クックパッドが今後課題解決を目指す市場領域を発表、食のCtoC市場の開拓・持続可能な食品の普及など

ECのミカタ編集部

クックパッド株式会社は、日本最大のレシピサービス「クックパッド」および生鮮食品EC「クックパッドマート」を中心としたサービスにおいて、今後課題解決を目指す、あるいはすでに仮説検証やプロトタイピングに着手している市場領域「Cookpad Disrupt Target」を公開。同時にJapan CEO直下のプロジェクトリーダーを募集する「Disruptor採用」を開始すると発表した。

いまだ残る料理にまつわる課題

クックパッドは「毎日の料理を楽しみにする」というミッションを達成するべく、国内で月間約5,600万人が利用する日本最大の料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」や、生鮮食品EC「クックパッドマート」などを通じ、料理にまつわる課題の解決に取り組んできた。

その一方で、解決すべき課題はまだたくさん残されている。人口増加時代に食料を安定供給するために作り上げられた現在の仕組みには、食卓の多様性の損失、食品ロスの増加、環境負荷などさまざまな課題がある。また、少子高齢化に伴う世帯構造の変化、急速なデジタル化など、目まぐるしく変化する社会環境に対応するべく構造変化が求められている。

こうした状況を踏まえ、同社では課題解決を目指していく市場領域「Cookpad Disrupt Target」を定め、Japan CEO直下のプロジェクトリーダーを募集する「Disruptor採用」を開始することになったという。

6つの「Cookpad Disrupt Target」

「Cookpad Disrupt Target」として、同社が課題解決を目指していく市場領域として位置づけられたのは以下の6つだ。

◆食品小売市場
2020年の食品小売市場は48兆9,634億円と、内食需要拡大や健康意識の向上などの影響により好調に推移している。クックパッドの膨大なレシピ情報や、ユーザー、生産者、仲卸事業者などとの関係を活かし、最適なときに、最適な価格で、料理がより楽しくなる食材との出会いを生活者に提供する。

◆食品物流市場
1兆7,500億円の市場規模の食品物流市場は、2022年以降は食品通販の利用率上昇、業容の拡大、物流費の増加によりさらに成長すると予測されている。クックパッドマートの生鮮宅配ボックスをマンションやコンビニ、鉄道駅などに設置することで、食材受け取りにおける生活者とのタッチポイント拡大を目指す。

◆食のCtoC市場
2020年のCtoC市場の市場規模は1兆9,586億円、前年比12.5%増となっており、EC市場の拡大と連動しCtoC市場も成長している。食、料理に関するユーザーコミュニティ、事業者とのネットワーク、独自の生鮮物流網を活用し、食のCtoCという新しい市場領域の開拓に取り組む。

◆食の開業・承継支援市場
昨今生産者の廃業率は高まっており、事業承継が困難であることが一因と考えられる。特に農業においては5年以内の後継者を確保していない経営体は71.1%にのぼるなど、深刻な状況だ。生産者や関連団体、自治体とのネットワークを生かし、開業や事業承継を望む人の支援を検討している。

◆食の金融市場
「天候などの影響を受けやすく収益が不安定」「サプライチェーンが長いため入金までの期間が長い」といった農林水産業の特性によって、資金繰りに苦しむ生産者は少なくない。クックパッドマートの生鮮食材を販売するプラットフォームおよび最短で配送する独自流通網を活用することで、生産者の資金リスクを解消し、チャレンジしやすい環境づくりを行う。

◆持続可能な食品市場
近年、日本においても植物性代替食品の市場規模が10年で5倍に成長するなど、環境負荷が少ない持続可能な食品の市場が注目を集めている。また、世界中で自動化された野菜工場の研究が進むなど、生産においてもイノベーションが起きつつある。豊富なユーザー接点を生かし、これら持続可能な食品の普及、流通などに取り組む。

既存の仕組みを破壊し、再構築を目指す

クックパッド株式会社 Japan CEO 福崎康平氏は、次のように述べている。

「私たちがこの度設定した『Cookpad Disrupt Target』は、これから既存の仕組みを破壊し、再構築することを目指す市場領域です。プロダクトの観点だけでなく、マーケットの視点からも取り組む課題を発見することで、より料理の体験を楽しいものとするとともに、大きな事業成長を目指します」

「Cookpad Disrupt Target」の開拓をより迅速に推進するため、Japan CEO直下で独立性の高い働き方ができるプロジェクトリーダー『Disruptor』の採用を開始。Disruptorは 「Cookpad Disrupt Target」の推進に加え、同社の既存事業が抱える高難度の業務課題の解決も担うという。

食あるいは料理にまつわる課題は大小さまざまで、しかも農林水産業の特性や社会が抱える構造的な問題など、さまざまな要素が複雑に絡み合っているため、解決は容易ではない。それでも、「Cookpad Disrupt Target」として対外発表を行い、Japan CEOでプロジェクトを推進する人材の採用を開始したところに、同社の本気度がうかがえる。

「レシピ検索アプリ」から、食品ECや生産者の支援にまで役割を広げてきた同社だが、今後さらに社会的な存在感を高めていきそうだ。

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