り入れるメリット

ECサイトにライブコマースを取り入れるにあたり、どのようなメリットがあるのか確認しておこう。

臨場感のある購買体験が提供できる


リアルタイムの配信であるライブコマースは、配信者と視聴者がコミュニケーションを取りながら商品を購入するという購入体験を提供できる。そのため、消費者は実店舗において実際に店員と会話しながら商品を購入しているような感覚や臨場感を味わえ、満足度向上が期待できる。

商品の魅力を的確に伝えられる


従来のECサイトでは、購入を検討している商品があっても、使用方法や別の角度からの写真など、購入前に確認しておきたいことを全て確認するのは難しい。一方、ライブコマースであれば、チャットで質問するとリアルタイムに配信者が答えることができるため、より商品の魅力を的確に伝えられるといったメリットがある。商品によっては、開発者や生産者など作り手が登場する配信の方が、商品にかける思いや魅力が伝わりやすく、購入意欲につながるケースもある。

新しい客層を獲得できる


ライブコマースでは、多くのファンやフォロワーを持つタレントやインフルエンサーにライブ配信を行ってもらう手法を取り入れられる。これにより、通常では接点のないような顧客へのアピールにつながり、新しい客層の獲得が期待できるのもメリットだ。ライブコマースを通じて、商品やブランドを知ってもらうきっかけが得られる可能性も高い。

商品開発やキャンペーンのヒントが得られる


チャットを通じて視聴者とコミュニケーションを行うことは、販売以外にも顧客のニーズを知る機会となり、商品開発やキャンペーンのヒントが得られる。例えば、色やサイズについての質問が多い場合には、色とサイズ展開をもっと幅広く対応することで、より売上が上がる場合も考えられるだろう。ECサイトで購入した商品にレビューを書くよりも、ライブコマースでコメントを残す方が気軽にできるため、多くの視聴者の声をデータとして集め、よりよい商品やサービスを生み出す手段としても活用できる。


ライブコマースに適した商品

ライブコマースを活用する場合には、生配信の特性をより活かせる商品を選定することが重要だ。例えば、「グルメ」「衣料品」「化粧品」「日用品」「アウトドア用品」などは動画配信でも見栄えが良く、ライブコマースにおいて定番の商品と言える。

また、ライブコマース市場の利用は、若年層に多いことから、高年齢層を対象とした「健康サプリ」や「健康グッズ」などの商品は、ライブコマースには不向きな可能性が高い。


ライブコマースを始める上での注意点

ライブコマースは、SNSや専門のアプリを活用すれば、簡単に始めることができる。しかし、ただ商品を紹介するような配信をしても、ライブ視聴はおろか、商品購入までつなげることは難しい。ライブコマースを始める上での注意点を詳しく見ていこう。

配信トラブル


ライブコマースは生配信が基本となるため、配信トラブルには十分注意したい。通信回線が不安定で途中で配信が途絶えたり、カメラやマイクなどの機材トラブルで、配信が中断したりすることがないよう、事前の配信テストは必須と言える。配信者がライブコマースに不慣れな場合には、台本を用意してリハーサルをしておくなどの対策を講じることで、スムーズな配信につながるだろう。

事前告知による集客


ライブコマースは配信中に視聴してもらうことが大前提となるため、事前告知による集客が最も重要となる。プレスリリースの配信やメルマガ会員へのメール通知、SNSのフォロワーに対する告知などを活用して、集客を試みたい。配信時間や内容を告知する際に、限定セールの予告を行うなど、ライブコマースを視聴するメリットをはっきり伝えることで、視聴者の増加を狙いやすくなる。

配信者の選定


配信者の言動によっては、ブランドや企業に対するイメージダウンにつながり信用をなくすケースも考えられるため、配信者の選定にこだわることも重要だ。起用するタレントやインフルエンサーに、商品の仕様や魅力を事前に理解してもらう、配信中にトラブルが起きたときに臨機応変に対応してもらうといったことを、事前のリハーサルで確認しておくとよいだろう。

配信のクオリティと時間設定


ライブコマースでは、商品の購入だけでなく、配信自体を楽しみたいと考えている視聴者も多い。そのため、視聴者が楽しめるようなコンテンツの用意や商品に応じた的確な配信時間の設定が大切だ。商品の宣伝だけではなく、月1回のイベント開催や配信者同時のコラボ企画といったエンタメ要素を取り入れるなどの工夫をすることで、リピーターの獲得につながるだろう。


まとめ

ECサイトの新たな販売方法として注目を集めている「ライブコマース」。従来のECサイトでは難しかった消費者とのコミュニケーションや、写真やテキストだけでは発信しづらい商品の魅力を伝えやすいといったメリットがある一方で、配信方法の注意点を理解しておくことが重要だ。自社の商品がライブコマースに適しているか見極めたうえで、視聴者を惹きつけるようなライブコマースを展開し、サイト運営に役立ててもらいたい。


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