動画広告市場は300億円規模に 2017年には880億円に到達か

動画広告市場は本格的な成長期に


株式会社サイバーエージェントは株式会社シード・プランニングと共同で、国内動画広告の市場動向調査を行った。本調査ではインターネットを通じて配信される動画広告の年間広告出稿額を推計し、市場規模予測を算出したものとなっている。

同社報告によると、ブロードバンド回線が全国に普及し、Wi-FiやLTEなどの無線高速回線やスマートフォンの急速な普及など、近年で大きく進展したインターネット視聴環境は、ネット動画視聴利用の増加をもたらした。企業のマーケティング活動においては、動画制作や配信コストの低下により、その利活用が拡大し、ホームページやソーシャルメディアなどで、動画を利用したユーザーとのコミュニケーションを図る取り組みが進んでいる。また、若年層のテレビ離れを背景に、テレビCMではリーチしきれない層を補完する役割として、あるいはテレビCMとの相乗効果をもたらす役割として、広告主による動画広告への注目が高まっている、というものだ。
2012年後半〜2013年頃よりグローバル展開を行う外資系大手コンシューマープロダクトメーカーを皮切りに、自動車メーカー、国内大手化粧品・トイレタリーメーカー、携帯電話などデジタル家電メーカーをはじめとする、テレビCMを出稿する国内大手広告主が動画広告への出稿を拡大。2014に入り、スマートフォンゲームのプロモーションを目的とした、ゲーム企業による動画広告を活用したプロモーションも進む。更に幅広い広告主企業に動画広告をプロモーションの1つに取り入る動きが広がりつつあるとしている。

同社でも2014年6月にオンライン動画広告の専門組織「Online Video Studio」を設立するなど、従来のインターネット向け動画コンテンツのみならず、テレビ放送向けの動画コンテンツにおいても動画広告の提供が開始されるなど、多くの事業者による参入がみられ、動画広告市場は本格的な成長期を迎えている。

2014年の動画広告市場は前年対比約2倍、300億円規模に到達


スマートフォンの急速な普及を背景に、ユーザーの動画広告視聴におけるスマートフォン利用比重は急拡大、動画広告の配信先デバイスにスマートフォンが占める比率も高まっている。また、スマートフォンに特化した動画広告商品の提供も進んでいる。2014年の動画広告市場規模は311億円、前年対比197%に達すると予想されている。スマートフォンの急速な普及もありつつ、PC利用が現状の市場規模を半数以上を占めていることにも触れておきたい。
予測では2017年の市場規模は880億円にのぼると予想されているが、スマートフォン455億円、PCが425億円と約半数をPCが担っている。PCの定義が今後どのように変わっていくかは予想不能な部分もあるが、動画視聴においてはある程度の大きさの画面や環境で見られるニーズもあることを制作側は意識する必要があるだろう。

動画の広告需要はインストリーム広告(動画コンテンツの間に挿入されて表示される広告)が全体の8割、インバナー広告(メディアのバナー広告、ピクチャー広告枠を基軸に表示される広告)、インスクロール広告(サイトやアプリのコンテンツの途中に設置された広告枠を、ユーザーが視聴したタイミングで表示される広告)などは約2割。スマートフォン向け動画広告の多様化により、インバナー広告、インスクロール広告の比重が今後ゆるやかに拡大と予想される。

動画広告市場の発展に伴うビデオコマースの発展にも期待


動画広告市場の拡大は、販売促進に動画コンテンツを活用するビデオコマースサイトにも確実に影響していくだろう。楽天が日本初としてビデオコマースサイトの「VAULT」を2013年末にオープンさせ話題となったが、製品動画は大きさや使い方、素材など、写真では伝わりづらい部分や新しい魅力を説明してくれる。ただし、それは高品質な動画の見せ方があってこそであり、下手をすると商品が安っぽく見えるような諸刃の剣でもある。
しかし、TVをメインに活動していた製作会社などもネット動画コンテンツ制作に対応していくであろう動画広告市場の盛り上がりを見ると、高品質な動画コンテンツを効果的に活用するビデオコマースサイトが今後間違いなく登場してくると予想される。また消費者視点で商品のレビューを語る動画で話題となったユーチューバーや著名人などは、ビデオコマースと相性が良さそうに思うのは筆者だけでは無いはずだ。



-編集部-

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